フレイル予防の食事とは?献立やちょい足しのポイントなども紹介
「人生100年時代」と言われる現代、フレイルを予防するためには日々の食事を見直すことが大切です。しかし、食習慣はすぐに変えられるものではありません。一番若い今日から行動を始め、年齢を重ねても自分らしく過ごせるよう食事を整えていきませんか?
本記事ではフレイル予防に繋がる食事を具体的に紹介します。日常に取り入れやすい献立やちょい足しアイデアなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
フレイルとは

そもそもフレイルとは、健康な状態と生活を送るために支援が必要になる要介護状態の中間段階を指します。特に以下3つのフレイルが同時進行すると自立度が下がり、要介護状態へ移行するリスクが高まると指摘されています。
●身体的フレイル:加齢に伴う筋肉量や筋力の低下、移動機能の低下
●精神・心理的フレイル:意欲の低下やうつ傾向、軽度の認知症など
●社会的フレイル:外出機会や交流機会の減少、独居などによる社会的つながりの希薄化
フレイルを予防するための食事

前述のようにフレイルに関係する要素は食事だけでなく運動や睡眠、社会参加など多岐に渡ります。今回は食事面に焦点を当てて、日常生活で意識しやすいフレイル予防のポイントを解説します。
できるだけ誰かと一緒に食事をする
孤食の頻度が多い方は、誰かと一緒に食卓を囲む機会を増やしてみましょう。栄養面に加えて食事時間の過ごし方を見直すことも、フレイル対策に繋がります。
家族や友人と会話を楽しみながら食事をすると、お箸が進みやすくなるでしょう。家族が近くにいない場合は、市や町内会の集まりなど地域の交流イベントを活用するのも1つの方法です。
1日朝・昼・夜の3食しっかりとる
1日3食、十分な食事を行うことで、必要な栄養素をカバーしやすくなります。1日2回以上は主食・主菜・副菜を組み合わせた献立にしましょう。具体例は以下です。
●主食:ご飯、主菜:こんにゃくステーキ、副菜:ほうれん草のお浸し・納豆
●主食:パン、主菜:大豆ミートのハンバーグ、副菜:コールスロー・ひじきの煮物
疲れている時はスーパーのお惣菜や冷凍食品、外食などに頼っても問題ありません。日常に取り入れやすい工夫を凝らしながら、主食・主菜・副菜の組み合わせを意識してみてください。
また朝・昼・夜と食事時間を一定にすると生活リズムを整えやすくなるため、その観点からも重要です。
同じ食品に偏らないようにする
多様な食品を取り入れることで、栄養面の偏りを防ぎやすくなり、フレイル予防に繋がります。
毎日少なくとも4食品、可能であれば7食品以上を目指してみましょう。特に高齢者は以下の摂取が減っていると言う調査結果があるので、日々の食事で少しずつ取り入れることを意識してみてください。
●いも類
●海藻類
●肉類
例えば、いつもの味噌汁にさつまいもやひじきを入れたり、いつものサラダに水戻ししたわかめや蒸し大豆を入れたりすると簡単に食品数を増やせます。まずは今の食事にプラス1食品、2食品など続けやすいところから始めましょう。
繊維質の多い食品をとる
高齢者は年齢とともに噛む力が劣るため、フレイル予防には自然と咀嚼回数が増える繊維質の多い食品を摂取します。具体的には以下のような食品です。
●にんじん
●ごぼう
●こんにゃく
●わかめ
など
生やそのままの大きさで食べにくい場合は、調理方法を工夫してみましょう。蒸し野菜にしたり、こんにゃくを小さめにカットしたりするだけでも食べやすさが格段に上がります。ただし繊維質の多い食品を扱う際は、必ず実際の噛む力や飲み込む力に合わせて調理法を調整してください。
以下の記事では食物繊維の多い食べ物や無理なく摂取するコツも紹介しています。
食物繊維の多い食べ物の項目別ランキング!摂取するコツもご紹介
たんぱく質を摂る
筋力が低下しやすい高齢者は、筋肉をつくる元となるたんぱく質を意識的に摂りましょう。以下の表に、1日あたりの年齢別・男女別のたんぱく質摂取の目標量をまとめました。
▼年齢別・男女別たんぱく質の目標量
【男性】
|
年齢(歳) |
最小 |
最大 |
|
18〜29 |
85 | 130 |
|
30〜49 |
89 | 138 |
|
50〜64 |
93 | 133 |
|
65〜74 |
88 | 118 |
|
75以上 |
84 | 113 |
※小数点第一位を四捨五入した値
※出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準2025年版
【女性】
|
年齢(歳) |
最小 |
最大 |
|
18〜29 |
63 | 98 |
|
30〜49 |
67 | 103 |
|
50〜64 |
68 | 98 |
|
65〜74 |
69 | 93 |
|
75以上 |
66 | 88 |
※小数点第一位を四捨五入した値
※出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準2025年版
たんぱく質を摂る方法として、主菜になるたんぱく源を増やす以外にもプラス1食品のちょい足しで手軽に補完する方法もあります。以下ではその場面で使いやすい野菜類・きのこ類・果実類を、たんぱく質の多い順に5つずつ紹介します。具体的なちょい足しアイデアにも触れているので、ぜひ参考にしてください。
また、以下の記事では大豆のたんぱく質含有量や大豆製品の種類について解説しています。
大豆のたんぱく質ってすごい?含有量や種類、大豆食品や野菜などとの比較
たんぱく質の多い野菜類
たんぱく質を多く含む野菜類は、以下の通りです。
●えだまめ/冷凍 13.0g
●らっかせい/未熟豆/生 12.0g
●ブロッコリー/花序/焼き 9.9g
●えんどう類/グリンピース/ゆで 8.3g
●くわい/塊茎/生 6.3g
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
下処理が済んでいる冷凍野菜をパスタや野菜炒めに入れると時短でたんぱく質を簡単にプラスできる上、献立の彩りも良くなります。生野菜は茹でてサラダにしたり、炒め物のプラス1食品として活用したりするのもおすすめです。
以下の記事ではたんぱく質の多いブロッコリーについて詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてください。
たんぱく質の多いきのこ類
たんぱく質を多く含むきのこ類は、以下の通りです。
●まいたけ/乾 21.9g
●きくらげ/乾 7.9g
●ひらたけ類/エリンギ/焼き 4.2g
●ぶなしめじ/素揚げ 3.9g
●生しいたけ/原木栽培/油いため 3.8g
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
乾燥したきのこ類はそのまま味噌汁に入れたり、水戻しして炒め物に入れたりすると日々の食事に手軽に取り入れられます。生のきのこ類は下処理後、醤油炒めにしたり細かく刻んで隠し味にしたりする方法もおすすめです。
きのこに含まれる栄養素をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
きのこに含まれる栄養とその働きとは|おいしさと栄養を逃さない調理法も
たんぱく質の多い果実類
たんぱく質を多く含む果実類は、以下の通りです。
●ぶどう/干しぶどう 2.7g
●アボカド/生 2.1g
●ココナッツ/ココナッツミルク 1.9g
●すぐり類/カシス/冷凍 1.6g
●さくらんぼ/米国産/生 1.2g
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
果物はおやつや朝食にプラス1品すると良いでしょう。調理にも使いやすいアボカドは醤油をかけてそのまま食べたり、カシスは解凍後にサラダの飾りにしたりするのもおすすめです。
果物ついてより理解を深めたい方は、野菜と果物の違いを解説している以下の記事もぜひ参考にしてください。
野菜と果物の違いを分かりやすく解説!トマトやいちごはどっち?
フレイル予防を食事から始めよう!

年齢を重ねても心地良く日々を過ごすには、食事の取り方や献立の栄養素を見直すことが大切です。ただしフレイルは食事面だけでなく、その他の生活習慣や社会的な繋がりにも気を配る必要があることを覚えておきましょう。
まずはプラス1品を意識する、冷凍食品を上手く活用するなどして、無理のない範囲で食生活を整えてみてください。今回紹介したたんぱく質のちょい足しアイデアなども参考にしながら、食事を通して気軽にフレイル予防を始めてみてはいかがでしょうか?
参考文献
健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ 厚生労働省 参照年月日:2025年12月2日 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
食べて元気にフレイル予防 厚生労働省 参照年月日:2025年12月2日 https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf
「食べる」フレイル予防 東京都福祉局 参照年月日:2025年12月2日 https://www.fukushi1.metro.tokyo.lg.jp/kaigo_frailty_yobo/yobou/point_eiyo/02.html
ご存じですか!?「フレイル」 公益社団法人長野県栄養士会 参照年月日:2025年12月2日 https://nagano-eiyou.com/recipe/flail/recipe00/
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 厚生労働省 参照年月日:2025年12月2日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
【監修者】
管理栄養士・和食ライフスタイリスト
合田 麻梨恵

大学卒業後、コンビニ商品開発を経て独立。2万件以上の予防医学に関する論文読破・発酵生産者100軒以上訪問・100名様以上の栄養指導経験を活かし、料理講師やセミナー講師、監修、書籍執筆などを行う。一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会代表理事、「中高年のための食と予防医学」の著者。