プラントベースフードはなぜ環境にやさしい?

環境にも体にもやさしいと関心が高まる「プラントベースフード」。一度は耳にしたことがあるものの、プラントベースフードについて詳しくわからない方もいることでしょう。この記事では、プラントベースフードの基本情報に加え、環境や体にいいとされる理由を解説します。新しい食生活への理解を一緒に深めませんか。

 

プラントベースフードとは?

プラントベースフード

プラントベースフードとは、動物性の原材料を使用せず、植物性の食材のみで作られた食品のことを指します。肉、魚、卵、乳製品といった動物性たんぱく質の代わりに、大豆や小麦グルテン、きのこなどの植物性たんぱく質が使用されることが多いです。

近年ではプラントベースのハンバーガーやソーセージなど、動物性製品の食感や味を再現した代替食品が増えています。市場の拡大にともない、ベジタリアンやヴィーガンの方にとどまらず、環境や健康意識の高い人々からも注目を集めています。

 

プラントベースフードが注目される背景

プラントベースフード

プラントベースフードが世界的に注目されている背景には、環境保護と健康志向という2つの側面があります。

近年の環境問題の深刻化や地球温暖化対策の必要性から、「持続可能な食生活」への関心が高まっています。持続可能な食生活への取り組みとしては、食糧の自給自足や地産地消などが挙げられますが、プラントベースフードもそのひとつ。畜産業と比べて生産過程で二酸化炭素の排出や水の使用量が少なく、環境負荷が低いとされてることが理由です。

また、健康面から見ると、肉類の過剰摂取は生活習慣病のリスクを高めるとの指摘があります。そのため、これからも健康的に生きるために、食生活では肉類は控え、植物性たんぱく質で栄養をまかなう傾向が強まってきました。こうした状況を背景に、動物性食品の代替として、プラントベースフードが脚光を浴びているのです。

 

プラントベースフードが環境保護につながる理由

自然

上に記載したように、環境保護の観点からも関心が寄せられているプラントベースフード。そのことについて、詳しく見ていきましょう。

 

意外と大きい畜産業による環境負荷

家畜の飼育には多くの資源を必要とするため、畜産業はどうしても環境に大きな負荷を与えてしまいます。たとえば、家畜の飼料生産のために森林が伐採されており、炭素吸収源減少の原因となっています。炭素の吸収源が減少すれば、その分二酸化炭素が増加し、地球温暖化の加速を招いてしまいます。

また、家畜の排泄物から発生する温室効果ガスも、地球温暖化に拍車をかける原因と考えられています。さらに、家畜飼育のための水資源や農地が膨大な量を占めるなど、さまざまな側面で環境を損なっているのです。

 

ライフサイクルの環境負荷が低い植物性食品 

一方、植物性の食材は一般的に、栽培や収穫に必要とされる資源が動物性食品に比べ少なくて済みます。プラントベースフードは、作物を直接食材とするため、加工に必要なエネルギー使用量が少なく、加工時の二酸化炭素排出も抑えられます。

さらに、植物性の残渣は堆肥として再利用でき、廃棄物の発生も抑えられるため、資源循環への負荷も小さくなります。

このように、ライフサイクル全体を通して環境への影響が小さいのが、プラントベースフードの特徴です。  

 

食糧問題の解決策にもなる

家畜の飼料には多くの食糧が必要です。一方で、世界には8億人以上の人々が飢餓に直面しているとされ、そういった人々に食糧が行き届いていない原因のひとつとして、畜産業に鋭い目を向ける意見があることは否めません。

家畜への食糧供給を減らし、直接人間が摂取できるようにすれば、限られた食糧資源を効率よく活用し、飢餓問題の解決にもつながるかもしれません。

 

自分に合ったプラントベースフードの取り入れ方を探そう

プラントベースフードの食卓

環境への配慮や健康面での利点が期待されるプラントベースフードですが、すぐに全ての食事をプラントベースフードに置き換えるのは現実的ではありません。まずは自分のペースで、無理のない範囲から始めるのがおすすめです。

 

週に1度はプラントベースフードの日

まずは週に1度、ベジタリアンメニューの日やミートフリーデーを設けてみるのはいかがでしょう。肉や魚を控える代わりに使うのは、豆腐や大豆ミート、きのこなどの植物性たんぱく質です。家族や友人と一緒に、新しい味覚に触れる機会だと思って取り組むと、プラントベースフードのある食生活をだんだん楽しめるようになるはずです。

 

肉は大豆ミート、牛乳は豆乳やオーツミルクに置き換え 

特定の食材をプラントベースフードに置き換えてみる手法も、初心者にはおすすめ。肉を大豆ミートに置き換えて料理を作るように、おやつや間食に使う食材も置き換えができます。

たとえば、牛乳は豆乳やオーツミルクに。お菓子作りに欠かせない卵も、粉寒天を使って固めるなど、少し工夫すると案外プラントベースフードの置き換えができるものです。

食材の置き換えで他にも工夫が必要になったり、よりおいしく仕上げるにはどうすればいいかを考えるようになったりなど、食への関心を高めるきっかけにもなりそうです。置き換えに慣れるころには、気づけばプラントベースの食生活がぐっと身近になっているかもしれません。

 

プラントベースフードを正しく理解して新食習慣を

プラントベースフード

プラントベースフードは、環境への負荷が小さく、健康的な体作りにも役立つといった利点があります。食の多様性が尊重される時代に突入し、自身の体や習慣を踏まえつつ、持続可能な食生活もかなえるプラントベースフードは、ますます私たちの生活に浸透していくことが予想されます。

とはいえ、動物性食品を完全に排除しなければいけないわけではありません。動物性食品を選択するのもまた、食の多様性のひとつであり、植物性食品と合わせてバランスを取ることが大事なのです。

自分の体調や地球の未来を考え、できる範囲でプラントベース食習慣を実践してみてください。