オリーブオイルの効能は?含有する栄養素や健康的な使い方など

オリーブオイルが体に良いと聞いたことがあっても、その理由や具体的な効能については知らないと言う方も多いのではないでしょうか?この記事では、オリーブオイルに含まれる栄養素や効能、おすすめの食べ方を紹介しています。
普段オリーブオイルをあまり料理に使わない方はオリーブオイルの効能を知って、日々の食事に活用してみましょう。
オリーブオイルとは
オリーブオイルはオリーブの果実から搾った油で、日本における食用オリーブ油の規格では「オリーブオイル」と「精製オリーブオイル」の2種類に分かれています。油1g中の遊離脂肪酸を中和するために必要な水酸化カルシウムの量を「酸価」と言い、オリーブオイルは2.0以下、精製オリーブオイルは0.60以下が基準です。
一方、国際オリーブ協会(IOC)の規格では以下のような細かい分類です。酸価ではなく「酸度」が用いられており、酸度は油100g中の遊離脂肪酸の量を指します。酸度も酸価も低いほど酸化されておらず風味が良いオイルです。
【バージンオリーブオイル】
・エクストラバージンオリーブオイル: 酸度0.8g/100g以下
・バージンオリーブオイル: 酸度2.0/100g以下
・オーディナリーバージンオリーブオイル: 酸度3.3/100g以下
【精製オリーブオイル(バージンオリーブオイルを精製して得られる)】
・酸度0.3/100g以下
【オリーブオイル(バージンオリーブオイルと精製オリーブオイルの混合油でピュアオリーブオイルとも言われる)】
・酸度1.0/100g以下
オリーブオイルが健康的と言われる理由
オリーブオイルが健康的な食品として注目される理由には、「地中海式食事法」の世界的な広まりが関係していると言われています。地中海食はギリシャやスペイン、イタリアを始めとする地中海沿岸部に古くから定着している食習慣です。
地中海食では果物や野菜に加えオリーブオイルの摂取が推奨されています。そのことに注目した研究が行われた結果、地中海食事法は健康面に優れていると認識され、ユネスコの無形文化遺産として登録されました。
地中海食事法については、以下で詳しくご覧いただけます。
地中海食とは?特徴や健康効果とデメリットなど
オリーブオイルに含まれている主な栄養素とその効能
オリーブオイルには、どのような栄養素がどれくらい含まれているのでしょうか?以下にオリーブオイルのカロリーと、主な栄養素および含有量を記載しています。
・エネルギー 894kcal
・脂質 100.0g
・α-トコフェノール(ビタミンE) 7.4mg
・一価不飽和脂肪酸 74.04g
・n-6系多価不飽和脂肪酸 6.64g
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ここからはオリーブオイルに含まれる主な5大栄養素や成分と、その効能について紹介します。
不飽和脂肪酸: オレイン酸・リノール酸
食品中の脂肪酸には大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類があり、不飽和脂肪酸はさらに炭素の結合構造によって「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類され、多価不飽和脂肪酸はn-6系とn-3系の2つに分かれます。
オリーブオイルには一価不飽和脂肪酸のオレイン酸とn-6系脂肪酸のリノール酸などが含まれています。
オレイン酸にはLDLコレステロールを増加させず、なおかつHDLを減少させない作用があると言われています。ただし研究によるとLDLを上昇させない働きについてはオレイン酸の単独効果と言うよりも、リノール酸との相乗効果であると言う説が有力です。リノール酸には、ある種の生活習慣病を予防する効果が期待されています。
オレイン酸を中心とする一価不飽和脂肪酸には設定されていませんが、リノール酸が属するn-6系脂肪酸の摂取目安量は8〜12g/日です。
フェノール化合物
オリーブオイルには、抗酸化作用があると言われるポリフェノールやフェノールなどのフェノール化合物も含まれています。オリーブオイルの成分として知られているのは、ヒドロキシチロソールやルテオリン、オレウロペインといったフェノール化合物です。
α-トコフェロール(ビタミンE)
オリーブオイルに含まれるα-トコフェロール(ビタミンE)には、酸化防止作用や血液凝固抑制作用があると言われています。オリーブオイルの他にも小麦胚芽油やベニバナ油といった油脂類やナッツ類など多くの食品に含まれる栄養素です。
オリーブオイルの効果的な使い方
オリーブオイルは使用方法や保存方法に気を付けることで、より効果的に使えます。使用および保存のポイントについて、詳しくチェックしていきましょう。
使い過ぎない
オリーブオイルは抗酸化物質が含まれる健康的な食品と言われていますが、主成分が油脂なのでカロリーは高めです。大さじ1杯(約14g)のオリーブオイルはエネルギー量が125kcalあり、白ごはん約1/2杯分、バナナ約1.5本分に相当します。カロリー過多になってしまうと健康的な食事とは言えないため、摂り過ぎに注意しましょう。
オリーブオイルを感覚で使うと入れ過ぎてしまう可能性があるため、最初のうちは小さじ1杯(約5g)の量を測って確認すると、摂り過ぎを防げます。
暗所に置き、開封後は早く使い切る
オレイン酸が主成分であるオリーブオイルは酸化しにくいと言われていますが「光」「高温」「空気」に触れることで酸化が進むため、それらの要素を避けて保存します。高温になるコンロ周りや直射日光の当たる窓際などは避けて、床下収納やキッチンの戸棚、引き出しの中など暗くて涼しい場所が良いでしょう。
また開封済みのオリーブオイルは空気に触れて徐々に酸化していくため、早めに使い切るようにしてください。
オリーブオイルのおいしい食べ方
オリーブオイルのおすすめの食べ方を紹介します。まずはオリーブオイルを加熱しないで使うメニューをチェックしてみましょう。
【すりおろしにんじんドレッシング】
オレンジ色が映えるさっぱりしたメニューです。すりおろしたにんじんに酢、はちみつ、塩、粒マスタードを加え、最後に少しずつオリーブオイルを加えて乳化させて最後に黒こしょうを加えて、完成です。
【オリーブオイルの卵かけごはん】
茶碗に盛った温かいごはんの真ん中をくぼませて生卵を割り入れ、オリーブオイルと粉チーズ、黒こしょう、しょうゆをかけるだけのお手軽メニューです。
続いては、オリーブオイルを加熱調理して使う食べ方を紹介します。
【鶏胸肉のレモンオリーブオイルソテー】
オリーブオイルを加えた調味液に鶏肉を漬け込むことにより、パサつかずしっとりとした食感でいただける一品です。鶏むね肉と塩こしょう、しょうゆ、オリーブオイル、すりおろしにんにく、カットしたレモンを保存袋に入れて揉み込みます。冷蔵庫で半日以上置いたら蒸し焼きにして完成です。
【ミニトマトとアサリのパスタ】
トマトとアサリの旨味のハーモニーが楽しめるパスタです。オリーブオイルとにんにく、ミニトマトと赤とうがらしを火にかけて香りが立ったらアサリと白ワインを加え加熱します。茹でたパスタと茹で汁を入れ、塩こしょうで味を整え、最後はバジルとオリーブオイルをかけて出来上がりです。
よくある質問
オリーブオイルに関して、よくある質問とその回答を紹介します。意外と知らないこともあるので、ここで疑問点を解消しておきましょう。
オリーブオイルを飲むと体に良いの?
慣れないうちは抵抗があるかもしれませんが、オリーブオイルはそのまま飲むことも可能です。健康を意識して毎日飲んでみるのも良いでしょう。
ただし前述の通りオリーブオイルはカロリーが高いことから、一日に飲む量は多くても大さじ1杯程度が目安です。日頃から1日のカロリー摂取量が多い方は、オリーブオイルを飲むことで摂取カロリーが増え過ぎないように注意しましょう。オリーブオイルをそのまま飲むのに抵抗を感じる方は、料理に使ってみることから始めてみてはいかがでしょうか?
加熱したらダメなの?
いずれのオリーブオイルも加熱して問題ありません。オリーブオイルは主成分のオレイン酸が酸化しにくい性質を持っているため、加熱調理にも適しています。ただし揚げ物などを作るのに高温で長時間にわたって調理すると油が劣化するため、加熱し過ぎには注意してください。
レモンオリーブオイルの効能は?
レモンオリーブオイルはオリーブの果実とレモンを一緒に搾ったオイルで、オリーブオイルのビタミンEにレモンのビタミンCがプラスされています。ビタミンCはビタミンEと相性が良く、体内でビタミンEなどの抗酸化物質を再生することが分かっています。
今日から、いつもの油をオリーブオイルに!
オリーブオイルはオレイン酸やリノール酸に代表される不飽和脂肪酸に加え、ビタミンEなどの栄養素が含まれる健康的な食品です。サラダや炒め物など様々な料理に合うため、普段あまりオリーブオイルを使わない方も、ぜひメニューに取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考文献
INTERNATIONAL OLIVE COUNCIL 参照年月日:2025年6月17日 https://www.internationaloliveoil.org/olive-world/olive-oil/
maff 農林水産省 参照年月日:2025年6月17日 https://www.maff.go.jp/index.html
バイオミディア 多様な有効活用が可能なオリーブ成分 公益社団法人 日本生物工学会 参照年月日:2025年6月17日 https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9103/9103_biomedia-5.pdf
e-JIM 厚生労働省 参照年月日:2025年6月17日 https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/index.html