東京・広尾のヴィーガン・パティシエが実食。多くの人に響くおいしさに驚き
多様な食生活を送る一人ひとりへ、卵や乳、肉類などの特定の食材や成分をカットしながらも本格的な味わいを提供したいとの想いから生まれたのが「BEYOND FREE(ビヨンドフリー)」です。
今回、食の最前線で活躍されている方にBEYOND FREE(ビヨンドフリー)を試食いただき、リアルな感想をお伺いしました。実食いただいたのは、広尾にあるヴィーガンスイーツ専門店「hal okada vegan sweets lab」のパティシエ岡田 春生さん。100%植物性のスイーツを20年以上追求しているパティシエは、BEYOND FREEのスイーツ、パンにどのような感想を持ったのでしょうか?
◎プロフィール情報
岡田 春生
1972年神奈川県、横浜生まれ。高校3年生のときに友人と何気なく訪れた日本菓子専門学校の体験入学をきっかけにお菓子作りの道へ。卒業後は今はなき横浜の老舗ホテル「ザ・ホテルヨコハマ」のパティスリー部門に12年間勤務し、アシスタントシェフも務めた。2004年から自然派の飲食企業にてマクロビオティックスイーツの開発に10年取り組み、2015年に日本初のヴィーガンスイーツ専門カフェ「hal cafe 229」を鎌倉に開業。現在はカフェ・カンパニー株式会社専属のエグゼクティブ・パティシエとして、広尾の「hal okada vegan sweets lab」にて100%植物性のスイーツを提供している。
hal okada vegan sweets lab HP:https://www.halokada.com/#message
岡田 春生Instagram:https://www.instagram.com/halokada_229/
ヴィーガンスイーツのパティシエとして、お客様のためにできること
━━ ヴィーガン・パティシエになられたきっかけを教えてください。
パティシエになり32年、ヴィーガンスイーツに携わって20年になりました。「お客様のご要望をなんでも叶えられるパティシェエになりたい」という思いから、自分のスキルアップのためにヴィーガンスイーツ分野に足を踏み入れました。はじめは数年間だけ研究するつもりだったんです。
転機になったのは、食物アレルギーでバースデーケーキを食べられない子どもたちとの出会い。お母様から「誕生日には毎年、大福を積んでロウソクをさしているんです」とお聞きし、愕然としました。
大福をはじめ和菓子は、じんわり味わうお菓子じゃないですか。パティシエは、ケーキの見た目にもこだわり、見た瞬間ワッと心が躍る華やかさにも重きをおいています。誕生日ケーキであれば、なおさらです。この経験から、まだ洋菓子の魅力を伝えられていないお客様がいるんだと気づかされました。
私はパティシエを、技術者だと考えています。技術を持つ者として、ケーキを食べられないお子様に、新しい景色を見せてあげたい。その思いがヴィーガンスイーツへの道を確固たるものにしました。
━━ ヴィーガン・パティシエとして目指していることを教えてください。
キャリアの半分以上をヴィーガンスイーツに捧げている私が、ヴィーガンスイーツに携わるようになったときからテーマとして掲げているのは「みんなが困らない食の世界」です。
僕がヴィーガンスイーツを始めた当時はまだ認知の少なかった食物アレルギーですが、ここ数年ではかなり広く知られるようになりました。
ヴィーガンスイーツを求める人が増えてきた中で、自分が磨いてきた技術が役に立つ実感も得られるようになりました。食に何らかの制限・制約がある方であっても、洋菓子であれば好きなものを食べられる壁のない世界を目指しています。
卵・乳製品を不使用は、洋菓子作りにとっての核がないのと同じ
━━ ヴィーガンスイーツの実現には、どのような難しさがありますか?
そもそも洋菓子は卵と乳製品がすべての要。それらが使えないということはそもそも洋菓子として成立しないんですよ。
実際、挑戦し始めてから、なぜ誰もチャレンジしないのかがよくわかりました。チャレンジ自体が無謀だと思われていたんです。それでも、僕には洋菓子を届けたい子どもたちがいたから諦めませんでした。
とはいえ、洋菓子の主役でもあるケーキ作りには骨が折れましたね。ケーキこそ卵と乳製品が軸となるスイーツです。スポンジには必ず卵が必要ですし、クリームには乳製品が必須。当時はSNSなどはなく、ヒントとなるヴィーガンレシピもほとんどない状態だったので専門店に足を運んだり、いろんなレシピ本を読み漁りました。そんなとき、たまたまペット同伴可のカフェで卵と乳製品を使わない犬用のクッキーを見つけたんです。顎の強い犬用に作られているのでとても硬く、ケーキとは程遠いのですが「これは」と思いました。
お菓子作りには、素材の配合や分量、オーブンの温度、焼き時間などたくさんの数字があります。犬用のクッキーから着想を得てそれらの数字を見直し、おいしいヴィーガンスイーツのためにいろんな方程式を試しました。パティシエとしての技術と食材の性質を理解した科学的観点から、やっとの思いで100%植物性のケーキを実現させることができたんです。
スイーツもパンも、繊細な配合を丁寧に研究されている
━━ 原材料に小麦粉・乳・卵不使用のBEYOND FREEの「豆乳クリーム ロールケーキ プレーン」を食べてみていかがでしたか?
口の中での一体感がいいですよね。スポンジの柔らかさ、クリームの解け具合、バランスよくマッチしていました。
ケーキ作りにおいてはこの一体感が大事で、これを出すのは苦労するんですよ。スポンジ、クリームそれぞれ単品は作れても、一体感がないと、口に入れたときにクリームだけが溶けてスポンジが残ったり、逆にスポンジがなくなりクリームの脂っぽさを感じたりして、おいしくならない。私自身、スポンジとクリームは何度も何度も試作を重ね、見直しを繰り返しました。BEYOND FREEの「豆乳クリーム ロールケーキ プレーン」はきちんと調和がとれています。
さらに、スポンジは原材料に小麦粉を使用していないですよね(※1)。このスポンジは米粉の性質をよく理解して作られており、開発の努力を感じました。小麦粉と米粉はまったく違う性質なので、ただ小麦粉を米粉に置き換えればいいというわけではありません。スポンジそのもののレベルが高く、歯ざわりも良い。
豆乳クリーム ロールケーキはプレーンとチョコ・アールグレイの3種類がある(※2)と思いますが、基本となるプレーンがしっかり仕上がっているので、今後は抹茶など多様なフレーバーの展開も期待しています。
(※1)本品製造ラインでは小麦・卵・乳成分を含む製品を製造しております。
(※2)2024年5月時点
━━ グルテンフリーの「玄米ブレッド プレーン」の感想を教えてください。
まず前提として、パン業界のプラントベースってすごく難易度が高いんですよ。パンは主に水分と小麦粉がメインの材料なのですが、小麦粉であっても難しい製パンを米粉で、さらに卵なし、バターなしは一気に難易度が跳ねあがるんですよね。
一般的に米粉を使ったパンはずっしりとしていて食べ応えがあるイメージだと思うのですが、玄米ブレッドは焼いた時のさっくり感がおいしかったです。この食感にするには気泡の入れ具合がポイントで、こちらもよく研究されていることがわかります。自然解凍後、トーストするとカリッと感も楽しめると思います。
今回、2品食べて一番驚いたのは、この価格でこのクオリティのものが食べられるという点です。開発者はもちろん、BEYOND FREEの努力をとても感じました。また、多くの人が取り入れやすい味わいになっているので、プラントベースにこだわりのある方はもちろん、そうでない方にもこのおいしさは響くと思いますね。
植物性のスイーツを当たり前の選択肢に。次回作に期待
━━ 今後、BEYOND FREEに期待することを教えてください。
ヴィーガンスイーツに携わり始めた20年前と比べると、プラントベースフードの必要性が徐々に高まっていることを肌で感じています。そんな中、これまで以上に重要になるのが「おいしさ」です。「プラントベースは味気ない」という印象を払拭し、「これが食べたい」と選んでもらえるおいしさを叶えられれば、私が掲げている「食のボーダーレス」の実現に近づくと信じています。
スイーツ業界では、植物性のスイーツはまだまだイレギュラーな存在です。私は、洋菓子、和菓子、そして植物性のスイーツ、その3カテゴリーが当たり前になる世界を目指しています。テーブルマークさんのような大手企業がおいしい植物性のスイーツの販売をしてくれることで、植物性のスイーツの存在を広く伝え、多くの人の選択肢になり得ると思います。植物性のスイーツの歴史は、まだまだこれから。BEYOND FREEをはじめ企業の取り組みは大きな前進だと思うので、継続的な次回作を楽しみにしています。
※動物性原材料とは牛肉・豚肉・鶏肉・卵・乳・はちみつなどの畜産物、魚介類を含む原材料を指します。
※原材料を細かくさかのぼった起源原料や製造工程において、一部動物性原材料が含まれる場合があります。
※動物性原材料を含む製品と製造ラインを共用しています。