どうやって食材を選べばいいの?なにが一番困る?普段聞けない食の悩みを3名のアンバサダーに聞いてみた
からだの状態や、大切にしている価値観など、さまざまな理由から多様な食生活を送る一人ひとりのために、ショクタスでは"食"にまつわる不安や悩みを解消するための情報発信をしています。
今回は、2023年4月よりBEYOND FREE(ビヨンドフリー)のアンバサダーに就任した3名に、現在の食嗜好になったきっかけや普段の食事で工夫していることについて伺いました。
◎プロフィール情報
ビーガン王子(写真:左)
1996年LA生まれ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で日本語を学び、卒業後、ビーガンを広げる活動をするため来日。モデル、タレントとして活動しながら、「ビーガン王子」としてビーガンの商品、お店、ライフスタイルなどの情報を発信。2021年に「ビーガン王子株式会社」を設立し、プラントベースの分野における商品開発、コンサルティングやPR活動を行う。
Instagram:https://www.instagram.com/veganoji/
Twitter:https://twitter.com/veganoji
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCBlnTs4Ir-70FN1IHMSkI9A
TikTok:https://www.tiktok.com/@veganoji
HP:https://veganoji.jp
のぞみーる(写真:中央)
ヴィーガン情報を発信するヴィーガンインスタグラマーとして、菜食レシピやスイーツ、ヴィーガン対応商品を投稿。さらにイラストを用いてアニマルライツやヴィーガンニズムの知識を発信している。またサスティナブル&エシカルのイベント「LOVE the EARTH PROJECT」を主宰し、自然や動物に優しい暮らし方を広める活動を行っている。現在では、養鶏場における廃鶏問題を知ってもらうため、4羽の「保護にわとり」と暮らしている。
Instagram:https://www.instagram.com/nozomi__iii/
Instagram(保護にわとり):https://www.instagram.com/cluck__cluck/
高橋ヒロ(写真:右)
親の転勤で幼少期は日本各地で育ち様々な食文化に触れる。大学を卒業後大手旅行会社、IT企業等で勤務する傍で料理を学び、フードコーディネーターとしての活動を開始。自身の子どものアレルギーをきっかけに、食育、特に米粉の活用に取り組み、現在は米粉専門家として、米粉のセミナー、コンサルなどを中心に日本各地で活動している。米粉のレシピ本など著書は6冊。
Instagram:https://www.instagram.com/hiro_hirocafe/
それぞれの食嗜好になったきっかけとは?
━━現在の食嗜好になった背景やきっかけを教えてください。
高橋:私の場合は、9年ほど前、子どもに小麦アレルギーの症状が出たのがきっかけでした。それ以来、食品を買うときは成分表示を見るようになり、グルテンフリーの食材を選ぶようになりました。ただ、特に昔はグルテンフリーで美味しい料理は少なくて、それなら自分でやるしかないと思い、レシピ開発に取り組むようになりました。現在は子どものアレルギー症状も出なくなりましたが、引き続き原材料には配慮しています。ただアレルギー対応の食事がない時は、普通の食事をとることもあります。
ビーガン王子:約10年前、高校2年生のとき同級生がヴィーガンで、どんな食生活か気になって調べ出したのがきっかけでした。調べるうちに、自分が毎日食べているものが地球環境に与えている影響や、自分の健康に与えている影響を知り、目から鱗が落ちました。このままではダメだと思い、調べ始めて一週間で「よし、ヴィーガンになる」と決めて、それ以来ずっと同じ食生活を続けています。
のぞみーる:私のきっかけは健康になりたくて始めたシュガーフリー生活でした。2年ほど続ける中で、とあるヴィーガンの方が動物を守りたいと語っているのを聞いて、いてもたってもいられなくなりました。ちょうど同じような生活をしているし、自分もヴィーガンになってみるかと、まずは軽い気持ちでスタートしました。
みんなで同じものを食べなければいけない雰囲気がある
━━食嗜好を変えたことで困ったことがあれば教えてください。
ビーガン王子:今はもう大丈夫ですが、特に最初は「何を食べて良いのか」「どのお店なら自分が食べられるものを置いているのか」について知識がなくて困りました。お店だと食べられる食材が少ないので、通販を利用して買い物をすることが多かったですね。
のぞみーる:わかります、最初は困りますよね。私も何を食べて良いのかわからず、最初は夫が飲んでいた植物由来のソイプロテインをもらっていました。実は味があまり好みではなかったのですが、息を止めて一気飲みを続けていると、だんだん飲めるようになっていきました。修行みたいなことをしていましたね(笑)。
ビーガン王子:特に10年前は、手軽に調理できる冷凍食品が、ヴィーガン用だと種類が限られていて、家でご飯を用意するのも一苦労でした。
━━今でも困ることはあるのでしょうか?
ビーガン王子:外食のとき、自分がお店を決められないと困ることがあります。お店によっては、食べられるメニューが少なく、特に誰かの誕生日会など特別な日はたくさんの友達がいて、自分でメニューも決められないので困りますね。
だから、誰かと外食するときは率先して自分が店を選ぶ係になります。なるべく「ヴィーガン対応」と書いてあるお店を選びますが、難しければイタリア料理やインド料理を探します。
のぞみーる:お寿司とかお蕎麦屋さんも良いですよね、食べられるものが多い印象です。
高橋:私もグルテンの他、卵や乳製品などの動物性原材料に気を遣いながら「ゆるヴィーガン」のような食生活を送っていますが、自分の食生活について説明すると周りから「そっち系なのね」と距離をとられることも多く、言いづらいことが多々ありました。
特に子どもの場合、学校や親戚の集まりにお呼ばれしたときは、普段家では食べない食事がずらっと並びます。どうするのかは親の方針次第ですが、私の場合はコミュニケーションのためだと割り切って食べさせるようにしています。あんまり食にうるさいとご飯会に呼ばれなくなってしまうので。
ビーガン王子:日本は特にみんなで同じものを食べるという傾向が強いですよね。
のぞみーる:そうなんですよね。同じように学校給食でも困ることが多いです。
高橋:学童に通わせるときも、お菓子を持って来て欲しいと言われ、手づくりのものを持たせようと思ったら、衛生的な観点から市販されている商品しかダメだと言われました。そうなると、だいぶお菓子の選択肢が狭まってしまうので、どうしようかな、と悩んだこともありました。
間違った表示の食材に注意が必要
━━今の食生活を続けるために、どんな工夫をしているのか教えてください。
のぞみーる:信頼できるもの以外は出来合いのものは買わず、自分で料理をすることです。
買い物をする場所は特別な場所でなくても大丈夫で、私の場合は、どこに何が置いてあるのか把握しているので家の近くのスーパーでよく買います。
高橋:私も同じです。普段は近くのスーパーで問題ないですし、レシピ開発に必要な食材があれば通販で買ったりもします。
ビーガン王子:私も同じです。本当はコンビニでサクッと出来上がったものを買ったり、簡単に調理ができる冷凍食品を買い置きしたりしたいですが、食べられるものが少なく、今ではほとんど行かなくなりました。
食品を選ぶ場合は「ミートフリー」「プラントベース」と書いてあっても、しっかり成分表示を見るようにしています。よく見ると卵が入っていた、なんてこともあって、気をつけないと知らず知らずのうちに食べてしまいます。
高橋:ややこしい表現をしている商品は多いですよね。グルテンを使っていないように見える米粉パンでも実は少量だけグルテンが入っているパンもあって、よく注意しないとアレルギーの方は大変なことになります。
また、ヴィーガンの方やアレルギー体質の方に特化したナチュラル系のお店もありますが、どうしても値段が高くつくので普段使いはできないですね。お店に行っていろいろな商品を見るだけでも楽しいので、買い物というよりは、楽しみに行くことはあります。
のぞみーる:わかります。お出かけしたとき、そういうお店があるとついつい寄りたくなってしまいますよね。ちょっとゆっくり端から端まで歩いてみて、普段とは違う特別な感じを楽しんでいます。
商品だけでなく、企業情報まで調べて購入を決める
━━みなさんはフォロワーからはどんな情報が求められるのでしょうか?
ビーガン王子:ヴィーガン料理のレシピを聞かれたり、どこなら美味しい料理が食べられるのか、おすすめの店を聞かれたりすることが多いです。
また、ヴィーガンの思想に近かったり環境への意識が高かったりする企業を聞かれることもよくあります。
のぞみーる:確かに、企業について聞かれることは多いです。どの会社からなら安心して商品を購入できるのか、会社の理念や活動内容を通じて判断している人も多い印象です。
高橋:企業の商品販売の経緯は気になりますよね。味や成分だけでなく、つくり手の想いまで見えると購入意欲が高まる気がします。
私の場合は子育てに関する情報発信もしているので「小学校の先生に、牛乳を飲ませないようにお願いしたいとき、何と言えば良いのでしょう?」と子どもに関する情報を求められることも多いです。
食の選択肢の多さを、より多くの人に知ってほしい
━━アンバサダー活動で発信していきたい「BEYOND FREE」の魅力を教えてください。
ビーガン王子:なんといってもコンセプトについては、もっと多くの人に知って欲しいです。特定の食材や成分をカットしながらも美味しさを追求するところは、我々のような思想があっても食の楽しみを諦めなくて良いのだと思わせてくれます。
高橋:私もコンセプトにすごく共感しています。何かが食べられないと聞くと、周りの人は自分たちのことを「我慢している人」と捉えがちです。そうではなく「誰であってもそれぞれの視点で食事を楽しんでいる」ということがもっと広まると良いなと思っています。
━━最後に、今後アンバサダーとしての活動を通して実現したいことがあれば教えてください。
のぞみーる:世の中にもっと食の選択肢を増やしていきたいです。ゆくゆくは「BEYOND FREE」がスーパーで買えるようになると良いなと思っています。
ビーガン王子:同感です。よく見かけるプラントベースの料理は薄味だったり緑色だったり、いかにも「ヴィーガン用だ」とわかるものが多いです。そうではなく、しっかり味がついていて見た目も美味しそうで、言われないとわからないような料理がもっと世の中に増えるといいなと思っています。
高橋:私は発信活動を通して、食に対するポリシーは人それぞれ違っていていい、良いとか悪いとかジャッジするものではない、ということを伝えたいです。とはいえ、企業にとっては商品が売れなければ活動も続けられないので、こだわるだけでなく、きちんと消費者からも選ばれる商品づくりにも貢献できると良いなと思っています。