植物性ミルクとは?使い方や効果、栄養価、メリットやデメリットまで

植物性ミルクは栄養価が高い、牛乳は環境負荷が大きいといったようなことを耳にして、植物性ミルクを利用したいと考えている方も多いのではないでしょうか。現在、日本でも植物性ミルクを目にする機会は増えてきたかと思います。


この記事では、植物性ミルクの栄養成分や、利用することのメリット、使い方について解説します。また、植物性ミルクのもつデメリットや入手方法などにも触れますので、ぜひ参考にしてください。

 

植物性ミルクってそもそも何?

そもそも植物性ミルクとは、植物を原材料としてつくられる、牛乳の代替品です。英語ではplant milkと言い表されます。従来は飲み物や調理に牛乳が多く使われていましたが、植物性ミルクは牛乳に比べて多くのメリットが認められるものとして、欧米などのスーパーやカフェのメニューとしても広く起用されています。

 

植物性ミルクの原材料

植物性ミルクの原材料となる植物には、大豆、アーモンド、ココナッツ、米など、さまざまな種類があります。これらの材料と水などを混ぜ、撹拌する(正確には原料を浸漬し、磨砕、濾過する)ことで作られるのが、植物性ミルクです。植物性ミルクの種類は原材料の数だけありますが、詳細は後述するので参照してください。

植物性ミルクは商品化されるにあたって、牛乳の代替品として利用しやすくするために、カルシウムやビタミン類などが添加されることもあります。

 

植物性ミルクの使い方

植物性ミルクにはさまざまな使い方があります。牛乳の代替品として開発されているだけに、植物性ミルクの使い方はほとんどが牛乳と同じです。牛乳のように、そのまま飲むこともできるし、コーヒーなどに混ぜて飲めるのも牛乳に類似しています。

また植物性ミルクは、クッキー・パンケーキなどのスイーツ、スープやカレーなどの料理にも、牛乳の代用として使用されています。

 

植物性ミルクの種類

植物性ミルクにはさまざまな種類があります。以下に植物性ミルクの種類を紹介します。

 

豆乳(ソイミルク)

大豆から作られる、日本では豆腐の原材料としておなじみの豆乳は、植物性ミルクの一種です。スーパーマーケットなどでも手に入りやすく、カフェで牛乳の代わりに提供されていることもあります。

豆乳はそのままストレートで飲む人も多い一方、中国や東南アジアを中心に、砂糖などを添加することで甘く調味されたものもよく飲まれています。また日本でも、コーヒーだけでなくココアや抹茶で味つけしたものが人気です。

豆乳に多く含まれる栄養成分はタンパク質で、豆乳100g中3.6gを占め、他に鉄分などが含まれています。

 

アーモンドミルク

アーモンドミルクは、アーモンドから作られる植物性ミルクです。日本では近年見られるようになってきましたが、ヨーロッパや中東では中世からすでに飲まれていたことが分かっています。

アーモンドミルクは現在も欧米を中心に飲まれており、メープルシロップや蜂蜜などで味付けしたものが人気です。バニラやチョコレート風味のものもあり、ブラマンジェなどスイーツの原材料として使われることもあります。

市販されるアーモンドミルクに含まれる栄養成分はビタミンやカルシウム、マグネシウム、リンなど、商品によってさまざまです。

 

ライスミルク

ライスミルクは、玄米もしくは白米から作られる植物性ミルクです。ヨーロッパで普及が始まり、現在でも主に欧米で牛乳の代替品として流通しています。日本ではこれまでほとんど見られませんでしたが、最近では日本の国産ライスミルクが登場し、注目を集めています。

最近では、バニラやチョコレートなど味つけされたものも見られるようになりました。また世界的にも、2000年代初頭までは油や塩で調味されたものが一般的でしたが、昨今では酵素で発酵させ、甘みをつけたものが販売されるようになっています。

市販されるライスミルクに含まれる栄養成分はビタミン、ミネラル、必須アミノ酸などがあります。

 

その他の植物性ミルク

これまでに紹介してきたものの他に、植物性ミルクにはオーツミルク、ココナッツミルク、ヘンプミルク、マカダミアミルク、カシューナッツミルクなどさまざまなものがあります。

植物性ミルクの原材料になりやすいのは、ナッツ類、豆類、植物の種などです。上に挙げたもの以外でも、植物から作られた牛乳の代替品はすべて植物性ミルクに分類されます。

 

植物性ミルクの栄養価

前述の通り、植物性ミルクの栄養価や栄養成分は、商品や使用される原材料によって全く違いますが、多くの植物性ミルクに共通される傾向として、牛乳に比べると低脂質でカロリーが低く、飽和脂肪酸がほとんど含まれないことが挙げられます。一方で食物繊維や必須アミノ酸が含まれるのも、植物性ミルクに共通の特徴です。

 

例えば豆乳の場合、100gあたり1.2mgの鉄が含まれています。しかし牛乳には、鉄は含まれていません。アーモンドミルクの場合、アーモンドを原料とするためオレイン酸やビタミンE、食物繊維といった栄養素が含まれます。

このように、それぞれの植物性ミルクに特徴があるため、食生活に取り入れる際は成分をよく見て、自分が必要とするものや好みのものを選ぶ必要があるでしょう。

 

植物性ミルクのメリット

植物性ミルクには、さまざまなメリットがあります。ここでは植物性ミルクを食生活に取り入れることで得られるメリットを解説します。

 

牛乳に比べると栄養価が高くヘルシー

「植物性ミルクの栄養価」の項目でも触れたように、植物性ミルクは牛乳と比較すると、ビタミンや食物繊維などの栄養価が高い傾向にあります。(商品によって異なります)

一方カロリーは植物性ミルクよりも牛乳のほうが総じて高い傾向です。牛乳のカロリーは100gあたり61キロカロリーですが、例えば豆乳の場合、同じ量でも44キロカロリーに抑えられています。

 

ヴィーガンや牛乳アレルギーの人なども使える

牛乳や乳製品を摂取しない完全菜食主義者(ヴィーガン)の人でも、食材や飲み物として植物性ミルクを使うことができます。

また植物性ミルクには、牛乳アレルギーの原因になるカゼインなどが含まれないため、牛乳アレルギーの人でも摂取できるのもメリットです。同様に、牛乳を飲むとお腹をこわしやすい体質をもつ乳糖不耐症の人でも、植物性ミルクなら摂取できるでしょう。

 

牛乳に比べてサステナブルである

植物性ミルクは、牛乳に比べてサステナブルである、つまり環境に優しい商品とも言われています。

農業のなかでも畜産業は、温室効果ガスの排出量が多く大量の水や餌を消費するため、環境負荷が高いことがさまざまな研究でわかっています。

 

牛乳に比べると、植物性ミルクの生産における二酸化炭素排出量は1/3~半分程度です。また植物性ミルクの生産に使われる水の使用量は、牛乳に比べて、豆乳やオーツミルクで10%ほど。ライスミルクやアーモンドミルクは水の使用量が多い傾向ですが、それでも牛乳の半分前後です。

輸出入、運搬などによって発生するエネルギー消費や二酸化炭素排出の問題を考慮しても、総じて環境負荷が低いと考えられています。

 

植物性ミルクのデメリット

メリットの大きな植物性ミルクも、利用することによってデメリットが生じる可能性があります。植物性ミルクのもつデメリットは以下のとおりです。

 

原材料によっては栄養不足や摂取過多になる可能性がある

植物性ミルクには、栄養成分が添加物として加えられたものと、そうでないものとがあります。添加物を極力少なくしてある場合、原材料によってはカルシウムやビタミンDが植物性ミルクにほとんど含まれなくなるため、牛乳からの置き換えによってこうした栄養素が不足する可能性を考慮しなければなりません。

 

例えば豆乳は、牛乳に比べてカルシウムの含有量が少なく、ビタミンDは含まれていません。牛乳を使わずに豆乳に置き換える場合、これらの栄養素は他の食品から摂取する必要があります。

反対に、飲みやすくするために添加物が入っている場合は、甘みが強くカロリーが高い、塩分が多いなど、摂取過多になることもあります。成分をよく見たうえで購入し、過不足分を補うレシピを考える必要があるでしょう。

 

牛乳に比べると割高である

植物性ミルクは大量生産ができないため、牛乳に比べて販売価格が割高になりやすい商品です。

 

植物性ミルクを活用して体にやさしい食生活を送ろう

豆乳などの植物性ミルクは、牛乳と比べてヘルシーな傾向があり、向いている食品と言えます。気になる方は牛乳に代わって植物性ミルクを利用してみると良いでしょう。

手軽に植物性ミルクを取り入れるなら、植物性ミルクを原材料とした商品を購入するのもおすすめです。植物性ミルクも、植物性ミルク製品も、インターネットショッピングを利用すると手に入りやすいため、ぜひ検討してみてください。

 

参考文献

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省