ブロッコリーの栄養やその働き|栄養を逃さない食べ方

「ブロッコリーは体に良さそう」といったイメージを持っている方もいるかもしれませんが、含有する栄養素やその働きなどをご存じでしょうか?この記事では、ブロッコリーの特徴や栄養素と体への効果、栄養素を逃がさない調理法やおいしく食べるレシピを紹介します。

ブロッコリーの特徴やスプラウトとは

ブロッコリー”

ブロッコリーはキャベツと同様、東地中海沿岸が原産地の野生種ケールが起源のアブラナ科の野菜です。一つだけ育った大きなつぼみを食べる頂花蕾(ちょうからい)タイプのブロッコリーが一般的ですが、脇から出るつぼみを食用にする側花蕾(そくからい)タイプや、両方食べられる兼用タイプの品種もあります。

β-カロテンの含有量が多いため、ブロッコリー、新芽であるブロッコリースプラウトともに緑黄色野菜です。緑黄色野菜について、詳しくは次の記事も参考にしてください。
緑黄色野菜とは?定義や淡色野菜との違いなど、一覧で該当野菜をご紹介

 

ブロッコリー・スプラウトの栄養素と効果

ブロッコリー・スプラウト”

ブロッコリーとブロッコリー・スプラウトの栄養素は以下の通りです。

 

ブロッコリー/花序

ブロッコリー/芽生え

エネルギー(kcal)

37 18

たんぱく質(g)

5.4 1.9

カリウム(mg)

460 100

カルシウム(mg)

50 57

鉄(mg)

1.3 0.7

β-カロテン(μg)

900 1,400

ビタミンK(μg)

210 150

ビタミンB1(mg)

0.17 0.08

ビタミンB2(mg)

0.23 0.11

ビタミンB6(mg)

0.3 0.2

葉酸(μg)

220 74

ビタミンC(mg)

140 64

食物繊維総量(g)

5.1 1.8

※すべて生、100gあたりの量
※出典:文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ブロッコリーは野菜の中でもたんぱく質が5.4gとキャベツ(1.2g)やほうれん草/通年平均(2.2g)よりも多いです。さらにビタミンCは140mgで青ピーマン(76mg)や赤色トマト(15mg)を大きく上回ります。葉酸220μgでほうれん草/通年平均(210μg)よりやや多く、食物繊維も5.1gでキャベツ(1.8g)の約3倍と優秀です。

それでは、ブロッコリーに含まれる栄養素の効果について見ていきましょう。

塩分(ナトリウム)を調整する

ナトリウムのバランスを調整するのは、カリウムの働きです。ブロッコリーには100gあたり460mg含まれています。カリウムは他にも体液のpHバランスや浸透圧を整えたり筋肉の収縮や神経の興奮性に関わったりする働きがある栄養素です。

骨や歯を強くする

カルシウムは骨や歯をつくる原料となります。ブロッコリーには100gあたり50mg含まれています。他にも心筋の収縮を増やして筋肉の興奮性を抑制したり血液の凝固を促進して出血を抑えたりする役割も担っている栄養素です。

血のもとをつくる

鉄は血のもとである赤血球をつくるために欠かせません。ブロッコリーには100gあたり1.3mg含まれています。鉄不足で貧血になると頭痛や集中力低下、食欲不振などの症状が現れたり、筋肉に含まれる鉄不足は筋力低下や疲労感の原因の一つになったりするため、重要な栄養素です。

鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、野菜には非ヘム鉄が含まれています。非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率が低いと言われていますが、高めるためのコツがあります。詳細は以下をご覧ください。
プラントベースで鉄の吸収率を高めるには?

活性酸素の働きを抑える

体内で活性酸素が多くなると細胞を傷付けて慢性疾患の原因になると言われているため、活性酸素の働きを抑えることが健康につながると考えられます。その働きを持つのが抗酸化物質で、β-カロテンやビタミンC、スルフォラファン(フィトケミカル)などです。

ブロッコリーには100gあたりβ-カロテン900μg、ビタミンC140mgが含まれています。フィトケミカルとは野菜や果物など植物に含まれ、摂取することで健康に良い効果が期待できる化学物質です。ブロッコリーにはスルフォラファンが含まれています。

フィトケミカルの詳細については以下の記事を参考にしてください。
フィトケミカルとは何ですか?効果や含有する食品など

血を固める

血液の凝固を促進するビタミンとして知られているのはビタミンKです。ブロッコリーには100gあたり210μg含まれています。また骨の形成促進や動脈の石灰化抑制にも関わる働きもある栄養素です。

体内の代謝を促進する

ビタミンB1、B2、B6は糖質や脂質、たんぱく質の代謝に関わります。エネルギー源は代謝されることによってエネルギーとして活用できるため、私たちが活動するためには欠かせません。ブロッコリーには100gあたりビタミンB1 0.17mg、ビタミンB2 0.23mg、ビタミンB6 0.30mgが含まれています。

DNAなどをつくる

葉酸にはDNAやRNAなどの核酸の合成を促進する働きがあり、それが細胞の生産や再生をサポートします。アミノ酸代謝にも関わる栄養素です。ブロッコリーには100gあたり220μg含まれています。

腸を整える

食物繊維には整腸作用があり、ブロッコリーには100gあたり5.1g含まれています。食物繊維の他の働きとして、血糖値上昇の抑制や糖・ナトリウム・脂質などの体外への排出なども期待できます。

腸を整える栄養素や食品は食物繊維以外にもあるため詳しくは以下の記事を参考にしてください。
腸活に良い食べ物や組み合わせは?腸活をする理由も解説
プロバイオティクスとは?菌の特徴や含まれている食品をご紹介

 

ブロッコリーの栄養素を逃さない食べ方

ブロッコリーを調理している”

ブロッコリーは調理法によって栄養価が大きく変化します。以下では主な栄養素の変化を表で比較しました。

 

ゆで

電子レンジ

焼き

油いため

カリウム(mg)

460 210 500 820 590

β-カロテン(μg)

900 830 990 1,700 1,200

ビタミンC(mg)

140 55 140 150 130


ビタミンCやカリウムは水に流出しやすく、ゆでると半減しますが電子レンジ調理では損失が少なく、生とほぼ同じ量です。焼きや油いためではカリウムとβ-カロテンの量が生より増加しています。特にβ-カロテンは油との調理で吸収が良くなるため、焼きで1,700μgと生の約2倍の増加です。ブロッコリーの栄養を効率
良く摂るには、電子レンジや油いためが効果的だと分かります。

水を使う作業はサッと行う

一般的にビタミンB群やビタミンCは水溶性のため、長時間水に触れると流出し減ってしまうと考えられています。それらを逃がさずに取り入れたい場合、ブロッコリーを浸したり蒸したり茹でたりする時間は最低限にしましょう。

油と一緒に調理する

一般的にβ-カロテン、ビタミンKは脂溶性のため、油と一緒に調理することで体内への吸収率が上がると言われています。炒めたり揚げたりするなど油を使った調理法がおすすめです。例えばブロッコリーのニンニク炒めや天ぷらなどはいかがでしょうか?

 

ブロッコリーのおいしい食べ方

ブロッコリーのスープ”

ここでは、少しユニークなブロッコリーの食べ方を紹介します。

【ブロッコリー餃子】
ブロッコリーをみじん切りにし、にらや白菜の代わりに餃子のタネにする食べ方です。ブロッコリー特有の歯ごたえと甘味を楽しめます。食感を楽しみたい場合はみじん切りを粗くしましょう。油を使う料理のため水溶性ビタミンの流出を防げる上に脂溶性ビタミンの吸収率を上げられます。

【ブロッコリーとオリーブのマリネ】
火を通したブロッコリーと塩もみした薄切り玉ねぎ、オリーブをオリ>ーブオイル・レモン汁・ハーブソルト・こしょうなどのドレッシングでマリネする調理法です。上記同様、油を使用しているため栄養素面でもメリットがあります。

【ブロッコリーのスープ】
ブロッコリーやにんじん、たまねぎなどお好みの野菜を具材にしたスープです。コンソメ、塩コショウ、豆乳、カレー粉、トマト缶などお好みの調味料を使い、メニューのバリエーションを楽しみましょう。こちらは水を使った料理ですが、スープとして全部飲むので流出した栄養素も飲む仕様です。

 

ブロッコリーの栄養を逃さず、おいしく食べよう!

ブロッコリー”

ブロッコリーはたんぱく質やビタミンC、葉酸などを含む緑黄色野菜です。ブロッコリーの栄養素は調理法によっても変わるため、栄養素を逃がさずに調理するコツを覚えておきましょう。紹介したレシピを参考にして毎日の食生活にブロッコリーを取り入れてみてくださいね。


参考文献
月報野菜情報 独立行政法人農畜産業振興機構 参照年月日:2025年7月28日 https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/
健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 厚生労働省 参照年月日:2025年7月28日
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/
日本家政学会誌 Vol.70 No.7 (2019) 日本家政学会 中村俊之 参照年月日:2025年7月28日
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/70/7/70_448/_pdf P1
食と緑の科学 第72号 HortResearch No.72,2-3,2018│食と緑の科学 第72号 HortResearch No.72,2-3,2018 江頭祐過合 参照年月日:2025年7月28日
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/105016/S18808824-72-P002.pdf
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 厚生労働省 参照年月日:2025年7月26日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

葉酸の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット 参照年月日:2025年7月28日 
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-yousan-biotin.html

公式ホームページ 農林水産省 参照年月日:2025年7月28日
https://www.maff.go.jp/

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