プラントベース生活でたんぱく質は不足しない?知っておきたいたんぱく質の基本
たんぱく質と言えば「お肉」というイメージがある中、プラントベースフードを中心とした食生活を送る上で『たんぱく質の不足』が気になりませんか?
結論から言うと、バランスよくプラントベースフードを活用すれば、たんぱく質の不足を防ぐことが可能です。
この記事では、そもそもたんぱく質とは何か?や、プラントベースフードで必要量のたんぱく質を摂取する上でのポイントをご紹介します。たんぱく質を摂取できるおすすめのプラントベースフードもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
たんぱく質の基本
たんぱく質とは、そもそもどのような栄養素なのでしょうか?ここでは、たんぱく質の概要に触れた上で、体内におけるたんぱく質の働きについて説明します。
たんぱく質の概要
たんぱく質は、カラダにとって必要不可欠な栄養素の1つです。カラダの15~20%はたんぱく質で構成されています。体の約60%は水分であるため、水分以外の要素のうちの半分はたんぱく質ということになります。
体内のたんぱく質は合成と分解を繰り返し、常に作り替えられているため、たんぱく質が不足すると筋肉量の低下や肌のたるみなどにつながるとされています。
また、たんぱく質は、20種類のアミノ酸の配列によってできています。そのうち9種類の必須アミノ酸は体内で合成できないため、食べ物から摂取しなければなりません。食事でたんぱく質を十分に摂取できないとアミノ酸が不足し、健康にも悪影響が生じる恐れがあります。
たんぱく質の働き
たんぱく質は、カラダにとってなくてはならない栄養素です。カラダを作るだけでなく、他にもさまざまな働きをしています。ここでは、たんぱく質の働きについて詳しく見てみましょう。
カラダを作る
たんぱく質は、カラダを作る栄養素として特に有名です。以下のように、カラダのさまざまな部分がたんぱく質によって形成されています。
・筋肉
・皮膚
・爪
・髪の毛
・内臓
・血液
・血管
カラダの一部分が作られるときは、食事から摂取したたんぱく質だけでなく、体内に蓄えられているたんぱく質も利用されます。
代謝を促す
たんぱく質は酵素になってカラダの代謝を促す働きもしています。代謝とは、体内で起きる化学反応のことです。具体的には、摂取した食べ物から栄養を取り込み、エネルギー源として活用するまでの流れを表しています。
生命を維持するには、正常な代謝を常に保つことが重要です。そのためには、たんぱく質をしっかり摂取して酵素を作り出す必要があります。
内分泌機能を調整する
たんぱく質には、ホルモンの分泌などの内分泌機能を調整する役割もあります。ホルモンは、成長や水分代謝などを促すために体内のさまざまな部分で出される物質です。
たんぱく質に由来するホルモンとしては、成長ホルモンや消化器系に関わるホルモンなどがあります。また、これらのホルモンの分泌そのものをたんぱく質が調整しています。
細菌やウイルスから身を守る
たんぱく質は抗体やインターフェロンを作り、細菌やウイルスなどからカラダを守っています。抗体は免疫グロブリンとよばれるたんぱく質でできており、カラダに悪影響を及ぼすと判断した異物を体内から除去する役割を果たします。
また、インターフェロンは、体がウイルスに感染した際に作られる因子です。ウイルスの増殖を抑えたり、免疫を調整したりする役割があります。
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の特徴・違い
たんぱく質は、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の2つに大別できます。それぞれにはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の特徴や違いを紹介します。
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の特徴
同じたんぱく質ではあるものの、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質にはそれぞれ異なる特徴があります。まずは動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の特徴をそれぞれ見てみましょう。
動物性たんぱく質
動物性たんぱく質は、肉類、魚介類、卵、乳製品などに含まれている動物由来のたんぱく質です。動物性たんぱく質には、必須アミノ酸が豊富に含まれています。必須アミノ酸とは、体内で合成できないアミノ酸のことです。アミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は必須アミノ酸です。
植物性たんぱく質
植物性たんぱく質は、米、小麦、大豆などに含まれている植物由来のたんぱく質です。動物性たんぱく質と比較すると、必須アミノ酸の含有量は少なめです。ただし、植物由来の食材であっても、種類によっては植物性たんぱく質から必須アミノ酸を摂取することができます。
動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の違い
すでに触れたとおり、動物性たんぱく質は必須アミノ酸の含有量が豊富です。一方、植物性たんぱく質は、選ぶ食材によっては必須アミノ酸の含有量が少ない場合もあります。
必須アミノ酸は9種類をバランスよく摂ることで、体内で十分なたんぱく質を生成できるため、1種類だけが不足するということがないように、それぞれのアミノ酸含有量を考慮して選ぶ必要があるでしょう。
また、動物性たんぱく質は消化吸収のスピードが速いのに対し、植物性たんぱく質は消化吸収がゆっくり行われる傾向があります。吸収率を比較すると、植物性たんぱく質よりも動物性たんぱく質のほうが高くなる場合が多いです。
たんぱく質の摂取量の目安
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、18〜49歳が1日の総エネルギー量に対して摂取すべきたんぱく質由来エネルギー量の割合は13〜20%です。たとえば、2,000kcalが必要な場合、260~400kcalをたんぱく質で摂取する必要があります。
また、日本人は動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく半々の割合で摂取している傾向があるとされています。ただし、これはあくまでも日本人の傾向に過ぎません。たんぱく質を摂取する上では、たんぱく質の総量や必須アミノ酸の量を考慮することが特に重要です。
たんぱく質が豊富なプラントベースフード
動物性原材料を使わないプラントベースフードのみで食事をする場合であっても、1日に必要なたんぱく質の量・種類を担保することは可能です。また、食材の種類や量に配慮すると、必須アミノ酸の摂取も可能になります。それでは具体的に、どういったプラントベースフードにたんぱく質が豊富に含まれているのでしょうか?
ここでは、たんぱく質が豊富なプラントベースフードの種類について詳しく紹介します。
豆
豆は、植物由来の食材の中でも特にたんぱく質が豊富な食材として知られています。具体的には、大豆、小豆、ひよこ豆、枝豆などがあります。大豆は、豆乳の原材料としても知られるほか、「畑の肉」とも呼ばれており、プラントベースの食生活を送るなら積極的に取り入れたい食材です。大豆にはコレステロールが含まれていないため、ヘルシーにたんぱく質を摂取できるのも良い点と言えます。
また、豆を使ったプラントベースフードとしては、大豆ミートも注目されています。大豆ミートは、大豆を加工して肉のように成形した食材です。食感が肉に近いため、動物性の食材を使わなくても肉料理のメニューを再現できます。
これまで肉料理を中心に食事をしていたものの、今後はプラントベースフードに切り替えたいという方には、物足りなさをあまり感じずに移行出来ることが期待できるため、特におすすめです。
代表的な豆のたんぱく質含有量は以下の通りです。
・大豆(乾燥)33.8g
・枝豆(生)11.7g
・ひよこ豆(乾燥)20.0g
・小豆(乾燥)20.8g
※全て100gあたりの値
出典:日本食品標準成分表(八訂)
ナッツ
アーモンド、ピーナッツなどのナッツにも、たんぱく質が豊富です。たんぱく質以外にも、ビタミン、ミネラル、食物繊維、カルシウム、鉄分などが含まれています。ナッツからはオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸も摂取できます。ただし、食べすぎると脂質のとり過ぎになるため、摂取量には注意が必要です。
ナッツをそのまま食べるだけでなく、砕いて料理に添えてもよいでしょう。また、アーモンドと水を混ぜて作られたアーモンドミルクもあります。
適量のナッツを食生活にうまく取り入れると、たんぱく質はもちろん、カラダにとって重要な各栄養素をしっかり摂取できます。
代表的なナッツのたんぱく質量は以下の通りとなっています。
・アーモンド(乾燥):19.6g
・ピーナッツ(乾燥):25.2g
※全て100gあたりの値
出典:日本食品標準成分表(八訂)
植物性ミルク
プラントベースフードでたんぱく質を摂取するには、植物性ミルクも活用しましょう。先程紹介したアーモンドミルクや豆乳に加え、オーツミルクやココナッツミルクなどさまざまな植物性ミルクがあります。植物性ミルクは、たんぱく質量は牛乳よりも少ない場合があるものの、食物繊維やビタミンEなど牛乳に含まれない栄養素が摂取できます。
植物性ミルクに対する注目度は高まっており、最近ではコンビニやスーパーなど身近な場所でも手に入れられるようになりました。食材の種類によって味が異なるため、自分の好みに合うものを探してみてください。
オーツ麦
オーツ麦とは、オートミールの原料として用いられるイネ科カラスムギ属の穀物で、「燕麦(えんばく)」とも呼ばれています。オートミールは、オーツ麦を熱処理して平たくし、フレーク状にしたものです。ヨーロッパや北米では朝食の定番メニューとして親しまれています。
日本国内でも注目されるようになり、一般的なスーパーでも手に入りやすくなっています。ナッツや植物性ミルクと組み合わせて食べるのがおすすめです。
玄米
玄米は白米に比べて、たんぱく質が含まれる量が少しだけ多いことに加え、ビタミンB群(B₁・B₂・B₆)が含まれ、完全栄養食といわれています。
そのためプラントベースの食生活では、主食として玄米を食べている、という方もいらっしゃいます。
玄米と白米のたんぱく質含有量については以下の通りです。
・玄米(乾燥):6.8g
・白米(乾燥):6.1g
※100gあたりの値
出典:日本食品標準成分表(八訂)
プラントベースフードを組み合わせてたんぱく質を摂取しよう
たんぱく質はカラダにとって重要なさまざまな働きをするため、必要な量をきちんと摂取する必要があります。必須アミノ酸の含有量も考慮した上で食材を選べるとなおよいです。
プラントベースフードの中にも、たんぱく質を豊富に含む食材は多数あります。たんぱく質が豊富なプラントベースフードは、他にも複数の栄養素を豊富に含んでいる場合があります。複数の食材を組み合わせて、美味しさを堪能しながらしっかり栄養を補給しましょう。
BEYOND FREEの商品ラインナップには、植物由来の原材料で作ったプラントベースフードを多く取り揃えています。ぜひたんぱく質の量をチェックしてバランスの良い食生活を送るために有効活用してみてください。
参考文献
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省
令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 国民健康栄養調査(令和元年)
日本人の食事摂取基準 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 日本人の食事摂取基準(2020年版)
たんぱく質 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 たんぱく質|e-ヘルスネット(厚生労働省)
良質なたんぱく質 e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2024年2月20日 良質なたんぱく質|e-ヘルスネット(厚生労働省)