冷凍食品は良いところだらけ?栄養面や安全性など魅力を解説
手間なくおかずをひと品増やしたいときやお弁当作りに便利な冷凍食品は、現代の食卓に欠かせない存在です。種類が豊富で長期保存ができるため、まとめ買いをしてストックしている方も多いでしょう。この記事では、冷凍食品を食生活に取り入れるメリットや、安全性、栄養、歴史など、冷凍食品の実態や魅力について紹介します。
冷凍食品の定義は?安全安心とおいしさの秘密
野菜やくだもの、肉、魚といった素材から、調理加工品まで、スーパーやコンビニに行けば、さまざまな冷凍食品を目にします。
そもそも冷凍食品の定義とはどんなものでしょうか。なぜ安全で安心だといわれているのでしょうか。
冷凍食品の4つの定義
「冷凍食品」は単純に凍らせた食品というわけではありません。以下の4つの条件をクリアしたものが「冷凍食品」と呼ばれています。
- 前処理している
たとえば野菜であればカットやスライスをしたり、ブランチング(蒸気で加熱)したり、魚であれば内臓や骨を取り除くといった処理を施します。また、主菜や副菜の冷凍食品の場合は、下味や衣をつけるなどの調理前処理を施します。こうした前処理をすることで、冷凍に適した状態になります。
- 急速凍結している
急速凍結とは、食品を短時間で急冷凍させる方法です。急速凍結させることで、細胞組織が損傷しにくく、食品の風味、食感、栄養価が損なわれる度合いが少なくなるメリットがあります。
- 適切に包装している
食品の酸化防止、乾燥防止、汚染防止、形状維持のため、きちんと包装してあることも冷凍食品の大事な条件です。また包装には冷凍食品の取り扱い、調理方法、栄養成分表、お客様窓口などを記載しなければならず、情報提供のためにもパッケージ包装は機能しています。
- 品温をマイナス18℃以下で保管している
マイナス18度以下ではほとんどの微生物の増殖が抑制されるため、食品の腐敗を防ぐことができます。また、酵素の活性が低下する温度帯でもあるため、食品の変色や味の変化、栄養価の低下を抑えることができます。
冷凍食品は衛生的
冷凍食品は、凍結後から流通、販売までマイナス18℃以下で管理されます。マイナス18℃以下の環境下では、腐敗や食中毒の原因となる微生物が活動できません。そのため、冷凍食品は衛生的だといえます。また、密閉包装により汚染や外部からの微生物、異物の混入を抑制することからも、安全性が高い食品であることがわかります。
冷凍食品は保存料がなくても安心
冷凍食品は長期保存ができることから、保存料を使っていると考えている方がいるかもしれません。しかし、マイナス18℃以下の環境では腐敗がおきにくく、酵素の働きが抑制されるため変色や風味の劣化が遅くなります。つまり、冷凍すること自体が食品の品質維持に有効に働くため、冷凍食品は保存料を使わなくても安心安全な食品だといえます。
冷凍食品は鮮度が高く栄養もキープ
生鮮食品と比べて、冷凍食品は鮮度や栄養価がイマイチ……という印象を抱いてはいませんか? 実際はそんなことはありません。
急速凍結することで食材の細胞を壊さずに凍結できるため、新鮮な状態が保たれます。また、酵素活動が抑制されるため、食品本来の色や栄養素も維持できるのが冷凍食品の特徴です。
つまり、冷凍食品は保存がきくうえに、鮮度や栄養面でも優れている食品だといえます。
冷凍食品を活用するメリット
冷凍食品をうまく活用することで、私たちの生活面でメリットがあるほか、長い目で見れば社会的なメリットもあります。
食べたいときに食べたい分だけ使えるから食品ロスがない
家庭からの食品ロスが問題となっています。使い切れずダメになってしまった食材や、食べきれずに廃棄することになった料理など、私たちが思っている以上に一般家庭からの食品ロスは多いようです。
冷凍食品であれば、必要な分だけ解凍・調理できるため、無駄にすることなく食品ロスを最小限にとどめることができます。食べたいときに食べる分だけ消費できる冷凍食品は、とてもエコな食品なのです。
保存がきくので買い置きできる
買い足しやストックの計画を立てやすいのも冷凍食品のメリットです。仕事や育児で忙しく、平日に買い物にいくことが難しい場合も、冷凍食品ならまとめ買いをして冷凍庫に入れておけば、使いたい・食べたいタイミングで調理ができます。
また、長期保存ができるため、まとめ買いをしたのち適量ずつ上手に使えば、家庭からの食品ロス削減につながります。
簡単にひと品増やすことができる
調理済みの冷凍食品なら、調理の手間をかけず、レンジで加熱するだけですぐに食べることができます。メニューも和食、洋食、中華、エスニックなど幅広く、主食や主菜、副菜、デザートなど種類も豊富。「料理する時間がない!」「献立が物足りないので、パッと作りたい」というときに大活躍します。
また、お弁当用の冷凍食品も多数あり、時間が限られる朝でも簡単におかずを増やしたり、彩りを添えたりできます。
旬や産地に関係なく安定した価格で手に入る
たとえば枝豆やとうもろこしなどの素材系の冷凍食品は、旬にかかわらず一年中価格の変動がほぼない状態で販売されています。これは、農産物の収穫後に前処理や急速凍結などを施し、需要に応じていつでも供給できるように調整しているためです。
また、日本では漁獲量が限られる海鮮は、海外産のものを冷凍食品にすることで手に入れやすくなっています。フレッシュな海外産くだものは値段が高いですが、冷凍食品であれば比較的手ごろな価格で楽しめます。
このように、旬や産地にかかわらず、欲しい食材をいつでも手軽に購入できる点も、冷凍食品の大きな魅力です。
栄養バランスや彩りのよい献立が作りやすい
多様な食材や幅広いジャンルの調理品がそろう冷凍食品。彩りがほしいときはミックスベジタブルや緑黄色野菜の冷凍食品が、ボリュームをプラスしたときはからあげやフライものなど食べごたえのあるおかずの冷凍食品が便利です。彩りや栄養バランスのいい食事を毎日考えて作るのは大変ですが、冷凍食品をうまく活用すれば、毎日の食事作りが時短できます。
ミールキットやお弁当タイプを利用すれば、献立を考えなくてもよい
フライパンで炒めるだけ、鍋で煮込むだけ、といった手軽さが魅力のミールキットの冷凍食品も近年種類がとても増えています。こうしたキットは、食材はカット済み、調味料は計量済みなものが多いので、自宅での作業がぐんと減ります。
お弁当タイプならレンジで温めるだけで一食分の献立が完成するのも魅力。
ひとり暮らしの方や共働き家庭で食事の用意に時間がかけられない場合は、冷凍のミールキットやお弁当は頼れる存在です。
冷凍食品の食べ方
冷凍食品は主に以下のように分類できます。
- 素材そのもの(野菜、肉、魚介など)
- 下ごしらえまで済んだ半調理済み食品(カットした野菜、下味が付いた肉や魚など)
- 完全調理済み食品(お弁当、カレー、グラタンなど)
安全に食べるためには、パッケージに表示されている食べ方に従うことが確実です。それぞれ適した解凍方法や加熱方法があるので、きちんと確認しましょう。
一般的には、解凍方法には自然解凍、冷蔵解凍、流水解凍、電子レンジ解凍、湯せん解凍などがあります。加熱方法には、電子レンジ、オーブン、炒める、揚げるなどが挙げられます。食品や用途に合わせて適切な方法を選びましょう。
冷凍食品を買うときの注意点
衛生面に優れた冷凍食品ですが、管理体制があまい場合、安全性が脅かされることもあるかもしれません。また、持ち帰るときにも注意が必要。冷凍食品を買う前のチェックや、持ち帰りの際に気をつけたいことをお伝えします。
管理状態をチェック
冷凍食品はマイナス18℃以下で管理されていることを先に伝えました。そのため、店頭の冷凍ケースでも、温度チェックすることをおすすめします。また、包装が破れていないか、包装の表面に溶けたり凍ったりした跡が残っていないかを確認しましょう。
ネット通販で購入した場合は、宅配業者の冷凍庫状態をチェックするのは難しいので、届いたら包装の確認を忘れずにしましょう。
持ち帰るときの注意点
せっかく徹底管理されていた冷凍食品も、持ち帰る際に溶けたり、包装が破損したりしては元も子もありません。保冷バッグを活用して、品温が上がらないように持ち帰る、持ち歩き時間をあらかじめ計算して保冷剤を用意しておく、無理に詰め込んで包装が傷つかないようにするなど、気をつけましょう。
開封した冷凍食品は保存できる?
一度開封して解凍した冷凍食品は、賞味期限にかかわらず、すぐに食べきるのが原則です。しかし、製品によっては、解凍後に冷蔵保存すればしばらくは食べられるものもあります。こうした情報も包装に記載があるので、チェックしてみてください。
なお、一度解凍したものを家庭用冷凍庫で再凍結することは、品質劣化につながるため避けましょう。
進化する冷凍食品
冷凍食品は19世紀末に登場して以来、技術の進歩とともに進化を続けています。これまでの道のりと、最新の冷凍食品事情をまとめました。
冷凍食品の歴史
日本における冷凍食品事業は、約100年前に始まりました。最初は水産物の冷凍が主でしたが、1960年代には急速な冷蔵庫の普及に伴い、冷凍食品の需要も急上昇しました。その頃家庭でよく食べられていたコロッケ・ハンバーグ・シュウマイ・ギョウザ・えびフライが五大調理冷凍食品として市場に定着し、現在の冷凍食品の原型になりました。
その後、冷凍技術の進化とともに、主食やデザートなどいろいろなカテゴリーの製品が増え、最近では素材の味を生かしたシンプルなものも増えてきています。2022年には、日本国民一人当たりの冷凍食品の消費量が23.9kgと過去最高を記録しましたが、2023年には23.2gと前年比0.7kg減少となりました。
高まる冷凍食品需要
コロナ禍では行動制限が課せられ、外食ではなく「家での食事」を楽しむ流れが生まれました。その際に需要が伸びたもののひとつが冷凍食品です。実際、コロナによる緊急事態宣言が出された2020年以降の世帯当たりの冷凍食品に対する支出金額が増えたことがデータでわかっています。
多様な広がりを見せる冷凍食品
そうしたコロナ禍での需要の高まりを受け、利便性だけではなく、「おいしさ」や「高級感」も追求したハレの日に食べたくなる冷凍食品や、健康成分をプラスした冷凍食品、アレルギー対応の冷凍食品など、消費者の多様なニーズに合わせた製品が次々と登場しています。また、フードロス削減を狙い、本来捨てられるはずだった食材を調理して商品化し、サブスクリプション方式で提供する冷凍食品も登場するなど、冷凍食品業界は今後もますます多様なニーズに対応しながら進化を遂げ、私たちの食生活に深く浸透していくことでしょう。
冷凍食品を活用し、食事に彩りと栄養を取り入れよう
「体に悪いかも」というイメージを抱かれがちな冷凍食品。実際は、生産から販売までマイナス18℃以下で管理されているため衛生的であり、味や栄養価も損なわれることなく長期保存できる、とても優れた食品なのです。
ストックもしやすいため、買い物に行けないときや非常時にも役立ちます。忙しい朝のお弁当作りにも活躍しますし、食生活が乱れがちな方にとっては簡単に栄養バランスを整えることができる頼れる存在です。
「BEYOND FREE」は、素材にこだわった動物性原材料不使用のパンやスイーツ、麺類などの冷凍食品をお届けしています。冷凍した状態でご自宅までお届けするので、いつでも簡単に出来たての味を楽しむことができます。
冷凍食品をうまく活用し、作る人も食べる人も楽しくおいしい食事の時間をお過ごしください。
参考文献
国内消費量推移 一般社団法人 日本冷凍食品協会 参照年月日:2024年9月4日 https://www.reishokukyo.or.jp/statistic/consumption/
年々需要が高まる冷凍食品。冷凍食品の現状と、今伸びてきているものは? 食未来研究室 参照年月日:2024年9月4日 https://nsk-shokumirai.com/2022/08/17/frozen-food/