豆乳の栄養素は種類によって変わる?牛乳・アーモンドミルク・オーツミルクとの栄養素比較も

近年、健康志向の高まりとともに注目を集めている「豆乳」。豆乳とは大豆を水に浸してすりつぶし、煮詰めた汁を濾した飲料です。良質なたんぱく質やミネラルなどが含まれていますが、豆乳の種類によって栄養成分や味わいが異なるのはご存じでしょうか?

この記事では豆乳の基礎知識や種類ごとの違い、選び方など豆乳の魅力をお伝えします。牛乳・豆腐・納豆との栄養素比較も行っているので参考にしてください。

 

豆乳の種類と違い

豆乳と大豆

市販の豆乳は無調整・調製・豆乳飲料の3つの種類に分類されており、栄養素やカロリー、味わいなどが異なります。それぞれどのように違うのかみていきましょう。

 

大豆固形分の違い

豆乳の種類は大豆固形分(豆乳中の水分を除いた大豆成分の割合)の量によって決まります。数値が高いほど大豆成分や栄養密度が高く、反対に数値が低いほど大豆特有の香りや味わいが少なく飲みやすいです。

「無調整豆乳」は大豆と水のみでできており、大豆固形分が8%以上とされています。大豆を煮詰め、繊維などを取り除いてたんぱく質やミネラルなどの成分が溶出されたものです。

「調製豆乳」は無調整豆乳に塩や砂糖などを加えて大豆特有のクセがない味付けにしたもので大豆固形分は6%以上、「豆乳飲料」は調製豆乳に果汁やコーヒーなどを加えて飲みやすくしたもので大豆固形分は4%以上とされています。

 

カロリーや栄養素の違い

次に、豆乳の栄養成分表をみていきましょう。カロリーや脂質、糖質、ミネラルなどに違いがあるのが分かります。

 

豆乳(無調整豆乳)

調製豆乳

豆乳飲料

カロリー(kcal)

43 61 57

たんぱく質 (g)

3.6 3.2 2.2

脂質(g)

2.8 3.6 2.2

糖質(g)

1.4 3.7 6.8

カリウム(mg)

190 170 110

マグネシウム(mg)

25 19 13

(mg)

1.2 1.2 0.3

ビタミンEの総量(mg)

0.1 2.2 0.3

ビタミンB1(mg)

0.03 0.07 0.02

※すべて100gあたりの量
※糖質量は炭水化物から食物繊維を差し引いて算出
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


上記の表において、豆乳の栄養成分は100gあたりで記載しているのでカロリー計算も簡単にできます。例えば400g飲んだ場合のカロリーは、上記に記載のカロリーを4倍すれば求められるので参考にしてください。

 

他にもある!豆乳の栄養と特徴

豆乳

豆乳はたんぱく質や脂質、炭水化物(糖質、食物繊維)、ビタミン、ミネラルといった五大栄養素だけでなく、イソフラボンやサポニン、レシチンなどの栄養成分が含まれているのが特徴です。栄養成分は個々で異なる働きを持つため以下で解説していきます。

 

イソフラボン

大豆には、大豆イソフラボンが含まれています。大豆イソフラボンとは大豆に含まれる植物性エストロゲンの一種です。女性ホルモンのエストロゲンと似た構造、作用を示すとされています。

代表的な効果として、強い抗酸化作用があげられます。抗酸化作用とは、体内を酸化させ老化や病気の原因となる過剰な活性酸素の活動を抑える働きです。また更年期障害の症状緩和、骨粗鬆症の防止などに影響を与える可能性があるともいわれています。

一方で食品安全委員会では摂取目安量が定められていて、特定保健用食品の食品健康影響評価によると大豆イソフラボンの安全な摂取目安量の上限値は1日当たり70~75mgです。

日本人は納豆や豆腐、味噌などの大豆食品を日常的に摂取しており、それを前提とすると、継続的に上乗せして摂取できる量は30mgが上限値とされています。

 

サポニン

サポニンは水に溶かすと泡立ち、洗浄力を持つため古くから石鹸として利用されてきた天然の化合物です。植物の根、葉、茎などの他、大豆に多く含まれており、大豆を煮たときに出る苦味や泡立ちの成分としても知られています。

また天然の乳化剤であり乳製品や菓子類、また洗剤や化粧品など幅広い用途に使われてきました。近年ではその健康効果や機能性に着目され、研究が進んでいます。体内の酸化を抑える抗酸化作用がある他、コレステロールや過酸化脂質を減らす作用などが示されています。

 

レシチン

レシチンは卵黄、大豆などに多く含まれるリン脂質の一種です。細胞膜や脳神経細胞の膜構成成分として重要な役割を果たしています。水と油を混ぜ合わせ、互いに混ざりやすい状態にする乳化作用があるのも特徴です。

またレシチンは中性脂肪を抑える働きがあるといわれています。反対に不足すると細胞膜の機能が低下したり、コレステロールの蓄積による動脈硬化をはじめとした生活習慣病のリスクが高まったりするといわれている成分です。

 

オリゴ糖

オリゴ糖は数個の糖分子が結合した天然の糖質で、少糖類とも呼ばれています。砂糖とは異なり、体内で消化されずに腸まで届き、善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌のエサとなります。

腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類があり、日和見菌は善玉菌にも悪玉菌にもなり得る中間の存在です。腸内環境を整えるにはいかに善玉菌を増やすかが重要で、オリゴ糖は効率的に善玉菌を増やすといわれています。

大豆にも「大豆オリゴ糖」が含まれておりビフィズス菌を増殖させる要素となるため、腸内環境が整うと便秘改善や菌の感染予防、免疫力向上などの他、肥満や糖尿病、大腸がんなどの予防につながるとされています。

 

フィチン酸

フィチン酸は穀類、豆類などの種子や植物の胚芽に多く含まれる天然の化合物です。フィチン酸はリンの重要な貯蔵栄養素である一方、さまざまなミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など)を取り囲みやすく吸収を阻害してしまいます。

吸収阻害の程度は食材によって異なります。例えばほうれん草(フィチン酸)と牛乳を合わせると牛乳に含まれるカルシウムの吸収低下が起こるものの、小麦製品(フィチン酸)では吸収低下が起きないとされているのです。

フィチン酸は強い抗酸化作用を持つためがん予防に関連していたり、尿中カルシウム濃度に影響するため尿路結石や腎結石予防に関連していたりするといわれています。

 

気になる食品と栄養素を比較!

“大豆と大豆製品”

様々な種類の栄養成分を持つ豆乳ですが、類似する他の食品も気になるところです。代表的な食品と比較してみましょう。

 

牛乳との比較

牛乳の代替として利用されることもある豆乳ですが、栄養素や栄養素の健康効果には違いがあります。牛乳はカルシウムが豆乳よりも多いため骨や歯をつくる働きへの影響がより期待でき、豆乳は、たんぱく質は牛乳と同等ながら低カロリー、低糖質のため腸内環境を整える働きがより期待できるでしょう。

 

豆乳

牛乳

カロリー(kcal)

43 61

たんぱく質(g)

3.6 3.3

脂質(g)

2.8 3.8

糖質(g)

1.4 4.8

カルシウム(mg)

15 110

マグネシウム(mg)

25 10

鉄(mg)

1.2 0

※すべて100gあたりの量
※糖質量は炭水化物から食物繊維を差し引いて算出
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

 

 

アーモンドミルクとの比較

アーモンドミルクとは、砕いたアーモンドと水から作られる植物性の飲料です。牛乳にアーモンドが入った飲料ではありません。海外では健康飲料として飲まれています。アーモンドミルクは豆乳と比較して低カロリーですがカルシウム含有量が多く、豆乳はアーモンドミルクよりもたんぱく質、マグネシウム、葉酸が多いのが特徴です。

 

豆乳

アーモンドミルク(冷蔵)

カロリー(kcal)

43 19

たんぱく質(g)

3.6 0.66

脂質(g)

2.8 1.56

炭水化物(g)

2.3 0.67

食物繊維(g)

0.9 <0.75

カルシウム(mg)

15 158

マグネシウム(mg)

25 8.2

葉酸(豆乳)
葉酸塩(アーモンドミルク)(μg)

28 <6

 ※すべて100gあたりの量
※豆乳の糖質量は炭水化物から食物繊維を差し引いて算出
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
※出典:FoodData Central

 

 

オーツミルクとの比較

オーツミルクとはオーツ麦からつくられる植物性の飲料をいい、アーモンドミルク同様、海外では一般的に飲まれている健康飲料の一つです。オーツミルクは豆乳よりもカルシウムやリンが多く、豆乳はオーツミルクよりもたんぱく質やカリウム、マグネシウム、鉄などが多いのが特徴です。

 名称

豆乳

オーツミルク(冷蔵)

カロリー(kcal)

43 48

たんぱく質(g)

3.6 0.8

脂質(g)

2.8 2.75

炭水化物(g)

2.3 5.1

食物繊維(g)

0.9 <0.75

カリウム(mg)

190 148

カルシウム(mg)

15 148

マグネシウム(mg)

25 5.9

リン(mg)

49 89

鉄(mg)

1.2 0.26

葉酸(豆乳)
葉酸塩(オーツミルク)(μg)

28 <6
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
※豆乳の糖質量は炭水化物から食物繊維を差し引いて算出
※出典:FoodData Central

 

豆乳でダイエットできる?

“体重計とメジャー”

豆乳は高たんぱく・低カロリーで腸内環境を整え、ダイエットに役立つイメージがありますが、豆乳を飲むだけで痩せるわけではありません。ダイエットには食事全体のカロリー収支と適度な運動、規則正しい生活が重要です。

ダイエットの基本は、摂取カロリーよりも消費カロリーを多くすることです。摂取カロリーを極端に減らすとストレスの原因となる他、基礎代謝の低下、必須栄養素の不足による健康リスクなどが考えられます。

豆乳はカロリーを抑えながら、栄養バランスを整える補助的な役割と考えましょう。

 

豆乳を飲んで様々な栄養を摂り入れよう!

“豆乳をグラスに注いでいる”

日本人の食卓に欠かせない大豆ですが、豆乳は数多くの栄養成分が含まれているため健康的な生活に取り入れやすく、液体・粉末があり様々な楽しみ方もできる食材です。

豆乳だけでなく、代替品や類似する食品である牛乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどの栄養素の違いを理解して選択しましょう。忙しい日々の中でも簡単に摂取できるので、食生活に取り入れて健康と美容にお役立てください。

BEYOND FREEでは、植物由来の材料を使ったメニューでみなさまの健康と豊かな食卓をサポートしております。独自の製法でふんわり・しっとり仕上げ、豆乳独特の風味が気になるという方にも楽しめる仕立てです。ぜひお試しください。

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参考文献

豆乳類の日本農林規格 昭和56年11月16日農林水産省告示第1800号 参照年月日:2024年5月22日 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/attach/pdf/kokujikaisei-35.pdf

食べ物に関するミニ知識、その他「大豆イソフラボン」2014(平成 26)年3月20日/3月27日配信 参照年月日:2024年5月22日 https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/sousyuhen.data/09.pdf

大豆イソフラボンの安全な摂取目安量の設定の検証 厚生労働省 参照年月日:2024年5月22日 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0616-3c05.pdf

大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方 食品安全委員会 参照年月日:2024年5月22日 https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf

フィチン酸について 日本食品分析センター 参照年月日:2024年5月22日 https://www.jfrl.or.jp/storage/file/news_no78.pdf

大豆 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 参照年月日:2024年5月22日 https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/42.html

豆の主な機能性成分 公益財団法人日本豆類協会 参照年月日:2024年5月22日 https://www.mame.or.jp/eiyou/kinou.html

抗酸化物質 厚生労働省 e-ヘルスネット 参照年月日:2024年5月22日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

カルシウム 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 参照年月日:2024年5月22日 https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/01.html