プロバイオティクスとは?菌の特徴や含まれている食品をご紹介

腸内環境を整えると健康に良い影響があることは、広く知られるようになってきました。美容のために腸活している方もいるのではないでしょうか?

腸内環境を整えるにはプロバイオティクスを活用する必要があります。本記事ではプロバイオティクスとは何か、どんな食品に含まれているのか、効率的な食べ方などについて解説します。

 

プロバイオティクスとは

“プロバイオティクス食品”

住み着いている主の健康に対して良い影響を与える生きた微生物をプロバイオティクスと言い、次のような効果などが報告されています。

  • 腸内環境を整える
  • 免疫を高める
  • アレルギーを予防する
  • 病気を予防する

種類により多少働きが異なりますが、健康に有益なものである点は同じです。日本人に身近なプロバイオティクスとしては乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸産生菌・納豆菌が挙げられます。

 

乳酸菌

乳酸菌は糖を原料として乳酸を作る細菌です。自然界の様々なところに存在しており、数千年前から乳酸菌による発酵が行われてきたと言われています。乳酸菌由来の発酵食品はチーズやバター、ヨーグルトなどが有名ですが、味噌や醤油、漬物にも使用されており、日本の伝統食とも深いつながりがあります。

乳酸菌由来の食品についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
 

ビフィズス菌

ビフィズス菌はヒトや動物の腸内にいる代表的な善玉菌です。乳酸菌と同様に腸内環境を整える働きがありますが、それ以外にも悪影響のある菌の増殖や病原菌感染を抑制するのに役立つと考えられています。

酸に弱いという特徴があり、口から摂取した場合には生きたまま腸へ届けるのが難しいです。そのため現段階では、もともと腸内に生息しているビフィズス菌を増やすためのオリゴ糖などの摂取が良いとされています。

またビフィズス菌と乳酸菌との違いが気になっている方も多いのではないでしょうか。乳酸を産生させたり腸管に生息したりする点は同じですが、いくつか異なる点もあります。例えばビフィズス菌の生息場所は主にヒトや動物の腸管です。

一方、乳酸菌は腸管だけでなく一部の発酵食品や自然界にも生息しています。他にもビフィズス菌は酢酸を産生する点や酸素があると生育しない点が乳酸菌と異なります。

 

酪酸産生菌

酪酸産生菌とは酪酸を産生する細菌で、大腸粘膜上皮細胞のエネルギー源として使われたり、腸管の免疫機能を維持したり炎症を抑えたりする働きがあるため、大腸の健康を保つのに欠かせません。

実際に日本や他地域のアジアではClostridium butyricum(クロストリジウム・ブチリカム)という酪酸菌の複数株が、整腸薬として販売・使用されています。一方、欧州では自己免疫疾患や肥満、心血管疾患などの疾患の治療で使えるようにするため、一部臨床試験も進んでいる菌株もあります。その研究の背景には各々の疾患罹患者の糞便で酪酸産生菌の減少が確認されているためです。

 

納豆菌

納豆菌は納豆をつくる時に必要な菌として広く知られています。納豆菌は稲わらや落ち葉に生息し、繁殖力が旺盛です。高温や乾燥などの過酷な環境下では芽胞(がほう)と呼ばれる形をつくって休眠状態になり、適切な環境になると再び活動します。

発酵食品である納豆を食べると腸活に良いと聞いたこともあるのではないでしょうか。納豆菌の作用機序に関してはまだ明確になっていませんが、納豆菌や枯草菌、納豆の摂取により腸内の乳酸菌やビフィズス菌が増えたとの報告も多数あり、納豆菌もプロバイオティクスのような働きをすると着目されています。

 

プロバイオティクスが含まれている食品

“プロバイオティクス”

プロバイオティクスは食品や飲料など多種多様なものに含まれています。自分に合った方法で上手に取り入れましょう。

 

食料品

プロバイオティクスの一つである乳酸菌はヨーグルトやチーズ、漬け物、味噌や醤油などの調味料、意外なものだとメンマやザーサイにも含まれています。

プロバイオティクスの食品を毎日の食事に少しずつ取り入れると無理なく摂取できます。例えば、おにぎりに味噌汁をつけたり箸休めとして漬物をプラスしたり、デザートにヨーグルトを食べたりするなどの工夫をしてみましょう。

 

飲料品

プロバイオティクスの飲料品には日本酒やマッコリ、乳酸菌飲料、酵素ドリンクなどがあります。飲む点滴と言われるほど栄養がある米麹甘酒も、プロバイオティクスの一つです。米麹からつくられた甘酒ならお酒が苦手な方や子どもでも飲みやすいでしょう。牛乳やアーモンドミルクで割ったり、スムージーに入れるのもおすすめです。

また酵素ドリンクは炭酸水で割ると、さっぱりとして飲みやすくなります。豆乳と混ぜるとたんぱく質も取れるので、忙しい時の朝食にぴったりです。

 

健康食品

健康食品とは法律上の定義はありませんが、健康維持に役立つとして販売される商品や健康への効果を期待して摂取する食品を言い、大きく2つに分けられます。商品に機能性を表示できる「保健機能食品」と表示できない、いわゆる「健康食品」です。

保健機能食品はさらに機能性表示食品・栄養機能食品・特定保健用食品(トクホ)の3つに分けられます。保健機能食品は科学的根拠や国が定めた基準に基づいて商品化されているため、具体的にどんなことに役立つかの記載が可能です。保健機能食品でプロバイオティクスが含まれている場合は、商品にその旨が記載されています。

一方いわゆる健康食品の中には、有効性に科学的根拠のない商品もあるため注意が必要です。

 

生きた菌でないと意味がないの?

“プロバイオティクス”

ヨーグルトの乳酸菌は、生きていなくても健康への効果があると考えられています。生きたまま腸に届けば腸内環境に良い影響を与えますし、胃酸で死滅してしまっても発酵生産物や菌体内外の諸成分に健康効果があることが分かっています。

 

プレバイオティクスとは

“プロバイオティクス”

プレバイオティクスとは大腸まで届いて腸内細菌のエサとなり、健康維持に作用するものを指します。代表的なものは、食物繊維とオリゴ糖です。それぞれ以下でみていきましょう。

 

食物繊維

食物繊維には水溶性と不溶性があり、どちらも腸内で善玉菌の増加につながります。不溶性食物繊維は水分を含むと膨張して排便を促進するため、便通改善に効果的です。食物繊維の詳しい働きや多く含まれる食品について知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

 

オリゴ糖

明確な定義はないものの、一般的には糖が2〜10個連なったものをオリゴ糖と呼んでいます。オリゴ糖は善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やすのに効果的です。代表的なオリゴ糖には、次のようなものがあります。

  • フラクトオリゴ糖
  • 大豆オリゴ糖
  • ガラクトオリゴ糖

オリゴ糖は特定保健用食品として認められているため、腸内環境を整えるのに高い効果が見込めます。

 

シンバイオティクスとは

“腸を押さえているヒト”

シンバイオティクスとは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせることです。プロバイオティクスで腸内に良い影響を与える菌を取り入れると同時にプレバイオティクスで菌を増殖・活性化させ、それぞれ単一で摂るよりも効果的に有益に働いてくれます。腸内環境を効果的に整えたいなら、ぜひシンバイオティクスを意識して腸活をしましょう。

腸活におすすめの食品とその組み合わせは、こちらで詳しく紹介しています。これから腸活を始める方は、ぜひご覧ください。

 

プロバイオティクスを含む食品で腸を整えよう!

“プロバイオティクス”

プロバイオティクスとは乳酸菌やビフィズス菌などの体に良い影響を与える微生物そのもので摂取すると腸内環境が整い、健康や美容をサポートしてくれるでしょう。

またプロバイオティクスと一緒に食物繊維やオリゴ糖を摂取すると、単体で摂取するよりも善玉菌増加につながるので意識してみてくださいね。



参考文献

用語集 公益財団法人腸内細菌学会 参照年月日2024年8月13日
https://bifidus-fund.jp/keyword/index.shtml

プロバイオティクスとその多様な機能 ALIC Monthly 月報「畜産の情報」 参照年月日2024年8月13日 https://lin.alic.go.jp/alic/month/dome/2004/aug/wadai1.htm

日本の発酵食品 農林水産省 参照年月日2024年8月13日 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/files/user/pdf/japanese_hakko_part2.pdf

よくある質問 ビフィズス菌と乳酸菌の違いを教えてください。公益財団法人腸内細菌学会 参照年月日2024年8月13日
https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_05.shtml

Probaioticとしての納豆菌の作用 J-stage 参照年月日2024年8月13日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/98/12/98_12_830/_pdf/-char/ja

いわゆる「健康食品」のホームページ 厚生労働省 参照年月日2024年8月13日 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html

乳と乳製品のQ&A 一般社団法人日本乳業協会 参照年月日2024年8月13日 https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_027_334/

e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日2024年8月13日
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/