
グルテンフリーとは?基準やグルテンフリー食品の選び方
グルテンフリー食品とは、たんぱく質の一種であるグルテンを含まない食品のことです。グルテンを摂取すると体質によって不調を生じてしまう方やその他健康を気にされる方などさまざまな理由で、グルテンフリーを意識している方もいるでしょう。
本記事では、グルテンフリーについて解説します。グルテンフリー生活を送る方法や、グルテンフリー食品の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
グルテンフリーとは
グルテンフリーとは、元々はセリアック病患者の食事療法をいい、健康を害さないようにグルテンを控える食生活を指します。
グルテンはたんぱく質の一種で、小麦に含まれているグリアジンとグルテニンと水を混ぜると発生します。弾力や粘りの元であり、パンのもちもちとした食感や麺の歯ごたえは、グルテンの性質によるものです。しかし、体質によっては体調不良やアレルギーを引き起こす可能性があります。
例えば、セリアック病の患者がグルテンを摂取すると小腸の働きが阻害され、栄養の吸収が低下します。セリアック病には治療法がないとされているため、グルテンフリーの食事が必須です。
現在ではグルテンフリーという言葉は「グルテンを含まない、あるいはほとんど含まない食品・食事」という意味でも広く使用されており、健康や美容のためにグルテンフリーを実践している方も増えています。
そもそも、グルテンが含まれている食品とは
グルテンは小麦が使われている食品に含まれています。
(例)
- パン
- パスタ
- ケーキ
- うどん
- 中華麺
- 揚げ物の衣
- 餃子やしゅうまいの皮
- カレーやシチューのルウ
小麦粉を使用せず、米粉で作ったパンやお菓子が市販されていますが、グルテンを使用している場合もあるため、購入前に確認すると良いでしょう。小麦を使っていないように見えても、食品の製造過程で使用されている可能性もあります。グルテンを確実に避けたい方は、販売者に直接確認することをおすすめします。
各国で異なるグルテンフリーの基準
主要各国に共通するグルテンフリーの表示は、小麦等1㎏当たりの含有量が20㎎以下(20ppm以下)とされていますが、細かい点はそれぞれ異なります。各国のグルテンフリーの基準は次の通りです。
なお、日本ではセリアック病が顕在化していないため現状グルテンフリーの基準はなく、小麦アレルギーの表示をする境目が10ppmとされているのみです。米粉や米粉製品の基準設定に関しては、今後の対応が注目されています。
米国
米国ではFDA(米国食品医薬局)が、食品中のグルテン含有量が20ppm未満であればグルテンフリーの表示を認めています。グルテンフリー以外にも「no gluten」「free of gluten」「without gluten」といった表示が可能です。また、2005年に非営利団体グルテンフリー認証機構(GFCO)が設立され、独自の品質評価と管理対策で認証サービスを提供しています。GFCOの基準は10ppm以下と厳しく、国際的にも信用されている認証マークです。
カナダ
カナダでは小麦・ライ麦・大麦由来のグルテン含有量が20ppm以内の特別に生産されたえん麦(オーツ麦)が成分に含まれる場合に、グルテンフリーの強調表示が認められています。グルテンフリー認定を行う団体はいくつかあり、それぞれ独自の基準を持っています。
例えば、グルテンフリー食品の専門家集団である非営利団体のCCA(Canadian Celiac Association)はカナダでは広く知られた団体で、グルテンフリー認証プログラムGFCP(Gluten Free Certification Program)を提供しています。GFCPの商標が提示された商品は、信頼性の高いグルテンフリー商品として消費者に認知されています。
EU
EUでは、食品中のグルテン含有量が20ppm未満であればグルテンフリー食品、100ppm未満なら超低グルテン食品と表示できます。しかし、乳児向け調製・補完食品には表示できません。
イギリス
イギリスでは2012年にグルテンのラベル表示に関する規制がスタートし、スーパーマーケットやレストランなどで販売されるすべての食品が対象となっています。グルテン含有量が極めて低いという表示はグルテン含有量が100ppmを超えてはならず、グルテンフリーと表示するには、グルテン含有量が20ppm未満でなければなりません。
ドイツ
ドイツではグルテン含有量に関する公的な認証制度はなく、欧州委員会施行規則に則した対応がとられています。食品中のグルテン含有量が20ppm未満であればグルテンフリー、100ppm未満であれば超低グルテン食品と表示できます。
フランス
フランスはEUの規制に基づいて、食品のラベル表示を定めています。そのため、2012年より食品中のグルテン含有量が20ppm未満であればグルテンフリー、100ppm未満の場合はグルテンが極めて少ないとの表示が可能です。
オーストラリア
オーストラリアは食の安全に対する意識が高く、グルテンフリー表示に関していち早く取り組みを開始した国です。グルテンフリー食品と表示するには、下記の点に該当する必要があります。
- 検出可能なグルテンが含まれていない
- オーツ麦およびそれらの製品を含んでいない
- 麦芽処理されたグルテンを含むシリアル、およびそれらの製品を含んでいない
また、低グルテン含有食品との表示は、食品中のグルテン含有量が20ppm未満であれば可能となっています。
グルテンフリーの効果と注意点
グルテンフリーを長期的に実践することで、セリアック病や小麦アレルギーの方は症状を抑える効果が期待できます。グルテンにアレルギーがない方でも、健康や美容のためにグルテンを避ける方も増えており、グルテンフリー食品のニーズは高まっています。
ただし、グルテンフリーとは「グルテンが完全に含まれていない」という意味ではありません。体質によってはセリアック病や小麦アレルギーを発症する可能性もあるため、注意が必要です。また、海外のグルテンフリー表示と日本のアレルギー表示は、基準が異なります。輸入食品にグルテンフリーの表示があっても、必ずしも、グルテンや小麦アレルゲンが含まれていないという意味ではありませんので気を付けましょう。
グルテンフリー生活を送る方法
グルテンフリーを実践するには、グルテンフリー食品を活用する、小麦粉を別の食品で代用するなどの方法があります。
グルテンフリー食品を使用する
現在、さまざまなグルテンフリー食品が販売されています。小麦粉の代わりに米粉や大豆粉、とうもろこし粉やタピオカ粉などが使われており、スーパーマーケットや自然派食品店、通販サイトなどで購入可能です。例えば、次のようなグルテンフリー食品があります。
- パン
- ピザ
- パスタ
- クッキー
- 餃子の皮
- カレールウ
商品によって味や食感が異なるので、お気に入りのグルテンフリー食品を探してみましょう。
小麦の代用で使用する
小麦粉を使わなくても、他の食品を代用すれば普段食べ慣れた料理を作ることができます。
- カレーやシチューは米粉や片栗粉、すりおろしたイモを代用してとろみをつける
- 揚げ物の衣は、コーンフレークや細かく砕いた春雨を使う
- パンやケーキを作る時は、米粉や雑穀粉、大豆粉やおからで代用する
特に米粉は使いやすい食材です。クセがなく、ほんのりとした甘みがあるのでおいしく仕上がります。
小麦粉と米粉の違いや米粉を使うメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。グルテンフリーを取り入れたい方は、ぜひ参考にしてください。
米粉と小麦粉の違いは?パンやクッキーの小麦粉を米粉に変えるとどうなる?(現在作成中)
グルテンフリー食品の選び方
日本ではグルテンフリーの公的な基準はありません。しかし、民間の団体による認証マークがあるので、商品を選ぶ際の参考にすると良いでしょう。
グルテンフリー認証マーク
GFCOは、2005年に米国で設立されたグルテンフリーの認証機構です。食品のグルテン含有量が10ppm以下かつ厳格な審査を受けて認定された場合、認証マークが表示できます。GFCOの基準は多くの国が基準とする20ppmよりも厳しい点と厳格な書類審査や定期的な現地の立入検査、検査結果のモニタリングなどの厳格な審査を十分に管理されている点などから、国際的にも信用されている認証マークです。2017年の時点で、27カ国で23,000以上の商品を認証しています。
ノングルテンJAS認証とは?
ノングルテンJASは、製品の最終工程でグルテン含有量が1ppm以下となるように管理している業者が取得できる認証マークです。米にはもともとグルテンが含まれません。そのため、製造工程を適切に管理することで、グルテン含有量が1ppm以下となる米粉を製造できます。
ノングルテンJASの認定を受けた業者は、製造した米粉に「ノングルテン米粉」と表示することが可能です。ノングルテン米粉を主原料とした加工品で、日本米粉協会に認定された場合に、ノングルテン米粉使用マークを表示することが認められています。
グルテンフリーライフを楽しもう!
グルテンはパンや麺など、私たちの身近な食材に含まれる成分です。弾力や粘りなどおいしさの元となる成分ですが、体質によっては体調不良の原因となる可能性があります。健康のためにグルテンを避けるなら、小麦粉の代わりに米粉やおからを使用すると良いでしょう。また、グルテンフリー食品を活用するのも良い方法です。
BEYOND FREEでは、グルテンフリーのパンとして熊本県産玄米を使用した玄米ブレッドを販売しています。パン好きの方におすすめの商品なので、ぜひお試しください。
参考文献
米国におけるグルテンフリー表示規制およびグルテンフリー食品の流通状況について 独立行政法人農畜産業振興機構 参照年月日:2024年4月3日 https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001515.html
広がる米の可能性カラダにやさしい「米粉」の魅力 農林水産省 参照年月日:2024年4月3日 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2011/spe1_03.html#:~:text=%E9%BA%A6%E3%82%92%E5%8E%9F%E6%96%99%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B,%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
小麦アレルギー 食物アレルギー研究会 参照年月日:2024年4月3日 https://www.foodallergy.jp/tebiki/wheat/
欧米・豪州等6か国、組織におけるグルテンフリー表示に係る調査報告書(海外文献・資料に基づく) NPO法人国内産米粉促進ネットワーク 参照年月日:2024年4月3日 https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/index-63.pdf
食品表示の適正化に向けた取り組みについて 消費者庁 参照年月日:2024年4月3日https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/160623_pressrelease_0003.pdf
ノングルテンJAS認証について 日本米粉協会 参照年月日:2024年4月3日https://www.komeko.org/jas/certification.html