ヨガの食事法やタイミング、ヨガ前後の食事など

美容や健康のために習慣的にヨガを行っている方の中には「日々の食事にもヨガの考え方を取り入れたい」と思う方も多いのではないでしょうか?
心と体の繋がりを重んじるヨガでは私たちが食べるものは「体」だけではなく「心」にも影響するとされています。ただしヨガの考えは非常に奥深いため、ヨガの食事法を実践するにはヨガの教えを正しく理解しておく必要があります。
そこで今回はヨガの考え方に沿った具体的な食事法やヨガ前後におすすめの食事例などについて詳しく解説します。
ヨガの考え方とは
ヨガとは古代インド哲学に基づく修練法です。元々は精神的な修練法として認知されていましたが、現代では身体の健康を増進する目的でヨガを行う方も多く見られます。
ヨガの考えを食生活に取り入れるには「ヨガの八支則」の理解が必要です。これはヨガの経典「ヨーガ・スートラ」に記された、心身のバランスを整えるための以下8つの段階を意味します。
・ヤマ:日常でやってはいけない5つの戒め
・ニヤマ:日常でやるべき道徳的基本
・アーサナ:座法などヨガの基本のポーズ
・プラーナヤーマ:心身を整えるための呼吸法
・プラティヤハーラ:外からの刺激に対する感覚の調整
・ダーラナ:意識の集中
・ディアーナ:精神を統一させるための瞑想
・サーマディ:心身が統一された悟りの状態
ヨガの考え方に沿った食事法とは
ヨガの八支則の中で、食事に関わる教えは主にヤマとニヤマです。ヤマとニヤマは食事を含む日々の行動を整えるための生活指針となる考え方です。
この2つの教えに基づくと、鮮度の高い野菜や果物を積極的に摂ること、不摂生を防ぐためにバランス良い食事を適量摂取することなどが、心身の調和に繋がるとされています。
さらに理解を深めるには、ヤマの概念の1つであるアヒムサについても知っておきましょう。非暴力や不殺生を意味するアヒムサの教えでは、殺傷を避けると言う観点から肉や魚などを用いた食事は避け、菜食主義が望ましいとされています。
菜食主義
菜食主義とは動物性食品を避けて植物性食品をメインとした食生活のことです。アヒムサの考えに基づきヨガの世界では古くから採用されており、以下の6種類に分類されます。
・ヴィーガン:動物性食品は一切食べない
・ラクト・ベジタリアン:肉や魚、卵は食べないが、乳製品は食べる
・オボ・ベジタリアン:肉や魚、乳製品は食べないが、卵は食べる
・ラクト・オボ・ベジタリアン:肉や魚は食べないが、乳製品と卵は食べる
・ペスカタリアン:肉は食べないが、魚と乳製品、卵は食べる
・ポロタリアン:赤身肉は食べないが、白身肉は食べる(人によっては魚と乳製品、卵を食べる場合もある)
自然を大切にする
ヨガの世界では、自然との調和を意識した食生活を送ることが非常に重要です。
特に大地からの恵みである野菜や果物には、自然のエネルギーが豊富に宿っていると考えられています。鮮度の高い作物を摂取するのが望ましいのはもちろん、料理もできたての状態のものを食べることで、より自然のパワーを感じやすくなるとされています。
また自然の摂理に従って、季節ごとの旬な食材を摂ることも大切です。特に理想的なのは無農薬や低農薬の作物ですが、毎日続けるのが難しい場合は、まずは旬のものを意識的に摂るよう心がけてみましょう。
食べる量は腹八分目
「欲望に執着しない」「今あるものに満足する」と言う考え方も教えのひとつです。これに基づくと、欲のままに食事を摂るのではなく空腹が満たされていくのを感じながら、腹八分目で満足できる食事量が理想とされています。
たとえ満腹でなくても、自身の胃が満たされた感覚を敏感に感じる力を養うことが重要であると考えられているのです。
ヨガと食事のタイミング
ここからは、ヨガと食事のタイミングの関係性について詳しく見ていきましょう。
食事前のヨガ
食事前は体脂肪を減少させやすいタイミングと言われています。体内の糖分が少ない状態の食事前にヨガを行うと糖の代わりに脂肪がエネルギーとして消費されていくため、効率的に体脂肪を減らす効果が期待できるのです。
また特に朝は日中の活動に向けて徐々に体のスイッチが切り替えられていく時間帯でもあります。そのタイミングでヨガを行うとスムーズにスイッチを切り替えられるため、1日を快適かつ活動的に過ごしやすくなるでしょう。
食事後のヨガ
食事後のヨガは食事から摂った糖分が脂肪に変わる前にエネルギーとして消費されるので中性脂肪になるのを防げると考えられています。
特に夕方〜夕食後にかけては体内の巡りが良くなっている時間帯です。ヨガなどの運動を行うと通常よりも高いパフォーマンスを発揮させやすいと言われています。また交感神経を刺激しない程度のリラックスできるヨガを行うことで、睡眠の質を高めてくれるかもしれません。
ヨガ前後に取りたいおすすめの食事
次はヨガ前後に積極的に取りたいおすすめの食事について、それぞれ詳しく紹介します。
ヨガ前の食事
ヨガをする1〜2時間前には、脂質を控えた炭水化物中心の食事を取るのが理想的です。具体的な食事例は以下の通りです。
・おにぎり
・うどん
・あんパン
またヨガをする10〜30分前の直前に食事を取る場合は、消化が良く効率的にエネルギー変換できる、以下に挙げるような糖質多めの食事を選ぶようにしましょう。
・バナナ
・スポーツドリンク
・野菜ジュース
・果物ジュース
ヨガ後の食事
ヨガ後は良質なたんぱく質と野菜をしっかり取れるバランスの整った食事を取るようにしましょう。栄養バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜を組み合わせ、一食でたんぱく質、脂質、炭水化物の三大栄養素とビタミン、ミネラルを偏りなく摂る食事を指します。
肉や魚にはたんぱく質が多く含まれていますが、動物性食品を控えていて摂取が難しい場合は、大豆製品やナッツ類などからたんぱく質を補うようにしてください。
以下の記事では食事の栄養バランスについてより詳しく解説しています。ぜひこちらも参考にしてください。
PFCバランスとは?計算方法や理想の基準値
一汁三菜の読み方と意味は?毎日の献立に悩まないコツや正しい置き方などもご紹介
今日からヨガの食事法を始めませんか?
ヨガの教えは非常に奥深いため、食事に関連する全ての概念をすぐに理解するのは難しいかもしれません。しかし今回紹介した内容も参考にしながら、まずは新鮮な野菜や果物を積極的に取る、旬の食材をおいしくいただくことなどから始めて、少しずつヨガの食事法を実践してみてはいかがでしょうか?
参考文献
ヨガ Yoga 厚生労働省 eJIM 参照年月日:2025年7月29日
https://www.alic.go.jp/about-alic/index.html
ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム 旅行者おもてなしガイド 国土交通省観光庁 参照年月日:2025年7月29日
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001740444.pdf
ちょうどよいバランスの食生活 農林水産省 参照年月日:2025年7月29日
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wakaisedai/attach/pdf/balance-8.pdf