おいしく安全に食べる!冷凍保存の方法

忙しい時や疲れている時に、食材を一から下ごしらえするのは大変だと感じている方は多いでしょう。そんな方におすすめなのが、食材の冷凍保存です。

この記事では冷凍保存のメリットやコツ、食材別の冷凍保存の方法、上手な解凍のポイントについて解説しています。簡単なテクニックで時短調理を叶えられるので、ぜひ今日から実践してみてください。

 

冷凍保存のメリット・デメリット

ブロッコリーの冷凍保存のイメージ”

食材を冷凍保存するメリットは、主に次の3つです。

【1.食材のムダを削減】

冷蔵保存だと傷むのが早い食材でも、冷凍すれば冷蔵よりも長く保存できてムダを出さずに使い切れる。

【2.時短調理ができる

洗う、切る、下味をつけるといった下ごしらえをしてから冷凍することで、調理時の手間を減らして調理時間を短縮できる。

【3.節約になる】

食材を長期保存できるため、特売時にまとめて安く買えば節約ができる。

ただし、冷凍保存にはデメリットもあります。例えば水分を多く含む野菜は冷凍保存に向いていません。水分が多い野菜を冷凍した場合、解凍するとフニャフニャになって食感が損なわれたり、味が悪くなったりするため注意が必要です。

 

おいしく安全に!冷凍保存方法のコツ

野菜の冷凍保存のイメージ”

家庭の冷蔵庫で食材を冷凍保存する時は、おいしく安全に食べられるように、正しい方法で冷凍しましょう。上手な冷凍保存のコツをお伝えします。

 

傷む前に、水分を拭き取って冷凍

食材は傷まないうちに、できるだけ新鮮な状態で冷凍保存しましょう。開封してから日にちの経ったものや購入してから日数が経過したものを冷凍するよりも、新鮮なまま冷凍した方がおいしさをキープできます。

また冷凍前に食材の水分をよく拭き取っておくこともポイントです。食材の表面に余分な水分が付着していると、冷凍した際に霜が付いてしまいます。

霜は解凍後の風味を損なったり品質を劣化させたりする原因になるため、冷凍する前にキッチンペーパーなどで十分に表面の水分を取り除きましょう。

 

小分けをして、空気を抜いて冷凍

次のポイントは食材を小分けし、空気を抜いてから冷凍する方法です。小分けにしてから冷凍する方法には、以下のようなメリットがあります。

  • 冷凍時間や解凍時間を短くできる

  • 空気を抜くことで酸化を防ぎ、おいしさを保てる

  • 冷凍庫から一度取り出したものを再凍結しなくて済む

食材を冷凍する時は1回に使用する分量ごとにラップで包むなどして、ジッパー付きの保存袋に入れましょう。その際に袋の中の空気をできるだけ抜いて、食材が空気に触れないようにしてください。

 

短時間で冷凍

食材の冷凍は、短時間で行うようにしましょう。その理由は、凍るまでに時間がかかると食材の細胞が壊れてしまうためです。傷みやすくなったり解凍時のドリップでうまみや栄養素が逃げたりする原因になり、おいしさも半減してしまいます。

しかし急速に冷凍すれば細胞に与えるダメージは少なく済みます。時間をかけずに素早く冷凍するポイントは次の通りです。

  • 冷凍室の温度を-18℃以下に保つ

  • 冷凍室内は隙間を少なくし、7割ぐらい食材を入れる

  • 扉の開閉は最小限にして温度変化を防ぐ

  • 冷凍する食材はアルミなど金属製のトレイにのせると冷気の伝達が早い

 

食材別!よりおいしく冷凍保存するコツ

肉の冷凍保存のイメージ”

食材にはそれぞれに適した冷凍のポイントがあります。肉類、魚介類、野菜類、その他の食材に分けて冷凍のコツを紹介します。

 

肉類

肉類を冷凍する場合は、まず肉の表面に染み出たドリップと呼ばれる赤い汁をキッチンペーパーなどで拭き取ります。拭き取らずに冷凍すると、ドリップに含まれているたんぱく質やうまみなどにより肉の臭みが出やすくなるためです。

それから密閉できる冷凍用保存袋に入れ、できるだけ薄く平らにして急速冷凍しましょう。

 

魚介類

魚介類に共通する冷凍のコツは、以下の通りです。

  • 鮮度の良いものを選ぶ

  • 鮮度が落ちないように購入した日のうちに冷凍する

  • 下処理をしっかり行って水分を取る

  • 保存袋で密閉して急速冷凍する

種類ごとに、冷凍のコツを詳しくチェックしてみましょう。

【切り身】

ドリップをキッチンペーパーなどで拭き取り、密閉できる冷凍用保存袋に入れます。1枚ずつラップで包んで保存袋に入れてもOKです。切り身同士が重ならないように、平らにしましょう。

【全身】

魚を丸ごと一尾の状態で冷凍する場合、頭や内臓が残っていると傷む原因になります。頭、内臓、ウロコ、エラを取り除いてよく水洗いし、水気を十分に拭いておきましょう。

必要であれば、解凍後に調理しやすいように3枚おろしやぶつ切りなどにします。小分けにしたいのであればラップで包んでから密閉できる冷凍用保存袋に入れましょう。

【貝類】

あさりやはまぐりなどの貝類はスーパーで購入したものでも砂抜きをしましょう。それから水気をキッチンペーパーで拭き取ります。

砂抜きが不要なほたてやホッキ貝などは、殻や貝ひも、内臓などを取り除いて貝柱だけの状態にし、キッチンペーパーで水気を取ります。ひもと内臓を取り除くのは、傷みやすく冷凍に向かないためです。

重ならないように平らにして密閉できる冷凍用保存袋に入れ、冷凍室で素早く冷凍しましょう。

 

野菜類

野菜類は生のまま冷凍する方法と加熱してから冷凍する方法があります。葉物野菜のほうれん草を例に、それぞれの冷凍方法を確認してみましょう。

【生の状態で冷凍する】

根元も含め十分に洗ったほうれん草をキッチンペーパーで拭き、水気を取りましょう。3~4cmの食べやすい長さにカットし、葉は冷凍用の保存袋に1食分ごとに入れ、根元や茎は別にしてラップに包みます。

【ゆでたものを冷凍する】

ほうれん草をきれいに洗ったら、火が通り過ぎないように短めの時間でゆでます。火が通ったら氷水にさらして、退色を防ぎましょう。水気を切り、食べやすい長さにカットしたら、1食分ごとにラップで包み冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

きのこ類を冷凍する時のコツも押さえておきましょう。きのこは根元が傷みやすいため、石づきの部分をカットして取り除きます。小房に分けられるものは分けて、厚みのあるエリンギなどは切って薄くします。冷凍用の保存袋に入れ、密閉して冷凍室へ入れましょう。

 

その他(ごはん・パン)

ごはんを冷凍する時は、あら熱を取ってから冷凍しましょう。大きなかたまりで冷凍したごはんは電子レンジで解凍した時に加熱ムラになりやすいです。茶碗1杯分程の量で小分けにラップをして、ごはんの粒が潰れない程度に薄くした状態で冷凍用保存袋に入れて冷凍しましょう。

パンは食パンなら1~2枚ずつ、バゲットなどの大きいものはカットしてから小分けにして冷凍用保存袋に入れ、冷凍しましょう。袋に入れる際は、パンが潰れないように注意してください。

 

調理済みの料理

調理済みの料理を冷凍する場合は、食材の傷みや冷凍室内の温度上昇を防ぐため、あら熱を取ってから冷凍庫へ入れるのがコツです。小分けにすると短時間で急速冷凍でき、なおかつ何度も取り出すことによる解凍や再冷凍の繰り返しも避けられます。

料理が空気に触れないようにラップで包んだものをポリ袋や冷凍用保存袋に入れて2重にすると、保存性が高まるでしょう。冷凍した料理は時間が経つと味や食感が変化してしまいます。冷凍してから2週間以内を目安に食べ切るようにしましょう。

ご家庭で冷凍した食品はできるだけ早く使い切るようにしてください。

おいしく安全に!解凍のコツ

野菜の冷凍保存のイメージ”

冷凍した食材は、解凍のポイントを押さえておいしく安全に食べましょう。解凍する時のコツを解説します。

 

自宅で作ったもの

まずは購入した食材を自宅で冷凍した場合の解凍方法を紹介します。食材の種類ごとに適した方法があるので以下を参考にしてください。

【生鮮品】

肉類や魚介類を生の状態で冷凍したものは、半解凍してから調理することがポイントになります。主な解凍方法は次の4つです。

  • 低温解凍:保存袋などに入れたまま冷蔵室に移し、時間をかけて解凍する

  • 電子レンジ:解凍半解凍機能や弱加熱モードを使い、半解凍になるように加熱する

  • 水中解凍:保存袋などに入れた状態で、流水や冷水にさらして解凍する

  • 氷水中解凍:保存袋などに入れた食材を、氷水に浸けて解凍する

半解凍にしてから時間が経つと食材が傷みやすくなります。そのため半解凍状態になったらすぐに調理を開始しましょう。

【野菜類】

野菜類は、時間をかけずに短時間で解凍するのがおすすめです。凍った状態でそのまま調理に使い、炒める・蒸す・ゆでるなどして加熱しましょう。ゆでてから冷凍した野菜は、すでに火が通っているため加熱し過ぎないように気を付けてください。

【果実・果汁】

果実や果汁は涼しい室内で自然解凍し完全に溶ける前のタイミングで食べるとおいしくいただけます。解凍時に保存袋から取り出すと空気に触れて酸化するので、袋から出さずに解凍しましょう。

 

冷凍食品

市販の冷凍食品は商品ごとに解凍方法が異なります。購入する時に売り場で確認するか、調理前にパッケージに記載してある解凍方法をチェックしましょう。

冷凍食品については以下の記事で詳しく解説しています。
冷凍食品は良いところだらけ?栄養面や安全性など魅力を解説

 

冷凍保存方法と解凍方法のコツを抑えて、おいしく安全に食べよう!

野菜の冷凍保存のイメージ”

食材の冷凍保存には保存期間を長くできることや調理時間の短縮といったメリットがあります。食材ごとの冷凍や解凍のポイントを理解して、おいしく安全に冷凍保存した食材を調理しましょう。