チアシードとは?含まれている栄養と効果やアサイーとの関係性

チアシードはスーパーフードとして注目されている食材です。水につけるとゼリーのようなとろみがつき、プチプチした食感になります。アサイーやキヌアと一緒に紹介されるケースも多いので、名前だけは知っているという方もいるでしょう。

本記事では、チアシードの栄養や期待できる効果などを解説します。チアシードについて知り、健康に役立てましょう。

 

チアシードとは

“チアシード”

チアシードとはチアと言うシソ科の植物の種です。表面は滑らかで白や灰色、茶色をしており、黒い斑点を有します。チアシードを日本で見かけることが多くなったのはここ数年ですが、何千年も前から薬用として利用されてきました。「チア」とはナワティ語が由来とされ「油っぽい」という意味の「chian」または「chien」をスペイン語に訳したと言われています。

チアシードは質量の12倍もの水分を含み、水分を含むとゲル化してとろりとした質感に変化するのが特徴です。この特徴を生かし、現在では焼き菓子や乳製品飲料、スムージーやサラダなどに使う卵や油の代用として使われる時もあります。

また健康に役立つ食材として注目されていますが、その理由はチアシードには食物繊維やα-リノレン酸が多く含まれているためです。

 

アサイーとの関係性

チアシードやアサイー、キヌアは一般的に「スーパーフード」と言われています。一緒に取り上げられるケースもよくありますが、実はスーパーフードとは学術的な分類ではありません。

共通してスーパーフードは栄養効率が良く、抗酸化物質を多く含んでいます。それぞれ特徴やおいしい食べ方が異なるので、自分に合ったスーパーフードを取り入れるのが良いでしょう。

アサイーやキヌアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。健康のためにスーパーフードを試してみたい方はぜひ参考になさってください。
 

チアシードに含まれるカロリー・栄養成分

“チアシード”

チアシードに含まれる栄養成分は、次の通りです。

乾100gあたり

15gあたり
(約大さじ1杯分)

エネルギー(kcal)

446 67

たんぱく質(g)

19.4 2.9

脂質(g)

33.9 5.1

炭水化物(g)

34.5 5.2

カリウム(mg)

760 110

カルシウム(mg)

570 86

鉄(mg)

7.6 1.1

亜鉛(mg)

5.9 0.9

ビタミンB1(mg)

0.97 0.15

食物繊維(g)

36.9 5.5

n-3系多価不飽和脂肪酸(g)

19.43 2.9

α-リノレン酸(mg)

19,000 2,850

※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


チアシードは大さじ1杯分を食べるだけでもカリウム・カルシウム・鉄・亜鉛などのミネラル、ビタミンB1の補給にもつながります。また食物繊維やn-3系多価不飽和脂肪酸(以下、オメガ3脂肪酸)、α-リノレン酸はチアシードの特徴としてよく取り上げられている栄養成分です。詳しくは以下で解説します。

 

食物繊維の量が多いって本当?

食物繊維とはヒトの消化酵素では消化できずに腸まで届き、便通を整える働きなどがある栄養素の一つです。この食物繊維がチアシードに多く含まれていると言われていますが、本当なのかどうかを他の食物繊維が多いと言われる食品と比較してみました。

  • チアシード  36.9g
  • キヌア 6.2g
  • おから 11.5g
  • こんにゃく 2.2g
  • ごぼう 5.7g

※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


チアシードの食物繊維含有量は4つの食品の中でもっとも多いおからの約3倍です。現在日本人における食物繊維の摂取量は減少傾向にあり、1日あたり3〜4g多く食物繊維を摂るように推奨されているので、チアシードを上手に使いたいですね。

 また食物繊維についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。食物繊維が多く含まれる食べ物も紹介していますので、食生活の見直しに役立つでしょう。
 

オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が多いって本当?

チアシードにはα-リノレン酸が多く含まれる点も魅力です。α-リノレン酸は植物や魚のあぶらをつくる必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸の一つで、ヒトの体内では合成できません。そのため必要量を食事から補足する必要があります。

チアシードは健康に良いと言われるアーモンドやけし、ごまや落花生と比較してもオメガ3脂肪酸やα-リノレン酸を多く含んでいます。

 

チアシード

アーモンド

けし

ごま

落花生
(小粒種)

n-3系多価不飽和脂肪酸(g)

19.43 0.01 0.28 0.15 0.09

α-リノレン酸(mg)

19,000 9 280 150 91

※すべて乾燥の100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


また1日に摂りたいオメガ3脂肪酸の目安量・年齢別の基準は次の通りのため、参考にして食事から補いましょう。

 年齢

男性(g)

女性(g)

0ヶ月〜2歳

0.9 0.9

3~5歳

1.2 1.2

6~7歳

1.6 1.3

8~9歳

1.7 1.5

10~11歳

1.8 1.7

12~14歳

2.1 2.1

15~17歳

2.5 2.1

18~29歳

2.1以上 1.8以上

30~49歳

2.2以上 1.8以上

50~69歳

2.4以上 2.1以上

70歳以上

2.2以上 1.8以上

妊婦

- 1.9

授乳婦

- 1.7

                                        ※nー3 系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)
            ※出典 厚生労働省|「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|脂質
              ※*は目標量、他は目安量

 

チアシードが健康に与える効果

“チアシード”

ここまで栄養成分の種類や量を紹介してきましたが、実際に私たちにとってどんな影響があるのでしょうか。チアシードを食べると嬉しい4つのメリットをご紹介します。

 

ダイエットのサポートに

上述の通り、チアシードは食物繊維の含有量が多い食材です。食物繊維は内臓脂肪の原因となる余分な脂質や糖を吸着し、体外へ排出する作用があります。

 

腸内環境を整える

私たちヒトの腸には腸内細菌が1000種類、100兆個住んでいると言われています。この腸内細菌の善玉菌を増やすと腸内環境が整い健康な体づくりにつながります。そのためには食事から、食材に含まれる善玉菌そのものを取り込むか、善玉菌のエサになるものを食べて善玉菌を増やすことが大切です。

この善玉菌のエサになる内の一つは食物繊維で、チアシードには食物繊維が多く含まれています。チアシードの他にも整腸作用が期待できる食品があるので、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

 

中性脂肪を低下させる

チアシードに含まれるオメガ3脂肪酸は、心疾患の原因となるトリグリセリド(中性脂肪)の値を下げる効果があると考えられています。実際、オメガ3脂肪酸を含むいくつかの薬はトリグリセリドの数値を低下させるための処方薬として使われています。

 

抗酸化作用がある

チアシードには、高い抗酸化作用を持つことが明らかになっています。

抗酸化作用とは過剰に発生した活性酸素から細胞を守る働きのことです。活性酸素は体内で有益な働きをしますが、過剰に発生すると病気や老化の原因となります。例えば紫外線やストレス、喫煙などは活性酸素を多く発生させるため注意が必要です。

また抗酸化力が高いと言われるプルーンやヘーゼルナッツ、アーモンド、ブルーベリーなどとチアシードの活性酸素吸収能力を比較した研究において、チアシードはプルーンやヘーゼルナッツと同程度であり、アーモンドやブルーベリーよりも高いと言う報告があります。

 

チアシードの食べ方

“チアシード”

チアシードには生タイプか乾燥タイプがありますが、乾燥タイプの場合には水戻しが必要です。チアシードは水分を吸うと膨らんでプチプチとした食感になり、味や香りにクセもないので、この食感を生かして様々な料理で楽しみましょう。 

例えばヨーグルトやムースなどに入れてデザートにすると、おいしく食べられます。またチアシードと同じくスーパーフードとして注目されているアサイーと一緒に、アサイーボウルにすれば栄養たっぷりの朝食が完成です。アーモンドミルクやスムージーに入れれば、腹持ちも良くなります。

またご飯に混ぜておにぎりにしたり、ごまのようにサラダにトッピングしたりも良いでしょう。

 

チアシードを食べる時のポイント

“チアシード”

チアシードは食事やデザートに取り入れやすい食材ですが、食べ過ぎに注意しましょう。食物繊維が多いため、お腹の調子が悪くなるかもしれません。どんな食材も食べ過ぎれば体に負担となります。適量を意識しましょう。

 

チアシードを買える場所

“ショッピング”

チアシードはスーパーマーケットや百貨店、オーガニックストアなどで販売しています。近所にお店がない場合は、ECサイトでも購入可能です。チアシードは生タイプと乾燥タイプがあるので、長く保存したいなら乾燥タイプを選ぶと良いでしょう。

 

チアシードとはアサイーと同じスーパーフードの一つ!

“チアシード”

チアシードはアサイーやキヌアなどと同じスーパーフードの一つで、食物繊維やα-リノレン酸が含まれている点が特徴です。食物繊維の働きでダイエットのサポートや便秘の予防、α-リノレン酸の働きで中性脂肪の低下などの効果が期待できるかもしれません。

またチアシードはクセがなく、様々な使い方が可能です。食事やお菓子、ドリンクなどに合わせてプチプチとした独特の食感を楽しみましょう。健康的な生活を目指す方はぜひチアシードを試してみてくださいね。



参考文献

チアシードの化学組成と栄養価 MDPI 参照年月日2024年8月9日 https://www.mdpi.com/2072-6643/11/6/1242

食物繊維 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日2024年8月9日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html

食物繊維の必要性と健康 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日2024年8月9日
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 脂質 厚生労働省 参照年月日2024年8月9日
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4g.pdf

オメガ3系脂肪酸 eJIM 厚生労働省 参照年月日2024年8月9日 https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/10.html

活性酸素と酸化ストレス e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日2024年8月9日
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html