プラントベースミルクの進化と可能性がすごい!

菜食を積極的に取り入れているフィンランド在住のライターが、実際の菜食生活やその魅力を紹介します。フィンランドをはじめとする北欧やヨーロッパの菜食に関する情報を織り交ぜながら、連載でコラムをお届けします。

 

今回は、今や菜食に欠かせない食品となりつつある、プラントベースミルクについてピックアップします。

プラントベースミルクが普通にある暮らし

こんにちは!フィンランド在住のライター、タカコです。北欧の一国、フィンランドへの移住をきっかけに菜食中心の食生活を始めて5年以上が経ちます。

 

完全菜食主義、いわゆるヴィーガンではなく、よりフレキシブルなセミベジタリアンというスタイルで暮らしています。でも夫がヴィーガンなので、家庭で食事を作るときは動物性食品を使いません。肉や魚、卵を食べるのは旅先、友人との会食など、ほぼ特別な場面だけです。

 

そんな私の菜食生活で欠かせない食品のひとつとなっているのが、植物性の原材料からつくったプラントベースミルクです。

 

日本に住んでいた頃は豆乳が身近でしたが、あまりにも身近な飲み物であるため、それがプラントベースであることすら意識することはありませんでした。また、たまにアーモンドミルクを見かけたり、自然食品店でライスミルクを見かけたりすることもありましたが、当時は菜食主義に関心がなかったため、牛乳があるのに植物性のミルクが作られている意味がピンと来ませんでした。

 

ところがフィンランドに移住してみると、ごく普通のスーパーにプラントベースミルクがずらりと並んでおり、けっこうな種類と数が揃っているではありませんか!豆乳やアーモンドミルクだけではなく、何種類もの原材料のプラントベースフードが売られています。アレルギーや健康上の理由、そしてヴィーガンのようなライフスタイルの志向によりさまざまなニーズが生まれており、小売業者もそれに応えているのだと思います。

 

また、プラントベースミルクの売り場を観察してみると、フィンランドやスウェーデンなどの北欧の現地メーカーだけではなく、ベルギーやドイツなどのEU諸国の商品もあり、多数の地域とメーカーから届く商品で売り場が形成されていることが分かりました。

 

身近なプラントベースミルクの種類

ここからは、フィンランドのスーパーやコンビニでよく見かけるプラントベースミルクを素材ごとに紹介したいと思います。メーカー名や商品名を記載することは控えますが、最近菜食主義に関心を持つ方や、牛乳の代わりとしてプラントベースミルクを検討している方の参考になれば幸いです。

 

ほとんどの種類のプラントベースミルクは、日本でも自然食品店、大手スーパー、輸入食品店、通販などで入手できるかと思います。

 

ソイミルク(豆乳)

日本でもおなじみの豆乳は、近年フィンランドでもポピュラーな飲み物となっています。そのまま飲んだり料理に使うためのプレーンなものもあれば、コーヒーに加えてカフェオレやカフェラテを作るためによりコク豊かに仕上げたものもあります。

 

その他、フルーツやチョコレートのフレーバーがついたもの、栄養価を訴求してプロテインを配合したものまで、バラエティ豊かな商品が販売されています。ただ、日本のように調製/無調整の区別は明確ではなく、基本的には調製豆乳だと思った方が良いです。

 

ちなみに大豆の用途はミルクに留まらず、ソイヨーグルトやソイアイスクリームなど多岐にわたり、プラントベース食品の原材料として大きな可能性を感じます。

 

オーツミルク

フィンランドでソイミルクに並んで、もしくはソイミルク以上にメジャーなのがオーツ麦を原材料にしたオーツミルクです。

 

そもそもフィンランドでは、オーツ麦は主食のひとつ。Puuro(プーロ)と呼ばれるお粥にしたり、オーツ麦を配合したパン、グラノーラなどもよく食べられています。日本人にとって大豆と豆乳が身近な食品であるように、北欧もしくはフィンランドの人々にとってオーツ麦はなくてはならないものなので、これを原材料に飲料を作るのは極めて自然なことなのかもしれません

 

オーツ麦自体はグルテンを含まず、オーツミルクも一応はグルテンフリーではありますが、小麦も扱う施設・設備で作られ微量の成分が混じっている可能性もあるため、健康上の理由でグルテンを避けなければいけない方は、商品がグルテンフリー認定を受けているものかどうか、注意書きがないかなど 、表示をよく確かめた方が良いと思います。

 

オーツミルクは多くのメーカーがつくっていますが、おおむねどの商品もあっさりとしていてくせがなく、サラサラと喉越しが良い印象。個人的には飲みやすいという点でソイミルクよりも気に入っています。我が家では料理に使ったり、Vispipuuro(ヴィスピプーロ)というリンゴンベリーと小麦で作ったデザートにかけたりすることもあります。

 

また、ソイミルク同様、カフェオレやカフェラテ用のコク豊かなタイプもよく見かけ、カフェなどではヴィーガンのお客さん向けに置いてあることも少なくありません。

 

アーモンドミルク

アーモンドミルクは、アーモンドを水につけて柔らかくして潰し、水を加えて濾すのが一般的な作り方とされています。ビタミンEを始めとするアーモンドの栄養を効率的にとれることが魅力のひとつです。

 

そのため、日本でも同様かと思いますが、牛乳の代用というよりも、美容や健康を意識して積極的な理由で購入している人も多いようです。ヴィーガンかそうでないかを問わず、幅広いニーズがあるようです。

 

私が近所のスーパーをチェックした限りでは、Unsweetened(甘味をつけていない)、No added sugar(砂糖不使用) などと表示されているものもよく見かけるので、素材そのままを味わえるもの、余計なものが加わっていないものが求められる傾向があるのかもしれません。

 

ソイミルクやオーツミルクと比べると稀ではありますが、コーヒーに加える為の商品もあります。

 

ココナッツミルク

我が家ではタイ風の野菜カレーを作る時に使うココナッツミルク。おそらく日本でも同様かと思いますが、一般的にはドリンク用というよりも調理向けの缶詰タイプの方が普及しています。

 

しかし近年では、ドリンク用の紙パック入りの商品も少しづつ増えているようです。私が知る限りでは、フィンランドでは牛乳と同じ1リットルサイズ、あるいは300ミリリットル強の手軽なサイズが多いようです。ドリンク用は缶詰めの濃厚なものと違って調整されており、サラサラと飲みやすいのが特徴です。

 

商品によってはココナッツ独特の甘い香りと風味が多分に感じられるものもあり、ここは好みが分かれるところかもしれません。

 

ライスミルク

5年以上前になりますが私が日本に住んでいた頃は、ほとんど自然食品店やマクロビ食品店でしか見かけることのなかったライスミルク。フィンランドでは選択肢の1つとしてスーパーの棚に並んでいます。米を主食とする日本で真っ先に普及しても良さそうですが、現在のところは欧米の方が普及しているかもしれません。

 

フィンランドのスーパーでは北欧のメーカーではなく、EU内の他国にベースを置くメーカーのものをよく見かけます。

 

お米のほんのり甘い自然な味わいで、私はコーヒーに入れたり調理に使ったりはせず、そのままドリンクとして飲んでいます。

 

その他

以上に紹介した5つのプラントベースミルク以外にも、まれではありますが、カシューナッツミルク、ヘーゼルナッツミルク、ソラマメミルクなどを置いているスーパーもあります。

 

ナッツ類や豆類は菜食において大事な栄養源となっていますが、このようにドリンクにもなる可能性を秘めているので、今後もさらに多様な商品が出てくるのかもしれません。

 

乳製品メーカーとプラントベースフードメーカーの垣根

余談ではありますが、スーパーなどの売り場を観察していて興味深く思うのは、牛乳で知られる老舗乳製品メーカーが、だんだんプラントベースの商品も販売するようになってきていることです。

 

以前はヴィーガン向けのミルクといえば、環境配慮などの観点からプラントベースの商品のみをつくる特定メーカーのものが売り場を占めていました。それがいつの間にか、さまざまな商品・ブランドが販売されるようになり、ある時「あれ、あの乳製品メーカー、プラントベースの商品出してる」とハッとしました。

 

今ではヴィーガン・ベジタリアン商品専門のメーカーとそうではないメーカーの垣根はますます曖昧になっているように感じられます。とはいえ、プラントベースを存在意義として設立されたメーカーが急に牛乳を販売しだす、という逆の流れはないと思いますが...(笑)。

 

毎日に取り入れやすいプラントベースミルク

今回はフィンランドで見かけるプラントベースミルクの種類を素材ごとにピックアップしました。菜食主義でない方でも、プラントベースミルクであれば、ちょっとしたドリンクとして毎日に取り入れやすいのではないでしょうか?また、牛乳が苦手という方にも新しい選択肢としておすすめです。

 

それでは!今後もフィンランドでの菜食生活の日常や気になったトレンドを見つけたらシェアできたら嬉しいです。

 

Text/Takako.H

 

ライタープロフィール

フィンランド在住。移住とともに菜食生活を開始し5年ほどになります。自然が身近で、サステナブルな社会の実現への関心が強い北欧の人々や文化に触れながら生き方を学んでいます。私たちのライフスタイルの可能性や選択肢が広がるきっかけとなるような菜食の情報を発信していければと思います。