ほうれん草に栄養はあるのか?栄養素の効果や夏冬・冷凍・茹ででの違いなど

ほうれん草は栄養があると聞く一方で「茹でると栄養がなくなるのでは?」「冷凍ほうれん草って栄養がないの?」と疑問に感じたことはありませんか。


この記事では、ほうれん草の基本的な栄養成分から、調理法や季節による栄養価の違いまでを整理し、健康的に取り入れるためのヒントをわかりやすく解説します。

 

ほうれん草ってどんな野菜?

“ほうれん草”

ほうれん草はヒユ科の一・二年草で、雌雄異株(しゆういかぶ)に分類される野菜です。原産地は西アジアとされ、日本へは江戸時代に伝わりました。現在流通しているものの多くは、味が良い東洋種と抽苔(ちゅうだい)しにくい西洋種の良さを持つF1交雑種です。主な産地は群馬県・埼玉県・千葉県などで、年間を通じて安定的に生産されています。

 

ほうれん草の栄養素とその効果

“ほうれん草”

ほうれん草には、私たちの健康維持に欠かせない多種多様な栄養素が含まれています。 詳しく見ていきましょう。


・エネルギー:18kcal
・たんぱく質:2.2g
脂質:0.4g
・炭水化物:3.1g
・カリウム:690mg
・鉄:2.0mg
・β-カロテン:4,200㎍
・α-トコフェロール(ビタミンE):2.1mg
・ビタミンK:270㎍
・葉酸:210㎍
・ビタミンC:35mg
・食物繊維:2.8g

※葉/通年平均/生、すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


ほうれん草はカロリーが低く、β-カロテン(ビタミンA)やビタミンK、葉酸、鉄などの含有量が多いのが特徴です。ここからは、これらの栄養素の一般的な働きについて紹介します。

 

目を守る働きがある

ビタミンAは目の健康を支える重要な役割を持っています。具体的には網膜の細胞を守る働きがある他、視細胞が光を受け取り、それを視覚情報として認識する反応に関わる働きです。またビタミンA不足は、暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症の原因になると言われています。 


ほうれん草には100gあたり4,200㎍のβ-カロテンが含まれています。このβ-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わるため、上記の働きが期待できます。

 

体を守る働きがある

ビタミンC、β-カロテン(ビタミンA)、α-トコフェロール(ビタミンE)は「抗酸化物質」と呼ばれ、体内でエネルギーを作る際などに発生するフリーラジカル(活性酸素など)による攻撃から、細胞を保護する役割があります。 


ほうれん草100gあたりには、ビタミンCが35mg、β-カロテンが4,200㎍、α-トコフェロールが2.1mg含まれており、これらの栄養素をバランスよく摂取できるのは、緑黄色野菜であるほうれん草の特徴の一つです。

 

出血を止める働きがある

ビタミンKは、体内で血液を固める仕組みに関与する栄養素で、出血時に血を止めるように助ける役割が特徴です。また血液の働きだけでなく、骨の健康を保つためにも関係していることが知られています。ほうれん草には100gあたり270μgのビタミンKが含まれており、日常の食生活の中でビタミンKを補える食品の一つと言えるでしょう。

 

塩分の摂り過ぎを調整してくれる

カリウムはミネラルの一種で、体内に多くなりがちなナトリウムを体外へ排出する作用があります。この他にも、細胞の浸透圧を適切に維持する、神経の情報伝達や筋肉の動きを支える、体液のpHを一定に保つなど、幅広い生理機能に関わっています。ほうれん草には100gあたり690mgのカリウムが含まれています。

 

赤血球の生成に関わる

鉄は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの主要な構成要素です。 鉄分が不足するとヘモグロビンが十分に作られず、全身への酸素供給が滞る「鉄欠乏性貧血」を招く可能性があります。 また、葉酸も赤血球の生成に深く関わっており、不足すると「巨赤芽球性貧血(悪性貧血)」の原因となります。 ほうれん草には100gあたり鉄が2.0mg、葉酸が210μg含まれています。

 

ほうれん草の気になる疑問を解決!

“ほうれん草”

ほうれん草は身近な野菜ですが「他の野菜より栄養価は高いの?」「調理法で栄養は変わる?」と言う疑問もあるのではないでしょうか?ここでは、よくある疑問を整理して解説します。

 

小松菜やブロッコリーと比べてどちらが栄養価が高い?

栄養価でほうれん草とよく比較される小松菜やブロッコリーですが、栄養素によって含有量の高さは異なります。それぞれの含有量を見ていきましょう。

 

成分

ほうれん草/葉/通年平均

こまつな/葉

ブロッコリー/花序

カリウム(mg)

690 500 460

カルシウム(mg)

49 170 50

リン(mg)

47 45 110

βーカロテン(㎍)

4,200 3,100 900

ビタミンC(mg)

35 39 140

※すべて生、100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


野菜ごとに含まれる栄養素の特徴は異なるため、「どれが一番」という単純な比較はできません。ほうれん草はカリウムが690mg、β-カロテンが4,200㎍と含有量が多い点が特徴です。一方で、ビタミンCはブロッコリーが140mg、カルシウムは小松菜が170mgと多く含んでいます。目的に応じて野菜を使い分けることが大切です。

 

夏採りと冬採りで栄養価が変わるって本当?

ほうれん草は一年中スーパーで見かけますが、実は収穫時期によって栄養価が変化します。特に顕著な違いが見られるのは、ビタミンCの含有量です。夏採りほうれん草のビタミンC含有量は20mg、それに対し冬採りは60mgと差が出る傾向があります。ほうれん草の旬は冬のため、旬のものは栄養素が高いと言われるのも納得です。

 

冷凍や茹でる・炒めるで栄養価は変わる?

ほうれん草は調理法によって、主にカリウム、カルシウム、β-カロテン、葉酸の数値が変動します。違いを見ていきましょう。

 

調理法

カリウム(mg)

カルシウム(mg)

β-カロテン(㎍)

葉酸(㎍)

690 49 4,200 210

ゆで

490 69 5,400 110

冷凍

210 87 4,700 120

油炒め

530 88 7,600 140

※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


カリウムや葉酸など水溶性の成分は、茹でる過程で水分中に流出しやすい性質がある一方、油で炒める調理法では水分への流出が抑えられるだけでなく、β-カロテンなどの脂溶性成分の吸収率を高めることができます。冷凍ほうれん草は生と比べて栄養価が低下しますが、カルシウムやβーカロテンなどを保持した状態で保存されています。

 

効率的に栄養素を摂れるほうれん草の食べ方

“ほうれん草”

ほうれん草の栄養を無駄なく取り入れるには、どの栄養素を重視するかによって食べ方を工夫するのがおすすめです。ここでは、栄養価の高い食べ方を紹介します。


β-カロテンやカルシウムを意識したい場合は、油炒めが向いています。例えば、食べやすい大きさに切った厚揚げとほうれん草を、少量の油と醤油でさっと炒めるだけで、簡単に一品ができあがります。好みできのこ類などを加えると、さらにボリュームが出て満足感のあるおかずになるでしょう。


一方、カリウムや葉酸をできるだけ保ちたい場合は、生食が向いています。サラダ用ほうれん草を使い、ナッツや豆類を組み合わせたサラダにすると、食感と栄養のバランスが整います。お好みでオリーブオイルをかけると、風味も栄養もアップするので試してみてください。


調理法を固定せず、目的に応じて使い分けることが、ほうれん草の栄養を無理なく活かすコツです。

 

ほうれん草の栄養を上手に食べて摂り入れよう!

“ほうれん草”

ほうれん草は、私たちの健康を支える多くの栄養素を含んでいます。季節や調理法によって栄養価に違いが出るものの、食べ方を工夫することで日々の食生活に役立てることができる他、多様な食材との組み合わせが可能なので忙しい人にも手軽に活用できる野菜です。

 

日々の生活にほうれん草を取り入れて、健康的な食生活への一歩を踏み出してみましょう。

 

参考文献

今月のやさい・ほうれん草 独立行政法人 農畜産業振興機構 参照年月日:2026年1月3日 https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001626.html

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 参照年月日:2026年1月3日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 厚生労働省 参照年月日:2026年1月3日 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary

eJIM ビタミンC 厚生労働省 参照年月日:2026年1月3日 https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/09.html

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