アサイーとは何か?気になる味わいや健康機能などを紹介
近年、「スーパーフード」として再注目を集めるアサイー。鮮やかな紫色と独特な風味を持つアサイーとは一体どのような果実なのでしょうか?
この記事ではアサイーのルーツから味わい、アサイーに含まれる栄養素や健康機能まで、その秘密と魅力を余すところなくご紹介します。アサイーの入手方法や食べ方、食べるときの注意点なども説明するので参考にしてください。
アサイーとは何?
アサイーとは南アメリカや中央アメリカ原産のヤシ科の植物で、ブルーベリーよりも一回り大きい黒紫色の果実です。単体で食べるとほんのりとした渋みとコク、若葉のような爽やかな香りがします。
そのような特徴から料理として加えると他の食材の味を邪魔せず、むしろ引き立ててくれる効果があります。例えばバナナやヨーグルトのような甘みのある食材と組み合わせると、アサイーの渋みがまろやかになり、よりおいしさを感じられるでしょう。
アサイーは2014年頃に、ジュースまたはスムージーにしてフルーツやシリアルなどにトッピングする「アサイーボウル」として知られるようになりました。その後、栄養バランスや色鮮やかな見栄え、健康志向の高まりなどから2023年頃にテレビで取り上げられ、再び注目を集めるようになったのです。
アサイーに含まれている特徴的な栄養素と働き
アサイーは皮の多い独特の食感と濃厚な味わいに加え、以下のような主な栄養素が含まれています。
- エネルギー 62kcal
- 炭水化物(糖質・食物繊維) 5.0g(0.3g・4.7g)
- 脂質 5.3g
- たんぱく質 0.9g
- カリウム 150mg
- カルシウム 45mg
- マグネシウム 20mg
- 鉄 0.5mg
- βーカロテン 380μg
- αートコフェロール 3.7mg
- ビタミンK 91μg
- ビタミンB1 0.03mg
- ビタミンB2 0.06mg
- ビタミンB6 0.11mg
- 葉酸 13μg
※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
特にカルシウムや鉄、αートコフェロール(ビタミンE)などが含まれているのが特徴的です。それぞれの栄養素を見ていきましょう。
カルシウム
アサイーには、100gあたり45mgのカルシウムが含まれています。 カルシウムは、主に骨や歯の形成に不可欠で、人の体に最も多く含まれているミネラルです。一部は筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固など様々な生命活動に関与しています。
カルシウムを十分に摂取することで、骨粗鬆症予防、むし歯予防、出血予防などさまざまな働きが期待できます。ただしカルシウムの吸収を高めるには、ビタミンDも欠かせません。
鉄
鉄はヘモグロビンとミオグロビンの構成成分として体中に酸素を供給する役割を担っている他、エネルギー代謝の促進や免疫機能向上などにも関与します。鉄には動物性のヘム鉄、植物性の非ヘム鉄があり、アサイーに含まれるのは非ヘム鉄です。
非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率が低いので、一緒に摂取すると吸収率が上がると言われているビタミンCや動物性たんぱく質も意識して摂りましょう。
α-トコフェノール(ビタミンE)
ビタミンEは合計8種類あり、α-トコフェノールはその中でもヒトの体内に最も多く存在します。脂に溶ける性質があるため、脂質と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
アサイーの健康機能
次にアサイーの強みとなる機能について紹介します。
強い抗酸化作用がある
抗酸化作用とは過剰な活性酸素から身を守り、がんや老化、生活習慣病を予防する働きを言います。
健康のためには活性酸素を除去すると良いのですが、活性酸素は適度な量であれば免疫機能や細胞の伝達物質として働くため、適量は必要です。完全に活性酸素を取り除こうとせず、バランスの取れた活性酸素量が望まれます。
アサイーはアマゾンの熱帯雨林気候と言う環境から身を守るため高い抗酸化作用を持つことで知られています。抗酸化作用を持つ主成分はアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種です。
アントシアニンはブルーベリーやぶどうなどの果物にも含まれていますが、食品の抗酸化力を数値化したORAC値(Oxygen Radical Absorbance Capacity)と言う指標での比較において、アサイーに含まれる抗酸化力はブルーベリーやプラム、赤ぶどうなどよりも倍以上との報告があります。
腸内環境を整えてくれる
腸内環境を整えてくれるのは、アサイーの含有成分である食物繊維の働きです。食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌が増えて腸内環境が整うことで、便秘解消や下痢予防、免疫力向上などに貢献します。
食物繊維は現代人の食生活で不足しがちな成分とされています。厚生労働省(日本人の食事摂取基準2020年版)によると日本人が目指すべき食物繊維の摂取目標量は18〜64歳において男性で21g以上、女性で18g以上である一方、実際の推定摂取量が14g程にとどまっているとの理由からです。
食物繊維の摂取量を意識するのと同時に、同じような働きをするオリゴ糖(バナナなど)や善玉菌そのもの(ヨーグルトや乳酸菌飲料など)を摂取すると、より効率的に腸内環境を整えられるでしょう。
そのほか
アサイーは海外では美容・ダイエットなどの効果があると言う論文が発表されています。
しかし厚生労働省によると、健康に対するアサイー製品の効果に関する研究はほとんど行われていません。つまり現時点では、アサイーが健康にどのような働きをもたらすのか科学的に証明された根拠は十分ではないと言うことです。
美容・ダイエット効果の可能性は秘めているものの、万能薬ではないことを認識しておきましょう。
アサイーの食べ方
日本においてアサイーは主にパウダータイプと冷凍タイプの2種類で販売されています。
パウダータイプはバナナや牛乳、ヨーグルトなどを加えてミキサーにかけ、ドリンクやスムージーとして飲んだり、お菓子やパン作りの材料として使用できたりします。
冷凍タイプのアサイーはそのまま食べることが可能です。アサイーボウルなどの料理で使用する際にも向いています。アサイーボウルはアサイーをベースにグラノーラやフルーツ、ヨーグルトなどをトッピングしたものを言い、手軽にできるので朝食にもおすすめです。
アサイー製品の種類と購入可能場所
アサイー製品はパウダーや冷凍の他、ドリンクなどでも販売されており、コンビニやスーパー、インターネット通販などで購入が可能です。いつも利用している店舗のHPなどで検索してみましょう。
「アサイーボウル」や「スムージー」などのメニューを提供しているカフェ・レストランもあります。
アサイーを食べるときの注意点
健康効果が期待できるアサイーですが、厚生労働省がいくつか注意点を示しています。
まずアサイーを購入する際は殺菌処理されているものや衛生面で安全が保証されているものを選びましょう。アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)と言う寄生虫感染症のリスクが報告されているためです。
また、アサイーに含まれるアントシアニンと言う成分がMRI検査の結果に影響を与える可能性があります。検査前は控えたほうが良い可能性があるので、あらかじめ医師に相談しておくと良いでしょう。
さらに健康に与える影響はまだ分かっていないため、妊娠中・授乳中の接種は控えた方が無難としています。
アサイーを使って健康生活を始めよう!
アサイーはミネラルやビタミンなどの栄養源になる上に、食材の味わいを引き立てておいしさをプラスしてくれるためぜひ活用したい食材です。見栄えもよく、色鮮やかで映えると言う理由からSNSでも投稿された写真を見かけることもあります。
美容・ダイエット効果はまだ可能性の段階ですが、過度な期待はせず、健康的な生活の一環として食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
■参考文献
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https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
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便秘と食習慣 厚生労働省 eヘルスネット 最終更新日:参照年月日:2024年6月28日
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