菜食ってどんなものを食べるの?一週間の献立を振り返ってみた。

菜食を積極的に取り入れているフィンランド在住のライターが、実際の食生活やその魅力を紹介します。フィンランドをはじめとする北欧やヨーロッパの菜食に関する情報も織り交ぜながら、連載でコラムをお届けします。

 

今回は、菜食生活の一例として、ある一週間の献立とその中からいくつかのメニューについてピックアップします。

 

我が家のある一週間を振り返ってみた。

こんにちは!フィンランド在住のライター、タカコです。北欧の一国、フィンランドへの海外移住をきっかけに菜食中心の食生活を始めて5年以上が経ちます。

 

友人や知り合いに菜食を実践していることを伝えると、「サラダとかスムージーが中心なの??」「どんなもの食べているの??」と不思議がられることも少なくありません。

そこで改めて、ふだん我が家でどんなものを食べているか、ある一週間の献立を振り返ってみました。

 

すると、一見よく似た同じようなメニューを食べていることがわかりました(※下記の表をご覧ください)。朝ごはんにいたっては、ほとんど同じです(笑)。

しかし!昼食と夜食については、毎日同じものを食べているという感覚はありません。例えばひと口に「野菜スープ」といっても、さまざまな野菜・豆・プラントベース食品の組み合わせを変えており、具材はもちろん味付けも異なります。

 

 

 

我が家の献立の中心は、アレンジ自在のカンタンメニュー。

ここからは、先ほど紹介した献立の中にも出てくるよく作るメニューを5つピックアップしてその特徴を紹介します。

いずれもその日の冷蔵庫の中身次第でアレンジでき、特別な食材もあまり使用しない、汎用性が高いと思われるメニューです。

 

私は栄養や調理のプロではなく、菜食を実践する一主婦・ライターなので、栄養や味に関して語ることやレシピを掲載することは控えますが、手間暇の負担が少なく続けられているシンプルなメニューなので、菜食に興味を持つ方の何かの参考になれば嬉しいです。

 

メニューと併せて、菜食を実践する上で気を付けているポイントやフィンランドの食の事情もお伝えしていきますね!

 

①野菜パスタ

その名の通り、パスタを茹でて常備してある野菜を合わせてさっと炒めて味付けるだけ。我が家では彩りがいいように、パプリカなどカラフルなものを使うことが多いです。

味付けは、ヴィーガン用の野菜のだしを使ったり、塩・コショウ、ニンニク、オリーブオイルなどであっさりと仕上げることが多いです。トマトソースをかけることもあります。

 

パスタの種類はスパゲッティもショートパスタも使い、全粒粉のものを選ぶこともあります。たとえ具材は同じでも、パスタの種類を変えるだけでも食感や風味が変わって楽しいです。

また、特に夏など新鮮な野菜の食感を楽しみたい時は、野菜サラダを茹でたパスタに混ぜてプラントベースのドレッシングなどで味付けすることもあります。かなり手を抜いてます(笑)。

 

こんなふうにアレンジ自在の野菜パスタですが、菜食として注意している点は1つ、卵が使われたパスタをうっかり選ばないようにすること。

多くのパスタは小麦粉と水で作られていますが、卵を使っているものもあるので、表示を確認するようにしています。

スーパーで売られているパスタの表示をチェックする限り、特に生パスタでは卵が使われていることが多いため、我が家ではもっぱら乾燥麺を選んでいます。

 

②野菜スープ

日本で汁物といえばやっぱり味噌汁ですよね。私も移住後しばらくは日本の味がなつかしく、頻繁に味噌汁を作っていた時期もありました。

しかし現在は海外在住のため、だしに使う良質の昆布が日本ほどは身近になく、コンスタントに手に入りにくい傾向にあります。そのため、昆布は貴重なものとしてなるべく大切に使うようにしています。

また、昆布に匹敵するような味噌汁に合うプラントベースのだし素材もなかなか見つかりません。それでいつのまにか味噌汁をあまり作らなくなってしまいました。その代わり、よく作るようになったのが野菜スープです。

 

スープの具材は人参やかぶなどの根菜を中心にすることが多いですが、玉ねぎやヤングコーン、パプリカなどを入れることもあり、その日家にある食材次第です。

タンパク源を加えたい時は、レンズ豆、ひよこ豆、豆腐なども入れて煮込みます。

 

味付けはヴィーガン向けに販売されている野菜のだしを入れて、塩•コショウで整えたり、ニンニクの風味を加えます。

基本的な味付けに飽きたら、トマトピューレやトマトソースで仕上げることも。さらにそこに雑穀やショートパスタを入れて、ミネストローネ風にして楽しむこともあります。

 

③プラントベースカレーライス

玉ねぎ、パプリカなど好きな野菜をニンニクといっしょに炒めた後に野菜のだしで煮込み、カレー粉とプラントベースのミルクかクリーム、もしくはココナッツミルクを入れて仕上げて出来上がり。

肉を使っていなくても、コクがたっぷりで満足しています。ボリュームがほしい時やタンパク源を加えたい時は、プラントベースのミンチを加えています。

 

ちなみに、プラントベースのミンチとは、代替食品の一種で大豆などを原料につくったひき肉風の食品です。乾燥させたものが多く、商品やメニューにもよるかと思いますが大抵はお湯で戻して使います。

 

また、我が家では固形のカレールーではなくターメリック、コリアンダー、クミンなどのスパイスをミックスしたパウダー状のカレー粉を使用しています。

日本ではカレールーがおなじみですが、こちらではあまり見かけませんし、もし日本製のカレールーを見つけたとしても乳製品や動物性油脂が使われていることも多いので、カレー粉を選んでいます。

 

④ベイクドポテト

フィンランドではジャガイモは小麦と並び、立派な主食のひとつ。品種によって加熱した時の状態がかたいもの、やわらかいもの、粘り気があるもの、食感が粉っぽいものなど特徴がさまざまで、用途によって使い分けている人がいらっしゃいます。

スーパーでも、用途を表示した袋に入れて売られたりもしています。また、スーパーや市場で販売されているジャガイモの品種も多く、移住してきたばかりの頃の私には新鮮でした。

 

一般的にフィンランドの家庭では、ジャガイモを蒸してそのままいただく他、ムース状にしたり、キャセロールなどにすることが多いのですが、我が家ではベイクドポテトが定番メニューになっています。

 

ジャガイモをくし形切りにして、塩・コショウや好みのハーブ、ニンニクチップなどをかけて、オーブンで焼くだけ。フライドポテトより手軽であっさりした味わいです。

このオーブンポテトを主食に、キノコや根菜をいっしょに焼くことも。副食として、プラントベースのソーセージやナゲットなどを合わせることも多いです。

 

⑤炊き込みご飯・混ぜご飯

炊き込みご飯には一般的に鶏肉や鮭など何かしら動物性の食材を入れることが多いと思いますが、菜食の場合はきのこや豆、そしてもちろん野菜が具材となります。味付けは昆布だしや野菜のだし、醤油、砂糖などの調味料を合わせます。

具材を別で炒めて味付けし、炊きあがったご飯に加えて「混ぜご飯」にもできるのは、これは通常の場合と同じです。

炊き込むにしても混ぜるにしても、肉や魚の旨みがない分、あっさりした風味に仕上がるので、パンチのある味がほしい時はガーリックパウダーを使ったり、少しだけごま油をかけたりと工夫しています。

 

もっとボリューミーに仕上げたい時は、プラントベースのミンチを使ったそぼろの混ぜご飯や、プラントベースのウィンナーを刻んで入れた炊き込みご飯など、アイデア次第で色々とアレンジできます。

ここ数年でどんどん増加&進化しているプラントベース食品のおかげもあり、菜食生活がますます便利で味わい豊かなものになってきている気がします。

 

我が家のカンタン菜食のポイントは「引き算」と「代替」

今回は、我が家の献立例とよくつくる菜食メニューをシェアさせていただきました。

メニューの特徴をまとめると、①通常のメニューから肉や魚を「引き算」する。②肉・魚の代わりにプラントベースの肉へ「代替」する。あるいは、乳製品をプラントベースの製品へ「代替」する。ーという、2つの工夫で成立していると言えそうです。

 

菜食ではない通常のメニューをベースにして、「引き算」&「代替」する。このシンプルな方法でも意外と幅広くメニューを展開でき、しかも面倒くさがりな私でも菜食生活を何年も継続できています。

 

もちろん、日本の精進料理のようにしっかり手間をかけられた菜食は素晴らしいですが、だからといってカンタン・手軽な家庭料理が劣っているということではないと思います。大事なことは優劣ではなく、個人や家庭、各々の好みやライフスタイルに合わせて、自分に合った食生活をつくることかもしれません。

 

今回紹介したようなメニューであれば、菜食主義ではない方でも取り入れやすく、お好みや常備の材料でアレンジしやすいのではないでしょうか?「最近、ちょっと菜食が気になっている」という方や「部分的に菜食を取り入れてみたい」という方の参考になりましたら幸いです。

 

それではまた!今後もフィンランドから菜食やプラントベースに関連する暮らしの情報を報告・シェアできればと思います。

 

Text/Takako.H

ライタープロフィール

フィンランド在住。移住とともに菜食生活を開始し5年ほどになります。自然が身近で、サステナブルな社会の実現への関心が強い北欧の人々や文化に触れながら生き方を学んでいます。私たちのライフスタイルの可能性や選択肢が広がるきっかけとなるような菜食の情報を発信していければと思います。