米粉と小麦粉の違いは?パンやクッキーの小麦粉を米粉に変えるとどうなる?
最近では、小麦粉の代わりに米粉を使ったパンやお菓子が高い注目を集めています。しかし「米粉と小麦粉の具体的な違いがよく分からない」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、米粉と小麦粉の特徴を解説した上で、それぞれの違いについて詳しく紹介します。米粉と小麦粉の違いを正しく理解し、日々の食生活に役立てましょう。
米粉と小麦粉は何が違う?
米粉と小麦粉の違いを理解するには、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。項目ごとに確認しましょう。【原料】
- 米粉…「米」が原料
- 小麦粉…「小麦」が原料
【栄養価】
食品名 |
カリウム |
マグネシウム |
鉄 |
亜鉛 |
米粉 |
45mg | 11mg | 0.1mg | 1.5mg |
小麦粉(薄力粉1等) |
110mg | 12mg | 0.5mg | 0.3mg |
※すべて可食部100gあたり
出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
【種類】
一口に「米粉」「小麦粉」と言っても、米粉と小麦粉には複数の種類があります。米粉の場合、原料の米の種類や製法の違いによって、たとえば下記のように分類できます。
- 上新粉(原料:うるち米)…精白米を水洗いして水切りした後、生乾きで製粉、乾燥させる
- もち粉(原料:もち米)…製法は上新粉と同じ
- 白玉粉(原料:もち米)…水挽製法にて製粉
一方、小麦粉はグルテンの力の強弱やたんぱく質含有量などによって下記のように分類できます。
- 強力粉(グルテンの質:強)…たんぱく質含有量が多い
- 中力粉(グルテンの質:中)…たんぱく質含有量は中程度
- 薄力粉(グルテンの質:弱)…小麦粉の中ではたんぱく質含有量が最も少ない
また小麦粉は、「一等粉」や「二等粉」など等級別の分類もありますが、これらの等級の違いは小麦粉の品質の違いを意味します。
上記に挙げた米粉、小麦粉の特徴を踏まえた上で、ここからは米粉と小麦粉の細かな違いについて解説します。
1.カロリー
「米粉=低カロリー」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は米粉と小麦粉のカロリーの違いはほとんどありません。
食品名 |
カロリー |
米粉 |
356kcal |
小麦粉(薄力粉1等) |
349kcal |
※すべて可食部100gあたり
出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
2.糖質
米粉と小麦粉の糖質量の違いは、以下の通りです。米粉の方が小麦粉よりもやや糖質の数値が高いことが分かります。
食品名 |
糖質 |
米粉 |
81.3g |
小麦粉(薄力粉1等) |
73.3g |
※すべて可食部100gあたり
出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
3.アミノ酸スコア
アミノ酸スコアとは、食品中に含まれる必須アミノ酸のバランスを評価するための指標です。必須アミノ酸とは人の体を構成する20種類のアミノ酸のうち、人が体内で生成できない9種類のアミノ酸を指し、食品から摂取する必要があります。そのためアミノ酸スコアが高い食品ほど、良質なたんぱく質と言えます。
米粉と小麦粉のアミノ酸スコアは以下の通りです。
- 米粉:89
- 小麦粉:49〜58
※上記のアミノ酸スコアは2007年改定 FAO/WHO/UNU アミノ酸評点パターンの「18 歳以上」の数値を用いて求めたもの。
米粉の方が小麦粉よりもアミノ酸スコアが高いことが分かりますね。
4.グルテンの有無
グルテンとは、小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンを水に加えて混ぜたときにできる成分です。グルテンはパンや麺などを作る上で、生地の粘りや弾力を生み出すために欠かせません。
ただし個人差はあるものの、グルテンの摂り過ぎが小麦アレルギーやセリアック病などに繋がるケースも報告されているため、体質に合わない方は小麦粉の過度な摂取は控えましょう。
一方、米を原料とする米粉にはグルテンが含まれていません。小麦アレルギーの方でも安心して食べられるのは、米粉の大きな魅力のひとつと言えるでしょう。ただし米粉製品の中には小麦由来の食材が使用されている場合もあるので、確認してからご利用ください。
5.味わい
米粉と小麦粉は、味わいにも違いがあります。
- 米粉製品:お米のほんのり甘い風味に仕上がりやすい
- 小麦粉製品:さくさくするなど、使用する小麦の種類によって多様な食感や風味に仕上がる
小麦粉製品の食感や味わいが多岐に渡る理由については、使用する小麦粉のグルテン含有量やグルテンの質が大きく関係しています。一般的に、グルテン量が多くグルテンの強度が高い小麦粉はパンや中華麺などの製造に適しており、逆の特徴を持つ小麦粉はお菓子作りなどに適しているケースが多いです。
小麦粉を米粉に変える場合のメリット
米粉を食べることは上述の通り、小麦アレルギーの方でも安心でき、小麦粉よりもアミノ酸スコアが高く良質なたんぱく質を摂取しやすい他、日本の食料自給率アップにも貢献できます。
重量ベースの品目別自給率を比べると、米は97%で小麦は16%です。ご存知の通り米は国内で自給可能な数少ない食品のひとつである一方で、日本で使用される小麦粉の多くは輸入に頼っています。つまり、米を原料とする米粉を活用することは、国産米の積極的な消費につながり、結果的に日本の食料自給率を向上させられるのです。
また玄米粉を小麦粉の代わりに使用すると、食物繊維や抗酸化作用のあるフェルラ酸や血糖上昇を抑えるGABAなどを摂取できます。
食品別!小麦粉を米粉に置き換えた時の違い
次は、小麦粉を米粉に置き換えた時の食品別の違いについて詳しく見ていきましょう。
1.パン
米粉にはグルテンが含まれていないので、パン作りの際に生地をこねる工程を短縮できます。また小麦粉を使用したパンと比べて、お米の風味を味わえるのも特徴のひとつです。
最近ではパン作りに特化した米粉なども販売されており、専用の米粉で作ったパンは、比較的もちもちとした食感に仕上がります。
2.クッキー
米粉は油分が少なくサラサラとしているため、クッキーやケーキなどのお菓子作りをする際、米粉の粒度や水分量によっては小麦粉のように粉をふるう工程を短縮できる場合があります。米粉の種類によってはそのまま使用しても粉がダマになりにくいため、小麦粉よりも手軽にお菓子作りを楽しめます。
3.麺
米粉のでんぷん成分のアミロペクチンの含有量が多いと、もちもちとした食感にはなりますが麺同士がくっつきやすくなります。アミロース含有量が多い米粉で作った麺は、茹でても溶けにくく、麺同士がくっつきにくいという特性があります。
4.ホワイトソース系
調理中にできるダマに悩まされがちなホワイトソースも、米粉であれば小麦粉よりも手軽に作ることができます。米粉で作ったホワイトソースは、シチューやグラタン、ドリアなどの料理に応用してもおいしくいただけます。
5.揚げ物
米粉は小麦粉よりも油の吸収率が15%以上も低いので、揚げ物に使うとサクサク食感を長時間持続でき、小麦粉を使用した揚げ物よりもさっぱりとした味わいに仕上がります。また米粉は小麦粉よりも消化が良いので、米粉で作った揚げ物は食後胃もたれをしにくいと言われています。
小麦粉を米粉に置き換えれば健康になれるのか
小麦アレルギーやセリアック病の方の場合、小麦粉を米粉に置き換えることで症状の緩和が期待できるでしょう。セリアック病とは、どの年齢層にも起こり得るグルテン過敏性腸疾患です。セリアック病に関する詳細は下記の記事で解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。
グルテンフリーとは?海外の基準やグルテンフリー食品の選び方(同タイミングで作成中)
ただし、小麦粉を米粉に変えるだけで健康になれる訳ではありません。健康な体作りには、栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠が必要不可欠です。日々の生活リズムを整えることが、健康への最優先事項であることを忘れないようにしましょう。
小麦粉を米粉に置き換えればダイエットできるのか
結論から言うと、小麦粉を米粉に置き換えるだけではダイエットに繋がりません。そもそもダイエットとは、食事量の調整や運動を通して、健康的に適正体重を目指す行為を意味します。そのため、小麦粉とほぼ同カロリーかつ小麦粉よりもやや糖質量の多い米粉を日々の食生活に取り入れるだけでは、ダイエットにはならないのです。
米粉をダイエットの一環として活用したい場合は、米粉以外の食材で栄養バランスの整った低カロリーの献立を作る、日々の運動量を増やすなど、+αの取り組みが必要です。
小麦粉を米粉に置き換えるメリットは4つ!
今回紹介したように、米粉を小麦粉に置き換えることの代表的なメリットとして、下記の4つが挙げられます。
- アミノ酸スコアが小麦粉より高く、良質なたんぱく質を摂取しやすい
- 小麦アレルギーやセリアック病の方でも口にできる
- 日本の食料自給率アップに繋がる
- 機能性の高い玄米粉を使用する場合、より効率的に体を整えられる
BEYOND FREEでは、アレルギー特定原材料等28品目不使用&グルテンフリーの玄米ブレッドや、動物性原材料不使用(※)の米粉麺でつくった彩り野菜まぜそば、米粉麺でつくった汁なし担々麺など、米粉を使った豊富な商品を取り揃えています。
どれも原材料やおいしさにこだわった商品ばかりなので、ぜひ環境と体に優しいBEYOND FREE商品を日々の食卓に添えてみてくださいね。
※動物性原材料とは牛肉・豚肉・鶏肉・卵・乳・はちみつなどの畜産物、魚介類を含む原材料を指します。
※原材料を細かくさかのぼった起源原料や製造工程において、一部動物性原材料が含まれる場合があります。
※動物性原材料を含む製品と製造ラインを共用しています。
※原材料をさかのぼった起源原料や製造工程等において、一部植物由来でない原材料が含まれる場合があります。
【参考文献】
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省
米粉の種類と用途 東海農政局 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/tokai/seisan/shinko/komeko/type.html
小麦粉の種類について教えてください。 農林水産省 2024年4月4日参照https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1106/02.html?fpc=94.15.30.f9656fe000d91c6c.1629315945000
表の参考資料 農林水産省 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/200331/attach/pdf/index-7.pdf
良質なたんぱく質 e-ヘルスネット 厚生労働省 2024年4月4日参照 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html
日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)アミノ酸成分表編 文部科学省 2024年4月4日参照 https://www.kyoiku-tosho.co.jp/data/correct/teisei_colorchart.pdf
広がる米の可能性 カラダにやさしい「米粉」の魅力 農林水産省 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2011/spe1_03.html#:~:text=%E9%BA%A6%E3%82%92%E5%8E%9F%E6%96%99%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B,%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
NPO法人 国内産米粉促進ネットワーク 欧米・豪州等6か国、組織における グルテンフリー表示に係る調査報告書(海外文献・資料に基づく)2024年4月4日参照https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/index-63.pdf
米・米粉をめぐる状況について 農林水産省 九州農政局 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/kyusyu/seiryuu/komeko/attach/pdf/230307-3.pdf
国産小麦の品質特性と今後の方向性(国研)農研機構 西日本農業研究センター麦類育種グループ 上級研究員 池田達哉 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2019/attach/pdf/191023_02.pdf
その1:食料自給率って何?日本はどのくらい? 農林水産省 2024年4月4日参照 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-01.html#%23J_ohanasi01-02
もちもちフワフワ!食べておいしい米粉の魅力 政府広報オンライン 2024年4月4日参照 https://www.gov-online.go.jp/article/202312/radio-1265.html
バイオテクノロジー応用食品のアレルギー誘発性に関する FAO/WHO専門家会議報告書 国連食糧農業機関 2024年4月4日参照 https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/04-02.html#no4
心身ともに健康な生活と安心で質の高い 効率的な医療の確保等のための施策の推進 厚生労働省 2024年4月4日参照 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/07/dl/0201.pdf
ダイエット e-ヘルスネット 厚生労働省 2024年4月4日参照 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html