代替肉とは?どんな種類や商品があるのかをご紹介
近年、食の選択肢として注目を集めているのが「代替肉」です。従来の動物性肉類に代わる植物性または培養肉を使用した食品で、健康や環境問題、動物福祉など様々な課題解決への鍵として期待されています。
本記事では、代替肉の概要と種類、市場トレンドについてご紹介します。食卓を豊かにする新たなメニューとしてぜひ参考にしてくださいね。
代替肉とは
「代替肉」とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの家畜肉の代わりになる食品の総称です。代替肉は、植物由来の素材やたんぱく質を利用した疑似肉、動物の細胞や微生物発酵を使って培養した人工肉などで、海外では培養肉の研究が進み、販売されている事例もあります。これらの製品は、従来の肉製品に比べて環境負荷の低減や動物福祉などの観点からもメリットがあります。
詳しくは以下記事も参考にしてください。
大豆ミートとは?6つのメリットや手軽に取り入れられる商品をご紹介
代替肉の種類
代替肉には、いくつかの種類があります。大きく分けると「植物代替」「微生物発酵」「培養」の3つです。
植物代替
植物代替とは、動物性原料を使用せず植物性原料のみで構成された代替肉です。大豆が代表的ですが、大豆以外にもエンドウ豆、小麦、米など様々な植物性たんぱく質が原料として使用されています。
健康によいと注目され、多くのメーカーで再現度の高い肉感の商品が開発、販売されているのも特徴です。大豆ミートについては後ほど詳しく説明します。
微生物発酵
微生物発酵とは、酵母や菌類などの微生物を利用して植物由来の原料からたんぱく質を分解・生産する技術です。チーズや味噌などが伝統的な発酵食品として思い浮かびますが、代替肉としてはきのこなどの菌類から発酵させて作る「バイオマス発酵」があります。
近年では、遺伝子組み換えによってバイオマス発酵に使用されるたんぱく質を効率的に生成する「精密発酵」の研究も進んでいます。
培養
培養肉は、動物の筋肉などの可食部から細胞を培養して作られる代替肉です。培養肉は植物性原料とは違い動物の細胞を使っているため、「肉そのもの」であり同じ味わいと食感、栄養価を再現しやすいとされる技術です。培養技術は食品以外にも、植物や医療などにも活用されています。
代替肉が必要とされる理由
代替肉が必要とされる理由の一つは、世界人口の増加に伴う資源不足の懸念です。農林水産省が令和元年に発表した「2050年における世界の食料需給見通し」の報告でも、2050年の1人当たりの畜肉消費量は2010年の1.8倍、低所得国では3.5倍と予測されています。
そのため代替肉は、三大栄養素の一つであるたんぱく質の持続可能な供給手段になると考えられています。
また、健康志向の人々が増加したこともあります。植物由来の素材を使用した代替肉は、通常の肉製品よりも脂肪やカロリーが少ないため、肥満の防止や生活習慣病の予防として需要が高まっています。
ほかにも畜産業で発生する森林の伐採や土壌・水質汚染、温室効果ガス排出といった環境負荷の問題解決や、動物福祉の向上にも役立つと期待されています。
代替肉普及が進む米国と日本の違い
米国では、宗教・思想などを基盤としたヴィーガンやベジタリアンなどから健康への意識が派生し、さらに環境や動物福祉などの観点も加わって代替肉への関心が高まりました。ただ、もともと肉食文化である米国は、植物代替によるミートボールやハムなどからフィレやステーキのような一枚肉そのものの味わいを求める傾向にあり、代替肉の研究・開発が進められています。
一方、日本は代替肉の製品開発は始まったばかりで代替肉の市場規模は米国には及びません。というのも、日本は肉の消費は欧米と比較すると少なく、また豆腐やがんもどきなど肉に代わる食品もあり、肉の味わいや食感など再現性にこだわる必要がないからです。
現在は培養の研究も少しずつ進められていますが、米国と比較すると発展途上と言えます。
日本における今後の代替肉の展望
日本では食も多様化しており、健康志向も高い傾向にあるため代替肉の需要と認知度が少しずつ高まっています。スーパーやコンビニでも植物性の代替肉を見かけるようになりました。
一方で、代替肉に対して栄養価はもちろんのこと、味わいや安全性への懸念を持つ方も少なくありません。多くの企業は、消費者のニーズにより厳選された原材料や植物性たんぱく質の高度な加工技術、添加物フリーによる繊細な味わいの再現、国の定める安全基準に基づいた国内生産などが求められています。
また日本では製品への価格、調理のしやすさ、食べやすさなどにも価値が置かれています。健康と安全に配慮され、普段の食生活に取り入れやすい代替肉がポイントになるでしょう。
代替肉とプラントベースフードの違い
植物由来の食べ物を英語では「プラントベースフード」という呼び方をします。食品加工において植物ベースの原材料を使用している食品の総称であり、魚肉、卵、乳製品などの動物性食品に似せて作られた食品を指します。つまり、植物代替肉もプラントベースフードの1種です。
プラントベースフードには大豆や小麦などから作られた代替ウニ、代替うなぎなどもありメニューに加えているレストランもあります。以下の記事も参考にしてください。
プラントベースが注目されている理由|食生活への上手な取り入れ方とは
代替肉として活用できる食品
ここでは、代替肉として活用されている代表的な食品を紹介していきます。
大豆ミート
大豆ミートとは、大豆を脱脂加工し肉のような食感と味わいを再現した食品で、植物代替の代表格です。一般的に市販されているのは、乾燥したものを水やお湯で戻すタイプ、レトルトタイプなどがあり、ミンチ、フィレ、スライス、ブロックなど形状もさまざまです。
テンペ
テンペとは、インドネシア発祥の大豆発酵食品です。大豆をテンペ菌と呼ばれるカビで無塩発酵させたもので、良質なたんぱく質源としてインドネシアでは日常的に食べられています。大豆そのものを摂取するよりも、イソフラボンやナイアシン、ビタミンB6などの栄養源として取り入れる形です。
多くの国では健康食品として20年程前から普及しています。日本では大豆の発酵食品として納豆があるためそれほど普及率は高くありませんが、製造・販売している会社もあり少しずつ知られるようになってきました。
豆腐(豆腐ミート)
豆腐ミートとは、豆腐を原料に肉のような食感と味わいを再現した植物性肉の代替品です。スーパーやコンビニでは豆腐ハンバーグやグラタンなどが販売されています。
柔らかい豆腐から作られることもあり、煮る・焼く・炒める・揚げるなど調理しやすく作り方も簡単なので家庭で作ることもできます。ほかにも、がんもどきやスープ、サラダなどにも活用できてメニューのバリエーションも豊富なのが特徴です。
おからこんにゃく®
おからこんにゃくとは、「おから」と「こんにゃく」を組み合わせた食品素材です。おからは豆腐を作る段階で大豆から豆乳を絞ったあとの残渣部分で、大豆の食物繊維部分になります。産業廃棄物処理が必要なおからを利用することで、食品ロスの削減と持続可能なたんぱく質の供給を生み出す次世代型代替肉です。
「おから」と「こんにゃく」の混合比や製法、調味の調整によって、肉の様々な部位の食感と味わいを再現しています。
代替肉を選択肢の一つに!
代替肉は、環境や健康に配慮した食生活を実現するための選択肢の一つです。今後も技術開発や商品開発が進み、より多くの方に受け入れられる存在になると考えられます。ぜひこの機会に、おいしい代替肉を試してみてはいかがでしょうか。
BEYOND FREEは、「食べたいものを、自由に選択できて、おいしく食べられる」をコンセプトに、楽しく健康的な食生活をサポートしています。
おすすめは、植物由来の原材料を使用したおからこんにゃく®で作ったからあげやおからこんにゃく®で作ったカツです。カラッとした表面にジューシーな歯ごたえで食べ応えも抜群です。
他にも、糖質が気になる方やダイエット中の方も大満足のメニューが揃っています。ぜひ利用してみてください。
参考文献
代替肉 農林水産省 参照年月日:2024年4月11日 https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_system/attach/pdf/index-25.pdf
代替肉業界の分析と日本が取り組むべき方向性 株式会社野村総合研究所 パブリックマネジメントレビュー 参照年月日:2024年4月11日 https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/region/2021/11/2_vol220.pdf?la=ja-JP&hash=38F4889DF7319D8417F34D7D338CA2A6B5E87296
フードテックをめぐる状況 農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 参照年月日:2024年4月11日https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/attach/pdf/meguji.pdf
5.食料需要予測に係る調査 農林水産省 参照年月日:2024年4月11日https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/attach/pdf/itaku-10.pdf
代替肉市場について 農林水産省 大臣官房総合政策課 参照年月日:2024年4月11日https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202205/202205i.pdf
プラントベース食品って何? 消費者庁 参照年月日:2024年4月11日https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf
無塩発酵大豆テンペの機能性研究 相愛大学人間発達学研究 参照年月日:2024年4月11日https://www.soai.ac.jp/univ/pdf/kenkyu_h1oota.PDF
大豆食品テンペの利用に関する研究 J-stage 日本調理科学会大会研究発表要旨集 参照年月日:2024年4月11日https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/17/0/17_0_2/_article/-char/ja/