除去食とは?アレルギーに配慮して食材を用意する際のポイントを解説
アレルギーの症状が出る場合、アレルゲンになる食材を省いた除去食を食生活に取り入れる必要があります。除去食はどのように用意すれば良いのでしょうか?用意の仕方は各食材によって異なるため、要注意です。
この記事では、除去食の取り入れ方や除去食の対象になるアレルゲン食材について解説します。具体的にどのようなポイントを意識して除去食を用意すべきかについても説明するので、ぜひ参考にしてください。
除去食の概要
除去食とは、アレルゲンを含む食材を除いて調理した食事です。アレルゲンとは、アレルギーの原因になる物質をさしています。除去食の目的は、特定の食材の摂取を避け、アレルギーの症状が出ないようにすることです。アレルギーの症状が特に出やすいのは小さな子どもで、年齢を重ねれば症状が軽くなる方が多いです。
なお、特定の食材を除去して他の食材を追加したり、調理方法を変更したりした食事は、代替食です。
除去食の取り入れ方
除去食を用意する場合、食べるとアレルギーの症状が現れる食材のみを除去の対象にしましょう。体にとって必要な栄養を食事からしっかり摂取するには、除去する食材を最小限に抑えることが大切です。
また、同じ食材でも、アレルギーの症状が出る量は人によって異なります。アレルギーの症状が出る食材であっても、必ずしも完全に除去する必要はありませんが、自己判断にはリスクが伴うため、専門医に相談するようにしてください。
除去食の対象になるアレルゲン食材
除去食の対象になるアレルゲン食材としては、さまざまなものがあげられます。代表的なアレルゲン食材をあげると、以下のとおりです。
・卵・牛乳
・くるみ
・小麦
・落花生
・えび
・かに
・そば
ただし、同じ食材であっても、中には調理方法によってアレルギー症状の現れ方が違う食材もあります。
また、自分で食材を用意して調理する場合だけでなく、加工食品を食べる際も注意が必要です。なかには、材料としてアレルゲン食材を含んでいる加工食品もあるからです。
除去食を用意する際に押さえておきたい食材ごとのポイントについては、以下で詳しく解説します。
除去食を用意する際の食材ごとの注意するポイント
除去食を用意する際は、それぞれの食材の特徴を理解しておく必要があります。食材によって注意するポイントが異なるため、違いを把握しておきましょう。
卵
卵によるアレルギーは、卵黄ではなく卵白のたんぱく質が原因となる場合が多いです。そのため、特に卵白に注意しましょう。
卵は、加熱するとアレルギーを起こす力が弱くなる傾向があります。ただし、火を通したからといって、卵でアレルギーの症状が出る方が食べても問題ないわけではありません。
また、卵をスープや鍋料理に入れると、後から卵を取り除いたとしてもスープ自体にアレルゲンが含まれてしまいます。完全除去はできないため、気をつけましょう。
卵を含む加工食品としては、パン、マヨネーズ、プリン・ケーキ・カステラなどの洋菓子、食肉加工食品、練り物、惣菜の揚げ物などがあげられます。ハンバーグなどの料理のつなぎにも含まれる場合があるので注意してください。
牛乳
牛乳は加熱してもアレルギーを引き起こす力が変化しないため、除去食では完全に取り除く必要があります。ただし、牛乳を一切摂取しない場合、カルシウムが不足しがちになります。小魚など、牛乳以外でカルシウムを含む食材を積極的に取り入れましょう。
牛乳を含むものとしては、牛乳を加工したヨーグルト、チーズ、バター、生クリームなどの乳製品や、ケーキ、パン、チョコレート、シチューのルーなどの加工食品があげられます。
また、名称に「乳」という文字が含まれていても、材料として牛乳が入っていない加工食品もあります。たとえば、乳化剤は「乳」ではなく、大豆や卵黄などで作られている場合もあるため、詳しく確認しましょう。
ナッツ類
近年は、ナッツ類によってアレルギーの症状が出る方も増えています。特にくるみのアレルギーが目立つようになっており、消費者庁はくるみを特定原材料に追加しました。
くるみがよく使用されている加工食品としては、洋菓子があげられます。くるみがそのまま入っている場合もありますが、粉末状にして使用されている場合もあります。見た目だけではくるみが含まれているか判断しにくいため、気をつけましょう。
また、くるみはペカンナッツと強い関連性がみられます。くるみでアレルギーの症状が出る方は、ペカンナッツも避けるべきです。
小麦
小麦は「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」を引き起こしやすい食材です。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」とは、特定の食材を摂取した後に運動すると症状が出るアレルギーのことです。
小麦を含む食品としては、小麦粉、パン、うどん・パスタなどの麺類、餃子の皮、洋菓子や和菓子などがあげられます。たこ焼きやお好み焼き、カレールウ、揚げ物の衣にも多くの場合で小麦が含まれているため、注意しましょう。
また、小麦が使用されているしょうゆや味噌もありますが、製造過程でたんぱく質が分解されています。そのため、小麦でアレルギーの症状が出る方でも、しょうゆや味噌は摂取しても問題ないというケースもあります。しかし、自己判断にはリスクがありますので、アレルギーの専門医に相談してください。
落花生
落花生は、加熱するとかえってアレルギーを起こす力が強まります。落花生のアレルギーとして生じる症状は、重篤となるケースが多いです。たとえ微量でも症状が出る可能性があるため、特に意識的に避ける必要があります。
落花生を含む加工食品は、ピーナッツバター、ピーナッツオイル、市販のドレッシングなどです。また、スナック菓子やカップ麺の中にも落花生を含むものがあります。落花生は加工食品の隠し味として使われる場合もあるため、加工食品を選ぶ際は必ずチェックしましょう。
えび・かに
えび・かにについては、年齢を重ねて大人になってもアレルギーの症状が改善されない方が多いです。えび・かにそのものだけでなく、えび・かにを使用しているスープやだしにも注意しなければなりません。
たとえば、えび・かにエキスを使用しているカップ麺やスナック菓子もあります。えび・かにエキスが含まれているかどうかは見た目で判断できないため、必ず原材料名を見て確認しましょう。また、冷凍焼売の中にもえび・かにが含まれているものがあります。
そば
そばは、微量の摂取でも重篤な症状を誘発する恐れのある食材です。そばを含む食品としては、そば粉、そば茶、そばまんじゅうなどがあげられます。
飲食店ではうどんとそばを同じお湯で茹でているところもあるため、外食する際は個別に確認したほうが安心です。そばは表示義務がある特定原材料ですが、飲食店のメニューについては表示義務がありません。
また、そばのアレルギーがある方は、空中に舞ったそば粉を吸い込むだけでも症状が出る可能性があります。店内でそば打ちを行っている店舗などの場合、そばを食べないとしても注意が必要です。
除去食の活用によりアレルギーと上手に付き合おう
特定の食材によりアレルギーの症状が出る場合は、除去食を活用して対応しましょう。食材の種類によってはアレルギーの症状が出にくくなる食べ方があるので、専門医に相談のうえ、適切な除去食を用意してください。
また、加工食品の中にもアレルゲンとなる食材を含むものがあります。特定原材料8品目の場合は原材料名をよく見て確認しましょう。それ以外のアレルゲンの場合は、食品表示の義務が設けられていないため、原材料名を見ても分からない場合があります。その際は商品の販売元に問い合わせるなどして確認が必要です。
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※症状の重い方は表示をよく確認し、専門医に相談のうえで食べるようにしてください。
参考文献
健康用語辞典 > アレルゲン 一般社団法人 日本健康倶楽部 参照年月日:2023年12月25日 アレルゲン|健康用語辞典|一般社団法人 日本健康倶楽部 (kenkou-club.or.jp)
資料2_第5回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議 消費者庁 参照年月日:2023年12月25日 food_labeling_cms204_230613_04.pdf (caa.go.jp)
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種実(ナッツ)類アレルギー|食物アレルギー研究会 (foodallergy.jp)
食物アレルギーの子どものための 食事の基礎知識 独立行政法人環境再生保全機構 参照年月日:2023年12月25日