【一覧あり】ナッツの栄養素や効果を紹介

ナッツは「体に良い」「脂肪が多い」など正反対のイメージを持たれていますが、実際のところどうなのでしょうか?その疑問を解消するために本記事ではナッツの種類ごとの特徴や、ビタミン・ミネラルなど主要な栄養素を比較し、それぞれの働きや効果を詳しく解説します。

さらにナッツの効果的な食べ方や取り入れる際の注意点についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

ナッツとは?種類や特徴

ナッツ”

ナッツとは、樹木の種子で硬い外皮を持つものです。一般的にはアーモンドやくるみなど「堅果種子類(けんかしゅしるい)」と呼ばれる木の実を指します。

ナッツには以下のような種類もあり、特徴は以下の通りです。

・カシューナッツ:マガタマ似の形。甘みと滑らかな食感
・ピスタチオ:茶色の殻に包まれる実は緑色。ほんのり甘く、香りが特徴的
・マカダミアナッツ:丸い形。サクッとコクを感じられる味わい
・ブラジルナッツ:大きさはアーモンドの2倍でマカダミアナッツのような食感。コクのある味わい
・ヘーゼルナッツ:丸に近くふっくらしたドングリのような形。ソフトな甘さで芳醇な香り
・ペカン(ピーカン)ナッツ:柔らかくクルミに似た形。サクッとクリーミーな味わい

ナッツは全体的に高脂肪・高エネルギーでありながら、たんぱく質やビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸が多く健康的な食品の一つです。ナッツと同じ種実類には、アマニやチアシードも所属しています。それぞれの特徴や成分などを知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
チアシードとは?含まれている栄養と効果やアサイーとの関係性

 

【一覧】ナッツのエネルギー・三大栄養素を比較

ナッツ”

ナッツ類に含まれる栄養素は種類によって特徴もさまざまです。まずはエネルギー源となる三大栄養素「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」や「食物繊維」を比較してみましょう。

ちなみに、らっかせい(ピーナッツ)はナッツ類ではなく豆類です。ただし脂肪分が高く、味わいや形がナッツと似ていると言う理由から、ナッツのように認識されています。そのためこの記事では、らっかせいも含めて紹介しています。

三大栄養素の詳細はこちらの記事も参考にしてください。
五大栄養素の3つの働きとは?6大・7大栄養素もある?

 

エネルギー
(kcal)

たんぱく質
(g)

脂質
(g)

炭水化物
(g)

食物繊維
(g)

カシューナッツ/フライ/味付け

591 19.8 47.6 26.7 6.7

くるみ/いり

713 14.6 68.8 11.7 7.5

ピスタチオ/いり/味付け

617 17.4 56.1 20.9 9.2

ブラジルナッツ/フライ/味付け

703 14.9 69.1 9.6 7.2

ヘーゼルナッツ/フライ/味付け

701 13.6 69.3 13.9 7.4

ペカン/フライ/味付け

716 9.6 73.4 13.3 7.1

マカダミアナッツ/いり/味付け

751 8.3 76.7 12.2 6.2

アーモンド/いり/無塩

608 20.3 54.1 20.7 11.0

らっかせい/小粒種/いり

607 26.5 49.4 19.6 7.2

※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

たんぱく質が最も多いのはらっかせい、次いでアーモンドで筋肉づくりや健康維持に役立ちます。脂質はどのナッツにも多い特徴がありますが、特にマカダミアナッツやペカンの脂質量が高く、エネルギーも多めです。一方で、食物繊維が最も多いのはアーモンドです。炭水化物が多めのカシューナッツやピスタチオは、エネルギー補給にも適しています。

 

【一覧】ナッツが含有する主なビタミン・ミネラルを比較

ナッツ”

ナッツは三大栄養素だけでなく、ビタミンやミネラルなどもに含まれています。9種類のナッツに含まれる主なビタミン・ミネラルを一覧で紹介します。

 

カルシウム
(mg)


(mg)

α-トコフェノール
(ビタミンE)
(mg)

ビタミンB2
(mg)

葉酸
(μg)

カシューナッツ/フライ/味付け

38 4.8 0.6 0.18 63

くるみ/いり

85 2.6 1.2 0.15 91

ピスタチオ/いり/味付け

120 3.0 1.4 0.24 59

ブラジルナッツ/フライ/味付け

200 2.6 4.1 0.26 1

ヘーゼルナッツ/フライ/味付け

130 3.0 18.0 0.28 54

ペカン/フライ/味付け

60 2.7 1.7 0.19 43

マカダミアナッツ/いり/味付け

47 1.3 微量 0.09 16

アーモンド/いり/無塩

260 3.7 29.0 1.04 48

らっかせい/小粒種/いり

50 1.7 11.0 0.10 57

※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

アーモンドはカルシウムとα-トコフェノール(ビタミンE)、ビタミンB2の含有量で群を抜いています。葉酸はくるみに多く、次いでカシューナッツ、らっかせいに多く含まれています。鉄はカシューナッツに多いです。エネルギー源だけでなく、ビタミンやミネラルの特徴もナッツの種類によって異なることが読み取れます。

 

ナッツに含まれる栄養素の効能

ナッツ”

ここからはナッツに含まれるそれぞれの栄養素にはどのような効能があるのか解説します。

便を排泄する働き

食物繊維には便を排泄する整腸作用があり、アーモンドやピスタチオ、くるみなどに多く含まれている栄養素です。他にも血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度を低下させるなどの機能も持っています。食物繊維を多く含む食品や機能については以下の記事も参考にしてください。
食物繊維の水溶性と不溶性の違いとは?食品に含まれる割合の一覧も
食物繊維の多い食べ物の項目別ランキング!摂取するコツもご紹介

骨や歯をつくる働き

カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルであり、骨や歯の形成に欠かせません。血液の凝固を助けたり心筋の収縮をサポートしたりする働きもあります。カルシウムの吸収を高めるためにはビタミンDの摂取や適度な運動が有効です。ナッツ類の中ではアーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツなどに多く含まれています。

赤血球をつくる働き

鉄は酸素や栄養素の運搬をする赤血球で欠かせないヘモグロビンの構成物質で、ナッツ類の中ではカシューナッツやアーモンドに多い栄養素です。

また鉄には肉や魚に含まれるヘム鉄と野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄の方が吸収されやすい特性がありますが、鉄の吸収率を高めることは可能です。詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
プラントベースで鉄の吸収率を高めるには?

酸化を防ぐ働き

α-トコフェノール(ビタミンE)は体内でフリーラジカルによるダメージから細胞を守る抗酸化作用があります。また免疫機能を高め、血管を広げて血液凝固を防ぐ働きも期待できる栄養素です。ナッツ類では特にアーモンド、ヘーゼルナッツがビタミンEの供給源として役立ちます。

代謝を促進する働き

ビタミンB2は食べ物からエネルギーをつくる際に必要な栄養素で、クエン酸回路や電子伝達系、脂肪を分解するβ酸化などに関わるビタミンです。ナッツ類の中ではアーモンド、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツなどに多く含まれています。

核酸をつくる働き

葉酸は核酸の合成に関与し細胞の増殖や発育に重要な役割を担う成分です。ナッツ類ではくるみ、カシューナッツ、ピスタチオなどに多く含まれています。

 

ナッツを食べる時の注意点

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健康的にナッツを食べる際には以下に留意しましょう。 

食べ過ぎない

種類にもよりますが、ナッツは高脂肪・高エネルギーな食品であるため食べ過ぎるとカロリーオーバーになり、体重増加の原因となることがあります。間食としてナッツを取り入れる場合は1日200kcal程度に抑えるのが理想です。

ただしナッツの脂質の多くは体に良いとされる「不飽和脂肪酸」です。不飽和脂肪酸とは分子内に一つ以上の二重結合を持つ脂肪酸で、血中コレステロールの改善や動脈硬化の予防に役立つとされています。

不飽和脂肪酸は、炭素原子間の二重結合の数によって「一価」と「多価」があり、多価不飽和脂肪酸の中には体内でつくれない「必須脂肪酸」も含まれます。

 

飽和脂肪酸
(g)

一価不飽和脂肪酸
(g)

多価不飽和脂肪酸
(g)

カシューナッツ/フライ/味付け

9.97 27.74 8.08

くるみ/いり

6.87 10.26 50.28

ピスタチオ/いり/味付け

6.15 30.92 16.42

ブラジルナッツ/フライ/味付け

15.81 21.04 29.02

ヘーゼルナッツ/フライ/味付け

6.21 54.74 5.31

ペカン/フライ/味付け

7.40 37.33 24.06

マカダミアナッツ/いり/味付け

12.46 59.23 1.56

アーモンド/いり/無塩

4.13 35.09 12.65

らっかせい/小粒種/いり

10.76 20.57 16.82

※すべて100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


酸化させない

「多価不飽和脂肪酸」は空気、光、熱に弱く、酸化しやすい性質を持っているのが特徴です。時間が経つと風味の変化や油臭さの原因となる酸化を起こします。健康に悪影響を与える可能性もあるため、できる限り暗所で空気に触れないよう保存し開封後は早めに消費しましょう。

アレルギー表示がない場合もある

ナッツ類の中で表示義務があるのは、らっかせいのみでカシューナッツやくるみは表示推奨に留まり、その他のナッツは表示義務も推奨もありません。しかしアレルギーには注意が必要です。

例えばカシューナッツとピスタチオ、くるみとペカンナッツの間には強い交差反応性があり、どちらかにアレルギーがある場合は両方の摂取を避ける必要があります。購入時は原材料表示やコンタミネーション(同じ製造現場で使われてないか)の有無をよく確認しましょう。

食物アレルギーに配慮した食事については以下の記事も参考にしてください。
除去食とは?アレルギーに配慮して食材を用意する際のポイントを解説

 

栄養の多いナッツを適度に取り入れて、植物性食品のある生活を!

ナッツ”

ナッツ類は高カロリーですが、たんぱく質や食物繊維、ビタミンなどの他、体に良いとされる不飽和脂肪酸などの栄養が含まれる食品です。朝食やおやつなどに賢くナッツを取り入れて、健康的な食生活を送りましょう。食べる際は食べ過ぎ、保存方法、アレルギーなどに十分注意してください。

 

参考文献
公式ホームページ 農林水産省 参照年月日:2025年7月26日
https://www.maff.go.jp/
生活習慣病などの情報 厚生労働省 参照年月日:2025年7月26日
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food
e-JIN 厚生労働省 参照年月日:2025年7月26日
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/index.html
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 厚生労働省 参照年月日:2025年7月26日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック 消費者庁 参照年月日:2025年7月26日
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_210514_01.pdf

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