「自分が悪い」と思わないで。アンバサダー座談会で見えてきた、ユニークな食生活を楽しむ方法

からだの状態や、大切にしている価値観など、さまざまな理由から多様な食生活を送る一人ひとりのために、ショクタスでは"食"にまつわる不安や悩みを解消するための情報発信をしています。

今回は、2023年よりショクタスのアンバサダーに就任した3名に、現在の食嗜好になったきっかけや普段の食事で工夫していることについて伺いました。


◎プロフィール情報

石井 美樹(写真:左)
おとなのためのグルテンフリー教室『えがおキッチン』を主宰。大人になってから突然小麦アレルギーを発症したことをきっかけに、グルテンフリー料理を研究。米粉などのグルテンフリーの粉を使った料理教室を通して、自分が食べたいものを自由に食べられる喜びを伝える活動をしている。現在では、米粉料理専門家としてレシピ開発なども行っている。
Instagram:https://www.instagram.com/141_miki/

細川真奈(写真:中央)
大学時代から赤文字系雑誌の人気読者モデルとして活躍中の一児の母。自身が幼い頃から重度の食物アレルギーを持ち、現在も卵や乳製品、ナッツ類を除去した生活を送っている。"アレルギーっ子ママや当事者が少しでも前向きに、明るく楽しく過ごせるように" と(株)イートイズを設立。アレルギーナビゲーター®として、イベントや座談会を全国で開催。また、アレルギー対応商品のPRやコンサルティング、商品開発等活動内容は多岐にわたる。

Instagram:https://www.instagram.com/manahosokawa/
Twitter:https://twitter.com/manahosokawa
ブログ:https://ameblo.jp/mana-moco/
HP:https://eatis.jp/

室谷真由美(写真:右)
ビューティーフード協会 代表、日本ヴィーガン協会 代表、環境省アンバサダー、国際文化理容美容専門学校 講師、東京食糧栄養専門学校 講師を兼任。ビューティーフード第一人者として、体の中からキレイになれる食を追求し、独自の「ビューティーフード」メソッドを提唱し、食の大切さを伝えている。2013年ビューティーフード協会を設立。ヴィーガンやグルテンフリーの資格講座を開講。受講生は1000名以上となり、受講者からの満足度も高く、高評価を得ている。

ヴィーガンのお店を開拓し、3700店舗以上食べ歩きSNSにて発信。日本ヴィーガン協会を設立し、日本のヴィーガンをもっとわかりやすくをスローガンに普及活動、ヴィーガン認証を行っている。交流イベントとして、ビューティーフードパーティーを主催し開催。これまで1万人以上の方々が参加。その他、様々なイベントにてゲスト出演でのトークショー、講演会、セミナー、料理講師、美容専門学校にてビューティーフードが特別必須科目として年間授業をし、また飲食店プロデュースやメニュー監修なども行い、ヴィーガンの専門家としてTV出演・雑誌などの取材多数。これまでの活動が評価され、2018年環境大臣より表彰される。モデル歴20年以上、CMやドラマなどの出演をしている。
Instagram:https://www.instagram.com/muroya_mayumi/

 

今の食生活を始めたそれぞれのきっかけ

━━現在の食嗜好になった背景やきっかけを教えてください。

室谷:15年ほど前、食にまつわる資格が欲しいと「マクロビオティックコンサルタント資格講座」を受講しました。
講座を受講するなかで、植物性の原材料でつくった食事の方が自分の体質には合うのではないか、と感じ、試してみたことがきっかけです。

石井:私は約10年前に小麦アレルギーが発覚したのがきっかけで、今の食生活をスタートしました。実はアレルギーが発覚する5年ほど前から症状は出ていたのですが原因がわかりませんでした。何度か病院に通ううちに、小麦アレルギーだと診断され、それ以来食生活をガラッと変えました。

細川:私の場合は、生後6ヶ月頃にアレルギー体質だとわかっていて、離乳食からアレルギーに配慮したものでした。病院で検査をすると白米、小麦、卵、乳製品、牛豚鶏肉、青魚、大豆、甲殻類、蕎麦、南国系フルーツと幅広い食品がダメなことがわかって、家族は大変だったと思います。

私が悪いんだ、と思ってしまう

━━食嗜好を変えたことで困ったことがあれば教えてください。

石井:大人になってからのアレルギー発症だったので、小麦の美味しさをよく知っていたのがツラかったですね。アレルギーだとわかってからも、ケーキが食べたい、うどんが食べたいと思っていました。

細川:私の場合は私よりも、家族が大変だったと思います。学生のときは毎日お弁当を持たせてくれて、修学旅行や合宿といったお泊まりのイベントは、いつもついてきてくれました。
大学生になると、徐々に自分も困ることが増えてきました。とくに友達との外食は大変で、誘われて行ったお店で、店員さんに料理について質問していると雰囲気が悪くような気がして嫌でした。結局、食べられるものがなくてお店を変えるときは、友達に申し訳なかったです。

石井:外食は大変ですよね、わかります。店員さんに話を聞くのが、なんだか申し訳なくて、結局毎日同じようなものを食べていました。

室谷:私も友達とご飯に行くときは気を使っていました。大人数の飲み会では食べられる物がなくて、ずっと枝豆を食べて、帰ってからちゃんと食べる、なんてこともありましたね。自分がお店を選ぶときも、巻き込んでしまって申し訳ないという気持ちでした。

しかしだんだん「健康について知ってもらう機会にしよう」とポジティブに考えられるようになり、それからは積極的に食生活やお店の情報について発信をするようになりました。

お店探しは、同じ食嗜好の人の投稿を見る

━━今の食生活を続けるために、どんな工夫をしているのか教えてください。

細川:出来合いのものを買って食べるということはなかなか難しく、自分でつくるようになりました。

石井:わかります。私も自分でつくるようになりました。ただ、欲しい食材がスーパーに置いてないこともあるので、日々の食材は通販で買うことも多いです。

細川:外食をするときは、店員さんへの質問の仕方が変わりました。何が入っているのかを直接聞くのではなく「こちらの料理が食べたいのですが私にはこういったアレルギーがあります、もしよければ調理してくれる人に大丈夫か聞いてもらっても良いでしょうか」とお願いするようにしています。
大丈夫な料理を選んでいるつもりでも、調理の工程でアレルギー食材が使われていることもあるので、自分でお店を決める際、とくに情報収集の仕方には気をつけています。よく参考にするのは、私と同じようなアレルギー体質の方が発信している情報です。その方が紹介されているお店だと比較的安心して行けますね。

室谷:私も、誰が発信している情報なのかは気にして見ています。ヴィーガンの方の投稿を見て、紹介されている場所を自分でも調べてから行くことは多いです。

多様な食を、もっといろんな場所で楽しみたい

━━もっとこういうものが欲しい、と思うものがあれば教えてください。

石井:今世に出ているアレルギー対応の食べ物は子ども用が多いので、もっと大人用の商品も出してほしいです。とくにデザート系は、グルテンフリーのケーキなんかもバリエーションが増えると良いなと思っています。

細川:確かに、私達でも食べられるスイーツがもっと増えるとうれしいですよね。最近はアレルギー対応されたケーキや焼き菓子などの販売が増えてきていますが、特定のお店でしか手に入りません。もっと取り扱う店舗が増えてもいいなと思っています。とくにお土産屋さんとかに置いてあれば、旅行に行ったとき買って帰れるし、嬉しいなと思います。

石井:麺類もバリエーションを増やしてほしい食品の一つです。「米粉麺」や「豆パスタ」など出てきていますが、さらにいろんな商品が出ると料理の幅も広がると思っています。
ジャンルで言うと中華料理ももっとバリエーションが増えるとうれしいです。実は、調味料としてよく使われる中華だしには小麦が含まれていることもあり、アレルギーの方には注意が必要です。なので、似たような味付けの料理があるといいなと思います。

室谷:いろんなバリエーションの食事を提供してくれる場所も増えると良いですよね。

勇気を持って発信し、食を楽しむ人が増えてほしい

━━今後、アンバサダーとしての活動を通して実現したいことがあれば教えてください。

石井:アレルギーには個人差があるので注意しながらにはなりますが、食べられるものが少ないと困っている方に対して、特定の原材料や成分をカットした美味しい商品として「BEYOND FREE」があることを紹介していきたいです。

室谷:私は定期的に食に関連したイベントを開催しているので、その際に「BEYOND FREE」の実物を用意すれば、こんな食事もあるんだと知ってもらえるきっかけになると思っています。

細川:私も試食会はぜひやってみたいです。

また、私の方からテーブルマークさんはじめ、食品づくりをしている企業の方々に話を聞いて、本当に必要とする方に届ける情報発信もしたいです。

━━最後に、多様な食生活を送る方にメッセージがあればお願いします。

石井:今は昔と比べて本当にたくさんの「美味しいアレルギー対応食」があります。私もそうでしたが、どうせどれも美味しくないんでしょと決めつけず、自分が好きな味を探してみてほしいです。美味しいものを見つけて、食べて、楽しむ、ということに積極的になる人が増えればいいなと思っています。

細川:私は、アレルギーで悩んでいる方は、自分のアレルギーについてもっと周りの人達に伝える勇気を身につけて欲しいと思っています。
めんどくさいと思われたり、かわいそうだと思われたりするので、自分の体質について話したくないという気持ちはよくわかります。それでも勇気をもって伝えてみると、これまで知らなかった商品について紹介してもらえることもあるし、もっと生きやすく、楽しくなるはずです。
また、アレルギー体質の方の中には、病院で検査をしたわけではないけど、なんとなくこの食材とは相性が悪いと感じている方もいらっしゃると思います。そういった方々も、無理して食べるのではなく、まず病院で検査してみて自分の体質について周りに伝えてほしいです。
私も近しい経験をしたことがありますが、周りに伝える勇気をもてずに誤食してしまうと、最悪の場合アナフィラキシーショックにより命を落としてしまう恐れもあります。自分の身を守るためにも、勇気を持って周りの人に伝えてみて欲しいです。

 

室谷:私はヴィーガンの方々の中には自分の食のスタイルについて、強く発信しすぎているせいで不必要に敵をつくってしまっている人もいると感じています。
ヴィーガンはまだマイノリティで、理不尽な扱いをされることもあって、自分の身を守るために強い言い方になることはよくわかります。しかしそれだと、本当に知ってほしい情報が上手く伝わらなくなります。
「正しいか」ではなく「楽しい」「美味しい」を軸に、自分の食生活についてお伝えをすると、もっともっと多くの人に多様な食生活について知ってもらえるのではと思っています。我々が楽しんでいる一つの食のあり方について、一緒に楽しく発信してもらえる仲間をつくっていきたいです。