お菓子作りに使われる砂糖の種類と特徴
お菓子には欠かせない材料の一つが砂糖です。好きなお菓子に使われている砂糖の特徴や、健康への影響について疑問に思う方もいるでしょう。
本記事ではお菓子作りに使われる砂糖の種類や、その特徴について解説します。砂糖は種類によって製造方法や甘さが異なり、相性の良いお菓子もさまざまです。砂糖について正しい情報を知り、砂糖と上手に付き合いましょう。
お菓子作りにおける砂糖の役割
砂糖は手に入れやすく、どの家庭にもある一般的な調味料です。料理に甘みやコクを与えるだけでなく保存性を高める働きもあるため、さまざまな場面で使用されています。
砂糖が最も多く使われているのは、菓子類です。砂糖の用途別消費量の1/4以上をお菓子類が占め、続いて清涼飲料水、パン類と続きます。お菓子にこれほど多くの砂糖が使われるのには、次のような理由があります。
滑らかなメレンゲができてしっとりする
砂糖は水に溶けやすく保水性を発揮するため、滑らかなメレンゲを作るのに必要不可欠です。メレンゲはケーキやスフレの生地を膨らませるのに使用される、お菓子作りの定番材料。メレンゲを入れることで、しっとりとした食感になります。
卵白に砂糖を入れて泡立てると砂糖が卵白の水分を吸収して気泡が安定し、泡が壊れにくくなります。この作用により、滑らかでボリュームのあるメレンゲになるのです。一方、メレンゲを砂糖なしで作るとキメが粗く安定せず、すぐに分離してしまいます。
柔らかくなる
砂糖には、肉や卵などのたんぱく質を柔らかくする作用があります。
たんぱく質は熱を加えると固くなりますが、砂糖と一緒に調理すると柔らかく仕上がります。これは砂糖がたんぱく質の組織間に入り込み、水分を引きつけるためです。例えば、プリン作りに砂糖を使うと卵の水分を砂糖が抱え込んで水分が保たれるため、柔らかく舌触りの滑らかなプリンになります。
とろみがつく
ジャム作りにも砂糖は欠かせません。ジャムのとろみは果物に含まれるペクチンと酸味成分、砂糖が合わさることで生まれます。
果物と砂糖を一緒に加熱すると果物に含まれるペクチンが溶けだし、砂糖が果物に含まれる水分を抱え込んでゼリー状に変化します。酸味があるほどゼリー状になりやすいものの、程よくとろみのついたジャムにするにはペクチンと酸味成分、砂糖のバランスが大切です。
保存性が高まる
砂糖には食品の保存性を高める作用があります。
食品が腐るのは、食品中の水分によるカビや細菌の繁殖が原因です。砂糖を加えて調理すると砂糖が食品中の水分を抱え込むため雑菌が繁殖できず、長期保存が可能となります。ジャムや羊羹が腐りにくいのは、砂糖を多く使っているからです。
また砂糖には酸化防止作用もあります。油を使用した食品は油と空気中の酸素と結びついて酸化し、時間の経過とともに味や風味が損なわれてしまいますが、砂糖と油を一緒に調理すると油に含まれる水分が砂糖と結びつくため酸化防止に効果的です。
お菓子に使われる砂糖の種類と特徴 7選
お菓子に使われる砂糖は種類によって製造方法や甘さが異なります。それぞれの砂糖の特徴を把握して、上手に使い分けましょう。
上白糖
砂糖は製造方法の違いによって「分蜜糖」と「含蜜糖」に分類されます。分蜜糖とはさとうきびや甜菜の絞り汁を結晶と糖蜜に分け、結晶部分を取り出したものです。一方、含蜜糖は製造過程で結晶と糖蜜に分けず、糖蜜を含んでいる砂糖を指します。
上白糖はビスコと呼ばれる糖液をかけて製造されている分蜜糖のひとつで、国内で最も多く生産されている砂糖です。製造過程で不純物が取り除かれるため、真っ白な色に見えます。また不純物を取り除く過程で牛骨を原料に造られた骨炭が使われる場合があり、理念や宗教上の理由で避ける方もいますが、どんな料理や飲み物にも合う使いやすい砂糖です。
上白糖は結晶が細かく、クセのない味わいが特徴です。水分をわずかに含むため、しっとりさせたいお菓子や、素材の色をきれいに見せたいお菓子に向いています。例えば、あんこやスポンジケーキ、クリームやムースなどに使うと良いでしょう。
三温糖
三温糖は上白糖と同じ分蜜糖のひとつで、簡単にいうと上白糖の茶色バージョンです。上白糖の結晶を取り出した後の糖液を煮詰めて造られますが、一般的に流通している三温糖の中にはカラメルが添加されているものもあります。甘みが強くコクがあり、独特の風味があるのが特徴です。煮物や佃煮、味噌を使った料理に向いています。
三温糖と相性の良いスイーツは、きな粉を使ったお菓子です。きな粉餅やわらび餅はもちろん、きな粉牛乳にお好みで加えてもおいしくいただけます。
グラニュー糖
分蜜糖に分類されるグラニュー糖は、粒径が0.2〜0.7mmのサラサラとした結晶の砂糖です。クセのないあっさりとした甘みが特徴でコーヒーや紅茶によく使用されます。
グラニュー糖と相性が良いのは、洋菓子やジャムです。あっさりした甘みなので、風味を生かしたお菓子作りにも重宝します。
粉糖
粉糖は粉砂糖とも呼ばれ、分蜜糖であるグラニュー糖をすりつぶして粉にしたものです。粉糖は粒子が細かい分、溶けるのも早いため、口に入れた時にすぐに甘みを感じられます。
粉糖が向いているのは、お菓子のデコレーションです。例えばケーキやブラウニーの上に粉糖をふるったり、アイシングに使ったりすることで、お菓子が華やかになります。もちろん、お菓子作りの工程での使用も可能です。クッキー作りに粉糖を使うと、サクサクした食感に仕上がります。
甜菜糖
甜菜糖(てんさいとう)は、名前の通り甜菜を原料とする砂糖です。甜菜は大根のような見た目をしており、ビートとも呼ばれています。
甜菜糖は甜菜の絞り汁から結晶部分を取り出して造られるため、分蜜糖・耕地白糖です。耕地白糖とは原料糖を作らずに生産地で加工された砂糖をいい、甜菜糖の多くは生産地である北海道で作られています。
甜菜はもともと飼料として利用されていました。18世紀に甜菜から砂糖を抽出する方法が確立し一気に発展したものの、近年における甜菜糖の国内生産量は減少傾向です。まろやかでやさしい甘みの甜菜糖は今も需要があります。
甜菜糖は上品な甘さに仕上げたい時に使うのがおすすめです。マドレーヌやパウンドケーキなどシンプルな焼き菓子と相性が良いでしょう。
和三盆
和三盆は伝統的な手法で造られる、淡黄色の砂糖です。主に香川県と徳島県で製造されており、高級な砂糖として知られています。
和三盆は含蜜糖に分類されますが、同じ含蜜糖の黒糖よりも製造に手間がかかるのが特徴です。まず、さとうきびの絞り汁からアクと蜜を抜き、水を加えて手で練ります。これを「研ぎ」と呼び、研ぎを何度か繰り返した後、木箱に入れて加圧して完成です。
和三盆はやさしい甘みで独特の風味があります。粒子が非常に小さいため、まろやかで口どけが良い点も魅力です。和三盆は落雁やせんべいなどの干菓子、餅などの伝統的な和菓子に使用されている他、クッキーやプリン、カステラなどの洋菓子にも使用されるケースがあります。
黒砂糖
黒砂糖はさとうきびの絞り汁を煮詰めて造られる含蜜糖のため、サトウキビに含まれるミネラルも一緒に取れます。
黒糖は濃厚な甘みと特有の風味が特徴の砂糖です。黒糖と相性の良いお菓子は、かりんとうや駄菓子ですが、饅頭や寒天、蒸しパンなどともよく合います。クッキーやスコーンに使用すれば、黒糖の風味を感じられるお菓子に仕上がるでしょう。またブロック状の黒砂糖をそのまま口に入れて、飴のように食べることもできます。
砂糖と健康への影響について
砂糖の取り過ぎや健康への影響について心配される方もいるでしょう。砂糖の種類や食べ方を工夫すると、体への負担軽減につながるかもしれません。
カロリーや栄養素の違い
砂糖を選ぶ時は風味や使いやすさだけでなく、栄養素に注目するのも良いでしょう。
|
黒砂糖 |
和三盆 |
上白糖 |
グラニュー糖 |
粉糖 |
甜菜糖(てんさい含蜜糖) |
カロリー(kcal) |
53 | 59 | 59 | 59 | 59 | 54 |
カリウム(mg) |
170 | 21 | 0 | Tr | 0 | 4 |
カルシウム(mg) |
36 | 4 | 0 | Tr | Tr | Tr |
食物繊維(g) |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.2 |
カリウム
カリウムは細胞内の浸透圧をナトリウムと拮抗して安定させる働きがあるミネラルのひとつです。ナトリウムを体外に排出するため、塩分を取り過ぎた時に摂りたい栄養素です。
カルシウム
カルシウムは骨や歯の形成に関わるミネラルで、カルシウム不足になると骨粗鬆症になるおそれがあるため意識的に摂取したい栄養素です。また血液や筋肉にも存在し、出血の予防や心筋の収縮作用をサポートする働きもあります。
食物繊維
食物繊維は消化酵素で消化されません。食物繊維を摂取すると便通を整える働きが期待できるため、便秘防止に効果的です。また脂質や糖、ナトリウムなどを老廃物として排出する作用もあり、生活習慣病予防にも役立ちます。
オリゴ糖
オリゴ糖は善玉菌の栄養源となるため、善玉菌の増加につながり腸内環境を整えるのに役立つ成分です。おなかの調子を整える働きがあるとして、特定保健用食品に認定されています。大豆オリゴ糖やフラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などが代表的です。
太らない食べ方
摂取カロリーを1日のトータルで計算し、糖質や脂質を取り過ぎないように調整すると体重増加を防げます。お菓子を食べた日はパンやご飯を減らす、肉は脂身の少ない部分を使うなど、小さな工夫の積み重ねが大切です。
また砂糖の種類に注目するのも良いでしょう。カリウムやカルシウムが含まれる黒糖や、食物繊維やオリゴ糖が含まれる甜菜糖など、体調や体質に合わせて選ぶのもおすすめです。甜菜糖は食物繊維とオリゴ糖が含まれているので、腸内環境を整えるのに役立つと考えられます。腸内環境の悪化は体重の増加につながる可能性があるため、善玉菌を増やす食材を積極的に取りましょう。
砂糖の種類を使い分けて、お菓子を楽しもう!
砂糖は種類によって風味や甘さ、製造方法が異なります。使う料理や好みに合わせて使い分けると、より豊かな食生活を送れるでしょう。スイーツ好きの方は、お菓子に含まれる砂糖にこだわってみるのもおすすめです。
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※2原材料を細かくさかのぼった起源原料や製造工程において、一部動物性原材料が含まれる場合があります。
※2動物性原材料を含む製品と製造ラインを共用しています。
※2原材料をさかのぼった起源原料や製造工程等において、一部植物由来でない原材料が含まれる場合があります。
豆乳クリーム ロールケーキ チョコ
参考文献
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https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000212.html
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https://seitokogyokai.com/knowledge/propagation/
カリウム e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年5月23日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
カルシウム e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年5月23日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
食物繊維 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年5月23日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
オリゴ糖 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年5月23日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-003.html
腸内細菌と健康 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年5月23日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
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日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省 参照年月日:2024年5月23日