
緑黄色野菜とは?定義や淡色野菜との違いなど、一覧で該当野菜をご紹介
緑黄色野菜は「見た目の色が濃い野菜」というイメージを持たれがちですが、その正しい定義について知らない方も多いのではないでしょうか?
本記事では緑黄色野菜の定義や該当する野菜をご紹介し、緑黄色野菜に多く含まれる栄養素について解説しています。緑黄色野菜を使った手軽な食べ方も紹介しているので、ぜひ毎日の食卓に取り入れてみてください。
緑黄色野菜とは?厚生労働省の定義と例外
まずは、緑黄色野菜の定義について確認しましょう。厚生労働省では、緑黄色野菜に該当する野菜を原則として「可食部100g当たりのカロテン含有量が600μg(マイクログラム)以上」のものと定義しています。
ただし厚生労働省が定めている基準には例外があり、トマトやピーマンなどは可食部100gに含まれるカロテンが600μg未満であるにも関わらず、緑黄色野菜と分類されています。その理由は、トマトやピーマンが日常的に食べる回数や量が多い野菜であるためです。
厚生労働省が健康づくりに必要な目標数値を提示している「健康日本21」では、野菜の摂取目安量が示されています。それによると、成人は1日当たり350gの野菜摂取が望ましく、緑黄色野菜は1日120g以上の摂取が推奨されています。
淡色野菜との違い
野菜には緑黄色野菜の他に、淡色野菜と呼ばれる種類があります。淡色野菜と聞くと「色が薄い野菜」と言うイメージを持つ方もいると思いますが、緑黄色野菜と淡色野菜は色で区別するものではありません。
緑黄色野菜と淡色野菜の違いはカロテン含有量にあり、緑黄色野菜の定義に当てはまらない野菜が淡色野菜に分類されます。なお淡色野菜という呼称は一般的な呼び方で、機関によっては「その他の野菜」という呼び方で定義している場合があります。
例えば厚生労働省の「食生活改善指導担当者テキスト」において、緑黄色野菜以外の野菜は「淡色野菜」です。一方で農林水産省の「食料需給表」や厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、緑黄色野菜に該当しない野菜を「その他の野菜」と分類しています。
緑黄色野菜か淡色野菜か?間違われやすい野菜
見た目だけでは緑黄色野菜なのか淡色野菜なのか、区別がつきにくい野菜もあります。きゅうりやなす、とうもろこしは皮の色が緑や紫、黄色などの濃い色をしていますが、中身は白色に近いので実は淡色野菜です。
キャベツは種類によって緑黄色野菜に分類されるものと、淡色野菜に分類されるものがあります。キャベツの仲間である芽キャベツは緑黄色野菜ですが、普通のキャベツやレッドキャベツ、グリーンボールは淡色野菜です。
また、レタス類も緑黄色野菜と淡色野菜に分かれます。水耕栽培のレタスやリーフレタス、サニーレタスは緑黄色野菜で、土耕栽培のレタスやコスレタスは淡色野菜に分類されます。
緑黄色野菜の種類一覧
どのような野菜が緑黄色野菜に分類されるのかを具体的にご紹介します。代表的な野菜や部位ごとに分類が異なる野菜をそれぞれ以下にリストアップしているので、参考にしてください。
【代表的な野菜】
アスパラガス
いんげんまめ(さやいんげん)
オクラ
かぼちゃ
こまつな
トマト
にんじん
ピーマン
ブロッコリーの芽ばえ(ブロッコリースプラウト)
ほうれんそう
モロヘイヤ
コリアンダー
【部位ごとに分類が異なる野菜】
ブロッコリー:花序は緑黄色野菜で、茎や皮は淡色野菜
かぶ、大根:葉は緑黄色野菜で、実(根の部分)は淡色野菜
ねぎ:緑の葉の部分は緑黄色野菜で、白い根の部分は淡色野菜
緑黄色野菜に含まれる栄養素とその働き
緑黄色野菜の種類によって違いはありますが緑黄色野菜には主にカロテン、ビタミンC、ビタミンK、葉酸などのビタミン、ミネラルが栄養素として含まれており、それら多種類の栄養素を摂れるのが緑黄色野菜を食べるメリットです。ここからは、緑黄色野菜に含まれる各栄養素の働きについて詳しくご紹介します。
カロテン
カロテンは動物や植物に存在する赤色や黄色の色素であるカロテノイドの一種で、抗酸化作用を持ち、水に溶けにくく油に溶けやすい脂溶性の物質です。カロテン類の代表的なものは、ほうれんそうやにんじんに含まれるβ-カロテン、トマトに含まれるリコピンなどがあります。
β-カロテンは動物やヒトの体内で必要な分だけビタミンAに変換されるため「プロビタミンA」とも呼ばれており、ビタミンAの主成分であるレチノールとレチナールは目の健康を保つ働きがある成分です。
ビタミンC
ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれる水溶性のビタミンで、抗酸化作用を持ちます。また体内でコラーゲンを生成する役割や植物性食品を摂った時に鉄分の吸収を助ける役割などもあります。
ビタミンCは野菜や果物から多く摂取できますが、加熱調理などによってビタミンCの量が減少する場合があり、生で食べる方がより多くのビタミンCを摂れます。
ビタミンK
ビタミンKは脂溶性のビタミンで、血液の凝固を促す作用があります。また骨に存在するたんぱく質を活性化し、骨の形成を調節する機能も担っています。
天然のビタミンKは、緑黄色野菜などに含まれるビタミンK1と細菌によって合成されるビタミンK2の2種類です。ビタミンKを多く含む緑黄色野菜としては、キャベツやほうれんそう、トマトなどが挙げられます。
葉酸
葉酸はビタミンB群に属する水溶性のビタミンで、体内では赤血球の形成やDNA合成に関わる栄養素です。特に妊娠初期における胎児の育成に必要不可欠のため、妊娠前から妊娠初期で1日400μgの付加量が望まれます。
ミネラル
ミネラルは無機質とも言い、カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄など複数の種類があります。食材によって含まれるミネラルの種類は異なり、例えば小松菜には非ヘム鉄やカルシウムなどが含まれています。
鉄は、赤血球のヘモグロビンに多く存在するミネラルです。鉄が不足すると赤血球の中にあるヘモグロビンが減って体内に酸素が十分に供給されず、貧血が起こる原因になります。
カルシウムはヒトの体内に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を構成する重要な物質です。カルシウムが不足すると骨が十分に成長せず弱くなるため、骨粗しょう症になる可能性が高まります。
緑黄色野菜の食べ方例
野菜不足が気になる方は、緑黄色野菜を取り入れたメニューをいつもの食事に1品プラスしてみてはいかがでしょうか?緑黄色野菜を使った簡単な食べ方をご紹介します。
【トマトとモロヘイヤのサラダ】
リコピンが含まれるトマトとβ-カロテンがにんじんよりも高いモロヘイヤを使い、1品で2つの緑黄色野菜を摂れるメニューです。塩茹でしてカットしたモロヘイヤとカットしたトマトを盛り付けて、お好きなドレッシングやポン酢でいただきます。
【ピーマンの焼き浸し】
ピーマンを丸ごと調理することでムダがなく、種まで食べられる方法です。ピーマンに軽く穴を空けて熱したフライパンでピーマンを焼き、だし醤油やめんつゆなどを入れて10分ほど煮ていただきます。
【ほうれんそうのごま和え】
ほうれんそうに、やさしい甘さのごまだれを合わせたメニューです。ほうれんそうを茹でてカットした後、ごまだれをかけていただきます。
緑黄色野菜をおいしく活用しよう!
緑黄色野菜にはたくさんの種類があり、メニューに取り入れればビタミンやミネラルなどの栄養素をしっかり摂取できるだけでなく、食卓に彩りを添えてくれます。毎日の食事に緑黄色野菜をプラスして、十分な量の野菜を摂りましょう。
参考文献
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