医食同源とは?医食同源に沿った食事例を紹介

「医食同源」と言う言葉を耳にしたことはあっても、その意味や具体的な実践方法までは知らない方も多いのではないでしょうか?医食同源とは、食と健康は切り離せない関係にあり、日々の食事が心身を支えると言う考え方です。


本記事ではその基本的な意味から、実際に取り入れやすい食事例や工夫までを紹介します。医食同源を理解し、毎日の食卓から健康づくりを始めてみましょう。

 

医食同源とは?簡単に解説

“薬膳のイメージ”

医食同源(いしょくどうげん)とは病気を治すこと(医)も日常の食事(食)も、いずれも健康を保つために欠かせないもので、その根源は同じであると言う考え方です。古代中国に由来し、体に良い食材を日常的に摂ることで、健康の維持に役立つと考えられています。


健康的な食生活を実践するコツについては、以下の記事をご覧ください。

健康的な食生活とは?健康寿命延伸のための食事のポイントを解説

 

医食同源に沿った食事のポイント

“栄養バランスの良い食事のイメージ”

医食同源の考え方に基づくと、日常の食事を通じて健康を意識することが大切です。ここでは規則正しい食事、栄養バランス、個人に合った食事と言う3つの視点でポイントを紹介します。

 

規則正しい食事をする

1日3食を決まった時間に取ることは、体を整える基本です。特に朝食は欠食率が高く、抜いてしまうと午前中に頭がぼんやりして集中力が低下する場合もあります。朝食を取ると脳のエネルギー源となるブドウ糖が補給され、勉強や仕事に取り組むスイッチを入れられるでしょう。

 

忙しい朝でも、まずは簡単なものから取り入れてみましょう。例えば以下のステップ1~3の順に進めてみてはいかがでしょうか?

 

・ステップ1 ナッツ類・果物
・ステップ2 おにぎり・具だくさん味噌汁
・ステップ3 ごはん・納豆・具だくさん味噌汁・野菜のお浸し

 

このような形で、段階的に食事内容を充実させていくのがおすすめです。

 

栄養バランスを整える

健康を維持するためには、毎日の食事で主食・主菜・副菜を揃えて五大栄養素を偏りなく摂取することが大切です。五大栄養素とは炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・無機質の5つを指します。

 

炭水化物や脂質は活動のエネルギー源となり、たんぱく質は筋肉や臓器、髪や皮膚など体の材料として欠かせません。ビタミンや無機質(ミネラル)は、体温や神経の働きを整えるなど、体調を保つために必要です。

 

このように栄養素はそれぞれ役割が異なり、互いに補い合って健康な体を維持できています。つまり「主食(エネルギー源)」「主菜(体をつくる材料)」「副菜(調子を整える栄養)」の組み合わせが、栄養バランスの良い食事につながります。


五大栄養素や栄養素量については以下で詳しく紹介しているので参考にしてください。

五大栄養素の3つの働きとは?6大・7大栄養素もある?

1日に必要な栄養素の量と摂取するコツ

 

個人個人に合った食事をする

食事は誰にとっても大切ですが、必要な栄養や量は人によって異なります。体質や体調、生活習慣の他、年齢やライフステージによっても違いが出てきます。例えば成長期の子どもは体をつくるたんぱく質やミネラルを多く必要とし、妊娠中や授乳中の女性は胎児や乳児の発育を支えるために特定の栄養素を十分に摂ることが求められるでしょう。

 

一方、成人期以降は生活習慣病予防を意識した食事が重要となり、更年期や老年期にはホルモンや代謝の変化に合わせた食事が健康維持に役立ちます。このように、自分のライフステージに応じた食事の工夫が望ましいと言えます。

 

医食同源を実践!食事例

“体に良い食事のイメージ”

「医食同源」の考え方を日常の食事に取り入れるためには栄養バランスの良い献立を意識します。その基本が、主食・主菜・副菜を組み合わせることです。

 

なお、日本の伝統的な和食献立である「一汁三菜」では主食・主菜・副菜2品に汁物を合わせますが、必ずしも毎食それを守る必要はありません。食材や調理法を工夫して、栄養の偏りを避けることが重要です。

 

一汁三菜の取り入れ方については、こちらの記事を参考にしてください。

一汁三菜の読み方と意味は?毎日の献立に悩まないコツや正しい置き方などもご紹介


ここからは、朝・昼・夜それぞれの食事例を紹介します。

 

朝の食事メニュー例

朝の献立例として「納豆定食」をご紹介します。

 

まず主食はエネルギー源となる炭水化物をしっかり補給できる炊きたてのご飯です。主菜には大豆由来のたんぱく質を含む納豆を、副菜にはビタミンやミネラルを含むにんじん・大根・こんにゃく・椎茸を煮含めた野菜の煮物を添えます。さらに豆腐・わかめ・長ねぎを組み合わせた具だくさんの味噌汁を加えると、たんぱく質やミネラルを補える献立の完成です。

 

このように納豆定食は一食で主食・主菜・副菜を揃え、朝のスタートを支えてくれるでしょう。

 

 

昼の食事メニュー例

昼の献立例として「サラダスパゲッティ」を紹介します。主食・主菜・副菜を一皿にまとめたスタイルです。

 

主食はパスタで炭水化物を補給。副菜の役割は、パスタに混ぜ込む野菜が担います。レタス・きゅうり・トマト・パプリカなどの生野菜に加え、蒸したブロッコリーやにんじんを添えれば、ビタミンやミネラルを摂取できるでしょう。

 

さらに主菜として蒸し大豆などを添えると、たんぱく質を補給でき栄養バランスが高まります。定食のように皿を分けなくても、主食・主菜・副菜を工夫して一品に組み合わせれば意外と簡単にバランスの良い食事を実現可能です。

 

 

夜の食事メニュー例

夜の献立例として「おからこんにゃくで作ったからあげと夏野菜の簡単酢鶏」を紹介します。「おから」と「こんにゃく」を組み合わせたおからこんにゃくで作られたからあげを使用し、たんぱく質を含んだ食べ応えのある主菜に。

 

甘酸っぱいタレに絡める具材は、ズッキーニ・ししとう・パプリカ・玉ねぎといった夏野菜です。彩り豊かで、ビタミンやミネラルをしっかり摂れる副菜の役割も果たします。主食を白ご飯にして炭水化物を摂れば完成です。

 

この献立は主食・主菜・副菜が揃い、栄養バランスを意識しながら仕上げられます。夜の食卓にも取り入れやすい一品と言えるでしょう。

 

 

健康的においしく食べるコツ

“体に良い食事のイメージ”

健康を意識した食事は体に良いだけでなく、毎日の活力にもつながります。しかし、どんなに体に良くても「おいしい」と感じられなければ、継続は難しいです。

 

そこで大切なのが、健康的でありながら食べる楽しみもしっかり味わえる工夫です。ここからは日々の食事をもっとおいしく楽しむためのコツを「彩り」「味のバランス」「薬味」の3つのポイントに分けてご紹介します。

 

彩りを意識する

和食には「目で食べる」と言う表現があるように、見た目の彩りも大切な要素です。しかし煮物や揚げ物が多いと全体が茶色くまとまりがちになります。そこで意識したいのが五色=赤・黄・青(緑)・白・黒です。


赤と黄色は食欲を高め、青(緑)は清涼感を演出し、白は清潔感を表し、黒は料理全体を引き締めます。各色の代表的な食材を挙げると、赤はトマトやパプリカ、黄はかぼちゃやとうもろこし、緑はブロッコリーやほうれん草、白は豆腐や山芋、黒はわかめや黒ごまなどです。

 

味のバランスを意識する

料理の味わいを形づくる基本には、五味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)があります。甘味・酸味・塩味はそれぞれ単一の味として感じられますが、苦味にはチョコレートや玉ねぎのように多様な種類があります。

 

さらにうま味は昆布のグルタミン酸をはじめ、かつお節や乾燥椎茸、貝類などにも含まれ、日本料理に欠かせないだしの原点です。五味を意識して取り入れると食事の幅が広がります。

 

薬味を活かす

薬味とは、料理に少量添えて香りや彩りを加える香味野菜・香辛料を指します。薬味は基本的に完成した料理に添えて用いられますが、香り付けをするために調理段階で使用するのがおすすめです。

 

例えば清涼感を出したい時はみょうがや大葉、コクを加えたい場合はごまやくるみ、辛みのアクセントにはわさびや七味、彩りを添えるならネギや糸唐辛子が適しているでしょう。

 

食から健康に!医食同源を実践しよう

“体に良い食事のイメージ”

医食同源とは、食事と健康が深く結びついていると言う考え方です。本記事では栄養バランスやライフステージに合わせた食事のポイント、主食・主菜・副菜を組み合わせた献立例を紹介しました。

 

さらに彩りや味のバランス、薬味の工夫と言った視点を加えることで、見た目や味わいも豊かになります。今日からできる工夫で、医食同源を実践してみましょう。


参考文献

私たちが育む食と未来 第4次食育推進基本計画 農林水産省 参照年月日:2025年9月8日 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/plan/4_plan/attach/pdf/index-25.pdf

ちょうどよいバランスの食生活 農林水産省 参照年月日:2025年9月8日 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wakaisedai/attach/pdf/balance-8.pdf

農林水産省ホームページ 農林水産省 参照年月日:2025年9月8日 https://www.maff.go.jp/index.html

 

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