玄米に含まれる栄養素は?完全栄養食ってホント?白米や発芽玄米との差を徹底比較

玄米は体に良いと耳にする機会も多いと思いますが、実際どのような栄養素が含まれているかはあまり広く知られていないかもしれません。


この記事では、玄米に含まれる栄養素や、玄米と白米との違いについて解説します。この機会に玄米を食べるメリットを知り、ぜひ毎日の食生活に役立ててください。

 

玄米とは?

 

玄米とは、収穫した稲を乾燥させた「もみ」から、もみがらを取り除いたものをいいます。 

玄米が通常の白米になるまでには、さらに精米しなくてはなりません。精米とは、玄米についた糠(ぬか)層と、胚芽とを取り除く作業ですが、精米にもさまざまな段階があります。

 

表面の糠を少し落としたものが、三分づき米です。さらに精米の度合いによって、五分づき米、七分づき米、胚芽米、そして白米と、徐々に表面が白くなっていきます。

段階の違いはあるものの、白米になる前のものはどれもが玄米です。精米の度合いにより、さまざまな玄米を楽しむことができます。

 

玄米は完全栄養食?玄米に入っている栄養素

 

玄米は完全栄養食、あるいは完全食と言われることがあります。それは、健康のために必要だと考えられる栄養素のほとんどが玄米に含まれているためです。

健康のために必要な栄養素とは、すなわち現代人に不足しやすい栄養素であるといえるでしょう。重要かつ不足しがちな栄養素を玄米で補えるのは、玄米食の大きなメリットです。

ここでは、玄米に含まれる主な栄養について紹介します。

 

ビタミン

玄米にはたくさんの種類のビタミンが含まれています。一例を挙げれば、ビタミンB₁、B₂、B₆、ナイアシン、パントテン酸、葉酸などです。

 

ビタミンB₁には糖質を代謝し、エネルギーを作り出す作用があります。ビタミンB₂の役割は、糖質だけでなく脂質、タンパク質を代謝したり、皮膚や粘膜を正常に保ったりすることです。ビタミンB₆は、代謝や粘膜、免疫系の保全に役立つほか、赤血球の合成にも関わります。

 

ナイアシンはビタミンの一種で、アルコールなどを代謝し、皮膚や粘膜を健康に保つ役割をします。パントテン酸は、エネルギー代謝を助けるビタミンです。葉酸に関しては、アミノ酸の代謝だけでなく、DNA、RNAの合成を助けることから妊娠中にも多く必要とされるビタミンとして知られています。

なお、玄米には、ビタミンB₁₂、C、Dは含まれていません。

 

ミネラル類

玄米には、ミネラル類も豊富に含まれています。玄米に含まれるミネラルは、カリウム、マグネシウム、リン、マンガンなどです。

カリウムはミネラル類のなかでも、通常の食生活で不足しがちであるといわれます。しかしカリウムは塩分の排出を助けて、血圧を正常に保ちやすくする役割があるため、重要な栄養素です。

 

またマグネシウムは、体内でさまざまな代謝に用いられます。また、骨、歯、脳、神経の形成を助ける側面もあり、やはり重要性の高いミネラルです。

リンはエネルギー代謝のほか、DNAを作る上でも重要であることがわかっています。マンガンは体内の酵素の働きを助けるだけでなく、骨の形成にも役立つなど、どのミネラルも私たちの生命維持に欠かすことのできないものばかりです。

 

食物繊維

玄米には食物繊維が豊富に含まれています。

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とがありますが、玄米に特に多く含まれるのは、不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は水分を保持する性質を持ち、便のかさを増すことで腸の動きを活発化し、便通をよくしてくれます。

また腸内環境が整うことによって、ホルモンバランスを調節するなど、健康に大きく影響する可能性があるでしょう。

 

たんぱく質

玄米にはたんぱく質も含まれています。たんぱく質は筋肉や髪、爪などの主成分で、また免疫機能を保全する役割ももつ、体にとって重要な栄養素です。

ただし、たんぱく質に関しては白米に含まれる量と大きく違いはないのも特徴です。玄米100gに含まれるたんぱく質の量は6.8gですが、白米の場合でも6.1g含まれていて、玄米の方がわずかに多いだけであることが分かります。

 

玄米と白米の違い

 

玄米には豊富に栄養が入っていることをお伝えしましたが、では、白米と比べると何が違い、どの程度の差があるのでしょうか?

ここでは、玄米と白米の違いを解説します。

 

玄米にはぬか・胚芽が残されている

玄米と白米との違いは、玄米には糠(ぬか)と胚芽が残されているという点です。

冒頭でもお伝えしたとおり、玄米とは、白米を精米する前の状態を指します。精米前の玄米は、白米の表面に胚芽と糠の層が付着した状態です。白米の場合、糠や胚芽は精米によって取り除かれてしまいます。

この糠や胚芽にはたくさんの栄養が含まれており、その割合は玄米の栄養のおよそ80%と言われているのです。

 

玄米と白米の栄養成分の違い

玄米と白米を比較すると、食物繊維やビタミン類、ミネラル類が玄米に非常に多く含まれていることが分かります。特に多いのはビタミンB₆、ナイアシン、鉄分の3つです。

 

ビタミンB₆は、タンパク質の分解において補助的な役割を果たしたり、肝臓に脂肪が蓄積しないよう調節したり、血液の成分を合成したりと、さまざまなことに用いられます。

玄米100gあたり0.45mgのビタミンB₆が含まれているのに対し、白米では0.12mgしか含まれません。

 

ナイアシンも大きく差が出ます。同じく100gあたり、玄米では6.3mgが含まれますが、白米では1.2mgしか含まれていません。

ナイアシンはエネルギーの生成を助けたり、皮膚や粘膜の健康維持に役立ったりする栄養素です。

 

一方、鉄分は全身に酸素を届ける栄養素で、不足すると思考力や記憶力の低下が心配されます。

こちらも100gあたり、玄米には2.1mg、白米では0.8mgの鉄分が含まれることが分かっています。

 

実は、玄米には白米に比べて脂質がやや多く含まれます。玄米100gあたりの脂質が2.7gであるのに対し、白米では0.9gです。カロリーについても玄米の方がわずかに高いですが、大きな差はありません。

 

玄米100gあたり

白米100gあたり

ビタミンB₆

0.45mg

0.12mg

ナイアシン

6.3mg

1.2mg

鉄分

2.1mg

0.8mg

脂質

2.7g

0.9g

カロリー

346kcal

342kcal

※それぞれ炊飯前の値で比較

出典:日本食品標準成分表 (八訂)増補2023年

 

玄米と白米の食べ方の違い

玄米も白米も、炊いて食べるという点ではあまり変わりません。 

ただし、食物繊維が豊富な玄米は硬く、水を吸収しにくいため、米の中心部まで進水させるには白米よりも長時間付けておく必要があるため注意が必要です。

一般的に白米の浸水時間は30分~1時間ですが、玄米は5~6時間浸水させてから炊くのが理想的です。

 

現在では炊飯器のなかにも、玄米ご飯に特化した、玄米モードをつけているものもあります。一般的に炊飯時間は玄米のほうが長くなりますが、水の量は玄米のほうが多いため、その辺りも注意が必要です。

 

玄米を生活に取り入れるおすすめの方法

 

玄米を生活に取り入れたくても、なかなか使い方がわからず戸惑う方も多いでしょう。

ここでは、玄米を生活に取り入れられる方法をご紹介します。

 

白米に混ぜて炊く

玄米だけを食べる方もいますが、食べ慣れないため食べにくいと感じる方も多く見られます。

こんなときは、玄米を白米に混ぜて炊くと食べやすくなります。例えば、玄米:白米を1:2の割合で混ぜて研ぐと、白米と同じ水の量でもおいしく炊きあげることが可能です。

炊くときには基本的には炊飯器の指示に従うだけですが、玄米を炊く際には少量の塩をいれることで玄米の独特な酸味や苦味が打ち消されるためより美味しくお召し上がりいただけます。

 

また、玄米を白米に混ぜた場合の浸水時間は、使う炊飯器や圧力鍋によって大きく変わるため注意が必要です。

圧力炊飯器や圧力鍋など、白米と一緒に研ぎ、1~2時間浸水させてすぐに炊ける炊飯器もあります。そうでなければ、玄米だけを先に研いで1時間ほど浸水させ、研いだ白米と合わせてさらに1時間待って炊くのがおすすめです。

冬場は気温が低く、浸水しにくいため、浸水時間は5~6時間へと拡大します。どの程度の浸水が必要かは、使う炊飯器などの説明書にも書いてあるため参考にしましょう。

 

炊き込みご飯やチャーハンにする

玄米ご飯に、具材を入れて炊き込みご飯やチャーハンにすると、さまざまな味で楽しむことができます。

具材は、白米の炊き込みご飯と全く同じで構いません。ニンジンや鶏肉を入れた五目炊き込みご飯、ひじきご飯、豆ご飯、たこめしなど、豊かなバリエーションをぜひ楽しんでみましょう。味つけも同様です。

 

炊き込みご飯をつくる際は事前に玄米だけをとぎ、浸水します。玄米の浸水時間は、夏は2時間程度、冬は6時間程度です。浸水が済んだらザルにあげ、水を切っておきます。

また水加減は、炊飯器の釜にある玄米用の目盛りを参照してください。水分量の多い具材を入れるときは水加減を減らすといった工夫も必要になるでしょう。

 

チャーハンの場合は、具材を入れずに炊き上がった玄米を、白米と同じようにチャーハン用に使います。白米に比べてお米がパラパラになりやすいのが特徴です。

 

栄養豊富な玄米を食卓に取り入れて

 

玄米は白米と比べると、栄養バランスがよく、ビタミンB群を筆頭に栄養が豊富な食べ物です。

また白米同様、食べ方もバリエーションが豊かで飽きずに食べられます。玄米を使ったパンなども販売されているため、たくさんの選択肢を持てるのがメリットです。

玄米の効果を期待するなら、白米との置き換えなどの工夫をし、継続して玄米食を取り入れるのがおすすめです。糠や胚芽の部分に含まれる栄養を余すところなく取り入れる方法として、ぜひ玄米生活にチャレンジしてみてください。

 

参考文献

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省

カリウム e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日  カリウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)