やってみたら意外と楽しい。フィンランドで見つけた菜食の魅力。

菜食を積極的に取り入れているフィンランド在住のライターが、実際の食生活やその魅力を紹介します。フィンランドをはじめとする北欧やヨーロッパの菜食に関する情報も織り交ぜながら、連載でコラムをお届けします。

 

北欧移住をきっかけにセミベジタリアンへ。

こんにちは!フィンランド在住のライター、タカコです。2017年に北欧のフィンランドへ移住したことをきっかけに、菜食中心の食生活を始めました。

始めた直接の理由は、フィンランド人の夫がヴィーガンで、夫用の菜食と別に私用の食事を作る(つまり2種の食事を作る)のが面倒になったからです(笑)!

加えて、日本にいた頃は食に無頓着で何のスタイルも持っていなかったため、何らかのルールを設定して食生活を整えてみるのも良いかと思い、軽い気持ちで挑戦することにしました。

 

夫は動物性食品(肉・魚・卵・乳製品)を一切口にしない完全菜食主義者。そこで私もまず数カ月ほど完全な菜食を実践してみました。

しかし「今後の人生で動物性食品は一切食べない!」と決意するほどまではモチベーションが高まらず、絶対的なルールを設けない方がかえって菜食を続けやすいと感じました。

 

そのため、以降は完全菜食主義ではなく、ヴィーガンではない人との会食や旅行先などで選択肢がない場合、そしてどうしてもお肉や卵が食べたい時(私の場合は年に数回)は通常の食事をとる、というフレキシブルなスタイルに落ち着きました。

このようなスタイルはセミベジタリアン、フレキシタリアンなどとも呼ばれます。

 

菜食って、思ったほどツラくない。

菜食主義と聞くと「野菜サラダやフルーツスムージーばかりでは?」とか「食の楽しみはあきらめなければいけないの?」と思われるかもしれません。

私も菜食生活を始める前は「今まで週に何回も魚や肉を食べていたのに、その楽しみがなくなるなんて相当ツラいかも?」とちょっと不安でした。

 

でも実際に始めてみるとツラくも退屈なものでもありませんでした。

基本的にはお米やじゃがいも、乳製品・卵不使用のパンやパスタを主食に、野菜や豆類を使ったサラダ、スープ、煮物、炒め物といったおかずを合わせますが、その組み合わせは多種多様。

 

こってりしたものを食べたい時は、カレーやグラタン、野菜フライなども作ります。カレーやグラタンは、通常であれば乳製品を使用しますが、菜食主義では牛乳、バター、チーズに代わるプラントベースの食品を使うことでほぼ遜色ない味に仕上げることができます。

このように料理のバリエーションは広いため、決してさみしいものではないというのが率直な感想です。

 

家事がラクになる!?菜食のイイところ。

菜食生活を始めて約5年。毎日の暮らしの中で感じる菜食のイイところを改めて振り返ってみました。

 

①買い物がシンプルになった

菜食生活を始める以前は、買い物に行って「肉にしようか?魚にしようか?今日が豚肉なら、明日は鶏肉かな」と、メインとなるおかずの献立を考えながら購入するものを決めていましたが、菜食生活では購入するものがあらかじめ決まっています。

月に1度か2度、お米やパスタ、豆類など日持ちするものをまとめ買いしておいて、日々の買い物では新鮮なパンや季節の野菜を購入。

肉・魚・卵・乳製品の選択肢が減ったことで、献立を考えるにしても買い物をするにしてもシンプル・効率的になりました。

 

②新商品チェックが楽しい 

フィンランドに移住して驚いたことの1つは、動物性食品を使わないプラントベースの食品がたくさん揃っているということ。しかもこの数年間で、プラントベースの食品はますます普及&進化していると感じます。

スーパーマーケットにもよりますが、菜食主義の基準に適う食品には、「Vegaaninen(フィンランド語でヴィーガンという意味)」などと表示されていますし、商品によってはパッケージそのものにヴィーガン食品であることが明確に表示されています。

そのバラエティは幅広く、プラントベースのミルクやチーズから、ソーセージ、ハム、乾燥大豆ミート、そしてクッキー、チョコ、スナックといったお菓子まで揃います。

ヴィーガンやベジタリアンにはありがたい環境で、私もスーパーで新商品を見つけては試してみるのをちょっとした生活の楽しみにしています。

 

③料理や片付けが簡単 

生の肉や魚を切ったり焼いたりしない分、料理にさほど手間がかからなくなりました。もちろん揚げ物や炒め物で植物油脂を多少使うことはありますが、動物性のしつこい脂が付着しないのでキッチンが汚れにくいのです。洗い物もより短時間で済むようになりました。

日本にいた頃は魚が大好きでよく焼き魚を調理していました。魚焼きグリルに付着した鯖や鮭の脂、焦げを掃除していた頃が懐かしいです…。

現在は魚といえば、年に数えるほどスモークサーモンを食べるくらいでしょうか。ちょっとさみしくはありますが、その代わり魚焼きグリルを掃除する手間からは解放されました。

 

④カロリーがあまり気にならない

野菜や果物は動物性食品に比べると脂肪分が少なくカロリーも低め。そのため、あまり食べる量やカロリーに神経質にならずに食事をしています。

サラダやスープなど副菜があっさりしている時は、むしろ栄養不足にならないようにあえてたっぷり食べるようにしているくらいです。

その結果おなか一杯になっても、罪悪感が少なくてすみます(笑)。もちろん、いくら野菜中心でも食べすぎは体に良くないので油断はできませんが…。

ちなみに市販されているプラントベースのハムやソーセージなどは植物油脂を含むため、必ずしもカロリーが低いわけではありませんが、それでも動物性食品よりは控えめなものが多いようです。

 

⑤持続可能な世界に貢献できる 

菜食を取り入れている人、特に厳格に菜食主義を実践している人の中には、地球温暖化や森林破壊への対策としてサスティナブルなライフスタイルを追求している方々も少なくないようです。

私が菜食生活を始めた理由は環境保護の観点からではありませんでしたが、これまで継続する中でさまざまな情報に触れ、動物性食品を控えた菜食生活には社会問題の解決に貢献できる可能性があることを知りました。

完全菜食主義ではなくマイペースで菜食を取り入れているにすぎず、毎日環境のことを強く意識して生活しているわけでもありませんが、動物性食品を控えることで少しでも貴重な自然を守ることに寄与できるのなら、とても嬉しいことだと思います。

 

注意している点は、栄養バランス。

紹介させていただいた通り、私にとって菜食は食の楽しみを損なうものではないし、家事や暮らしをよりシンプルにしてくれるものだと感じています。

ただ、菜食生活を続ける上で自分なりに気を付けていることもあります。それは、タンパク質不足にならないようにすること。

穀類や野菜にもタンパク質は含まれていますが、肉・魚・卵ほど効率的に摂ることはできません。菜食を始めた当初は無自覚でしたが、ヴィーガンの知人が毎食ごとに豆料理をたっぷり食べていることを知り、私も気を付けるようになりました。

よく利用するのはひよこ豆やインゲン豆、そして豆腐。他にも、フレーク状の大豆ミート、プラントベースのミートボールなど、既製食品も大いに利用しています。

また、私は貧血になりやすい体質であるため鉄分不足にも気を付けています。こちらは食事からだけではなくサプリメントで補っています。ちなみに鉄分のサプリメントも動物性成分フリーのものが販売されています。

 

菜食は試してみる価値あり!

今回はセミベジタリアンとして菜食の魅力を大まかに紹介させていただきました。飽きっぽい私が5年間も続けられているのは、無理をせずにマイペースで実践しているからだと思います。これからものんびりと、そしてできるだけ長く続けられたらと思っています。

菜食に興味を持っている方は、まずは軽い気持ちで暮らしに取り入れてみることをおすすめします。

日本には美味しい野菜がたくさんあり、良質な昆布や椎茸のだしも手軽に手に入るので、菜食生活にはぴったりの環境と言えるかもしれません。私は海外に移住してから「やっぱり和食はすごい!」と改めて日本の自然と食文化の豊かさに気づかされました。

それではまた!今後も主にフィンランドの菜食・プラントベースに関連する情報を現地から報告できればと思います。

 

Text/Takako.H

ライタープロフィール

フィンランド在住。移住とともに菜食生活を開始し5年ほどになります。自然が身近で、サステナブルな社会の実現への関心が強い北欧の人々や文化に触れながら生き方を学んでいます。私たちのライフスタイルの可能性や選択肢が広がるきっかけとなるような菜食の情報を発信していければと思います。