不足しがちな栄養素とその働き、含有する食べ物
「なかなか疲れが取れない」「何となく体がだるい」そのような悩みを抱えている方は、食事中の栄養素が不足している可能性があります。
丼ものや麺類などの単品メニューばかりが続いている、肉中心の食生活を送っているなど、食生活が偏ると体に必要な栄養素を十分に摂取できません。
本記事では、現代人に不足しがちな栄養素とその働きについて詳しく解説します。各栄養素を含む具体的な食べ物や効率的な摂取方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不足しがちな栄養素とその働き・食べ物

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」と「令和6年国民健康・栄養調査の結果の概要」を比較すると、現代人は以下6つの栄養素が不足傾向にあるようです。
・食物繊維
・ビタミンA
・ビタミンD
・ビタミンC
・カルシウム
・マグネシウム
これらは体の調子を整える上で欠かせない栄養素であるため、日々の食事の中で意識的に取り入れることが大切です。各栄養素の基準値と実際の摂取量との比較、特徴、主な含有食品について詳しく見ていきましょう。
食物繊維
成人男女の1日あたりの食物繊維の目標量は以下の通りです。
【目標量(g/日)】
・成人男性:20〜22以上
・成人女性:17〜18以上
これに対して実際の摂取量を見てみると、男性20〜60代の摂取量が17.5〜19.6g、女性20〜60代の摂取量が14.5〜17.9gで目標量に対して不足気味です。
食物繊維は腸内環境を整えるために欠かせない栄養素の一種で、腸内の善玉菌のエサとなり血糖値の急上昇を抑えたりコレステロール値を調整したりする役割を担う他、たんぱく質や脂質などを吸着し便の体積増加に役立ちます。
一方で、不足すると腸内環境の悪化を招くだけでなく生活習慣病のリスクを高める要因にもなり得ます。日々の食生活に食物繊維を効率的にプラスするには、野菜類や果物・豆類・海藻・きのこ類・全粒穀物などを取り入れると良いでしょう。具体的な食品例は、大麦(押し麦)・さつまいも・おから・切り干し大根・ごぼう・ブロッコリー・モロヘイヤなどです。
ビタミンA
成人男女の1日あたりのビタミンAの推奨量は以下の通りです。
【推奨量(μgRAE/日)】
・成人男性:800〜900
・成人女性:650〜700
実際の摂取量は、男性20代以上で440〜600μgRAE、女性も20代以上で390〜580μgRAEのため、推奨量に足りていません。
ビタミンAは皮膚や粘膜、免疫機能の健康維持の他、視覚機能のサポートに関わる重要な栄養素です。不足すると暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症や肌や喉の乾燥、感染症への抵抗力低下などが起こる可能性があります。
またビタミンAは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。ビタミンAが多い食品はにんじん・かぼちゃ・ほうれん草などです。
ビタミンD
成人男女の1日あたりのビタミンDの目安量は、成人男女ともに9.0μgです。実際の摂取量は、男性20〜70代で5.0〜8.7μg、女性20代以上で4.5〜8.0μgで目安量に達していません。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け骨の健康を維持する働きや、免疫機能を調整する役割を担っています。そのためビタミンDが不足すると骨がもろくなり、骨折や骨粗しょう症を招きやすく、また不足状態が慢性化すると体調を崩しやすくなることも報告されています。
ビタミンDは日光を浴びることで体内でも生成されるため、不足しがちな方は適度な日光浴を行うのもおすすめです。食事からの摂取を意識する場合は、ビタミンDを多く含む青魚や干ししいたけ・きくらげのような食品を摂ると良いでしょう。
ビタミンC
成人男女の1日あたりのビタミンCの推奨量は、成人男女ともに100mgです。実際に摂取している量は男性20〜60代で55〜90mg、女性20〜60代で55〜95mgのため、推奨量に対して不足傾向にあります。
抗酸化作用を持つビタミンCは免疫機能の維持や肌の健康に欠かせない栄養素で、体内で合成できないため毎日の食事からの摂取が不可欠です。不足すると疲労感や肌荒れ、風邪を引きやすくなるなどの症状が現れることがあります。
ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いため、できるだけ新鮮な食品を選んだり短時間で加熱したりすることで効率的に摂取しやすくなります。ビタミンCを多く含む食品例は、アセロラ・キウイフルーツ・レモン・赤ピーマン・芽キャベツ・とうがらし・パセリ・ブロッコリーなどです。
カルシウム
成人男女の1日あたりのカルシウムの推奨量は以下の通りです。
【推奨量(mg/日)】
・成人男性:750〜800
・成人女性:600〜650
実際の摂取量は男性20代以上で420〜570mg、女性20代以上で380〜550mgです。カルシウムは骨や歯の形成に不可欠な栄養素ですが、男女とも推奨量に対して実際の摂取量が顕著に不足していることが分かります。
カルシウム不足は骨密度の低下を招き、将来的な骨粗しょう症のリスクが高まります。またカルシウムは神経や筋肉の働きにも関与しているため、不足すると免疫機能や代謝の低下を招く要因にもなり得ます。
カルシウムは乳製品や小魚、大豆製品などに含まれており、木綿豆腐・小松菜・チンゲンサイ・乾燥ひじきなどを主菜や副菜の1食材として使うと補完しやすいです。
マグネシウム
成人男女の1日あたりのマグネシウムの推奨量は以下の通り示されています。
【推奨量(mg/日)】
・成人男性:330〜380
・成人女性:270〜290
1日あたりの実際の摂取量は男性20代以上で220〜290mg、女性20代以上で190〜260mgです。マグネシウムはエネルギー代謝や神経・筋肉の働きを支える重要なミネラルの一種ですが、成人男女ともに不足しがちな栄養素として知られています。
マグネシウムは体内のさまざまな酵素反応に関与しており、不足すると疲労感や筋肉のけいれん、不整脈などの原因にもなりかねません。慢性的な不足状態に陥ると動脈硬化や精神障害などの症状が現れるケースも見られます。
マグネシウムは海藻、豆類などに多く含まれているため、あおさ・あおのり・わかめ・切り干し大根・らっかせい・きな粉・油揚げなどを意識して取り入れましょう。
無理なく摂取する方法

不足しがちな栄養素を補うためには、自炊だけでなく外食や中食でも「主食・主菜・副菜」を意識したバランスの良い食事を心掛けることが大切です。
例えば丼ものにサラダや味噌汁をプラスするだけでも、一食で補える栄養素の数を手軽に増やせます。この他、朝食は食パンだけでなく野菜ジュースを足す、間食のスナック菓子を果物やナッツ類に替えるなどの方法も有効です。
複数の栄養素を効率的に摂取しバランスの取れた食生活を意識したい方は、以下の記事も参考にしてください。日々の食生活改善のヒントになる内容を詳しく紹介しています。
健康的な食生活とは?健康寿命延伸のための食事のポイントを解説
バランスの良い食事で、不足しがちな栄養素をなくそう!

バランスの良い食事を心掛けることは、現代人に不足しがちな複数の栄養素を補うことにも繋がります。まずは副菜を一品追加する、サラダにおからをトッピングするなど、手軽に始められることから実践してみましょう。
毎日の食事を少しずつ見直して栄養バランスを整え、健康でハツラツとした日々を送ってみてはいかがでしょうか?
参考文献
日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 厚生労働省 参照年月日:2025年4月16日 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf
令和6年国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省 参照年月日:2025年4月16日 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf
健康日本21アクション支援システム 厚生労働省 参照年月日:2025年4月16日 https://kennet.mhlw.go.jp/home/
【監修者】
管理栄養士・和食ライフスタイリスト
合田 麻梨恵

大学卒業後、コンビニ商品開発を経て独立。2万件以上の予防医学に関する論文読破・発酵生産者100軒以上訪問・100名様以上の栄養指導経験を活かし、料理講師やセミナー講師、監修、書籍執筆などを行う。一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会代表理事、「中高年のための食と予防医学」の著者。