野菜を食べないとどうなるの?野菜不足による体調や健康への影響

「野菜は多く食べた方が良い」と言う話を耳にしたことがある方は多いと思いますが、日々の食生活で野菜が不足すると具体的にどのような影響が生じるのでしょうか?

今回は野菜を食べないとどうなるのかと言う疑問を解消するため、野菜不足が健康にもたらす具体的な影響について栄養素別に詳しく解説します。後半では野菜を無理なく食生活に取り入れるためのポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

野菜を食べないとどうなるの?

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ビタミンやミネラル、食物繊維など野菜に多く含まれる栄養素やフィトケミカルが不足すると、体調や健康に以下のような影響を及ぼします。

  • 体に不調が起こりやすくなる

  • 肥満や生活習慣病のリスクが高まる

厚生労働省が国民の健康づくりのために提唱している「健康日本21」では、理想的な野菜摂取量を1日350gと掲げています。

しかし「令和5年国民健康・栄養調査」のデータを見ると、令和5年度の20歳以上の男女の野菜摂取量の平均値は256.0g(男性262.2g、女性250.6g)とあり、摂取目安量よりも約100gの野菜が不足していることが明らかです。

野菜を食べないとどうなるのかについては栄養素の種類によって異なるので、ここからはそれぞれの栄養素が不足した場合に起こりうる具体的な不調について詳しく見ていきましょう。

 

ビタミンA(β-カロテン)不足になると

まずビタミンA(β-カロテン)の主な働きは、以下の通りです。

  • 目の正常な働きをサポートする

  • 皮膚や粘膜を正常に保持する

ビタミンA(β-カロテン)が不足すると上記のような栄養素の働きがうまく機能しなくなり、ドライアイや肌トラブルなどに悩まされてしまうかもしれません。

ビタミンA(β-カロテン)を効果的に摂るには、ビタミンA(β-カロテン)を多く含む以下のような野菜や食品を日々の食生活に取り入れてみましょう。

  • しそ

  • モロヘイヤ

  • ケール

  • ほうれんそう

  • パセリ

 

ビタミンK不足になると

ビタミンKには血液凝固をサポートする働きがあるため、ビタミンK欠乏症になった場合、出血しやすくなる恐れがあります。

ビタミンK欠乏による血液凝固の遅延が認められるのは現代においては非常に稀です。しかし新生児はビタミンK欠乏性出血症を発症しやすいため、日本では新生児に対して出生後すぐにビタミンK2シロップを経口投与しています。

またビタミンKを多く含む野菜や食品の一例は以下の通りです。

  • パセリ

  • ケール

  • しそ

  • しゅんぎく

  • モロヘイヤ

 

ビタミンB6不足になると

ビタミンB6には以下のような働きがあります。

  • PMS症状の緩和などのメンタルケア

  • アミノ酸の代謝サポート

  • 口内炎、皮膚トラブルなどを防ぐ

ビタミンB6不足と感じる場合はビタミンB6を多く含む以下のような野菜を食生活に取り入れてみましょう。

  • こんにゃく

  • かぶ(葉)

  • バナナ

  • みなみまぐろ(赤身)

  • とうがらし

 

葉酸不足になると

葉酸は赤血球の形成やDNAの合成に大きく関与する栄養素です。葉酸が欠乏すると以下のような症状の発症リスクが高まります。

  • 巨赤芽球性貧血

  • 神経管閉鎖障害(胎児の場合)

葉酸を多く含む野菜や食品には以下のようなものがあるため、日々の食事で葉酸不足を感じている方はぜひ参考にしてください。

  • せん茶

  • ケール

  • ブロッコリー(花序)

  • ひよこまめ

  • えだまめ

 

ビタミンC不足になると

ビタミンCには抗酸化作用やコラーゲンの合成を促す働きがあります。ビタミンCが過度に不足した状態が継続すると出血性の障害である壊血病のリスクが高まりますが、現代の日本においては非常に稀な疾患です。

抗酸化作用については以降で詳しく解説するので、ぜひそちらも参考にしてください。またビタミンCを多く含む野菜や食品の一例は以下の通りです。

  • アセロラ

  • ケール

  • せん茶

  • トマピー

  • 赤ピーマン

 

カリウム不足になると

カリウムの主な働きは以下の通りです。

  • 体内のナトリウムの排出を促す

  • 細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ

  • 体液のpHバランスを保つ

カリウムが欠乏すると上記の働きに影響が生じるだけでなく、脱力感や食欲不振、筋無力症、精神障害、不整脈などの症状が見られることがあります。

カリウム不足を防ぐにはカリウムを多く含む以下のような野菜や食品を食生活に取り入れましょう。

  • ほしひじき

  • 切干しだいこん

  • ケール

  • 刻み昆布

  • わかめ

 

カルシウム不足になると

カルシウムの主な働きは以下の通りです。

  • 骨や歯の細胞を作る

  • 神経やホルモンの働きにも関わる

カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなったり生活習慣病のリスクが高まったりします。日々の生活でカルシウム不足を感じる方は以下のような野菜や食品を積極的に摂ってみましょう。

  • えんどう

  • ごま

  • ケール

  • わかめ

  • 刻み昆布

 

食物繊維不足になると

食物繊維が不足すると以下のような症状の発症リスクが高まります。

  • 便秘

  • 腸内環境の悪化

  • 生活習慣病(糖尿病・脂質異常症など)

食物繊維は魚や肉などの動物性食品にはあまり含まれないので、効果的に摂るには食物繊維を多く含む以下のような植物性食品を食生活に取り入れましょう。

  • エシャレット

  • グリンピース

  • えだまめ

  • ふきのとう

  • ごぼう

また以下の記事では食物繊維についてより詳しく解説しています。気になる方は、ぜひ参考にしてください。
食物繊維の水溶性と不溶性の違いとは?食品に含まれる割合の一覧も

 

抗酸化物質不足になると

野菜には抗酸化物質の一種である抗酸化ビタミン(ビタミンA、ビタミンCなど)の他、フィトケミカルが含まれていることが多いです。

抗酸化ビタミンとは活性酸素の働きを抑える抗酸化作用を持つビタミンを指します。活性酸素は動脈硬化を起こしやすくする過酸化脂質を作り出すだけでなく、体に以下のような影響をもたらします。

  • がんの発生リスクを高める

  • 老化を進める

  • 免疫機能を低下させる

抗酸化物質が多い食品としてスーパーフードも挙げられます。スーパーフードについては以下の記事で詳しく解説しています。
スーパーフードを一覧で紹介!栄養価や特徴など

 

野菜を食べる量や摂取するコツ

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1日の野菜摂取目安量350gを無理なく摂るには下記に挙げるような方法を試してみましょう。

  • 乾燥野菜を利用する

  • 副菜1品を野菜を多く含む食品で置き換える

  • いつもより副菜をもう1品増やす

 

野菜を食べて、不調もない健康を手に入れよう!

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「野菜を食べないとどうなるの?」と言う疑問を持つ方は多いと思いますが、今回紹介したように日々の食生活で野菜が不足すると体調や健康にさまざまな影響が生じます。不調のない体を維持するには、野菜に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養をバランス良く摂取することが非常に重要です。

野菜に含まれる栄養素は動物性食品からは補えないものもあるため、日頃あまり野菜を摂る習慣がない方は植物性食品である野菜を積極的に食事に取り入れるよう意識してみましょう。植物性食品とうまく付き合うことで、不調知らずの理想的な生活を送れるようになるはずです。

 

参考文献

健康日本21(第三次)について~栄養・食生活関連を中心に~ 厚生労働省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001122156.pdf

令和5年国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省 参照年月日:2025年1月31日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html 

健康と美を食べるもので叶える!~ 肌や髪、爪も美しく ~ 働く女性の心とからだの応援サイト 厚生労働省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 文部科学省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html

5. 1. 4.ビタミン K 厚生労働省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4l.pdf

新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言 公益社団法人日本小児科学会 参照年月日:2025年1月6日 https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=134

巨赤芽球性貧血 小児慢性特定疾病情報センター 参照年月日:2025年1月6日 https://www.shouman.jp/disease/details/09_01_001/

e-ヘルスネット 厚生労働省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/

5. 2. 9.ビタミン C 厚生労働省 参照年月日:2025年1月6日 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4x.pdf


【監修者】
管理栄養士・和食ライフスタイリスト
合田 麻梨恵

管理栄養士”

一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会代表理事。大学卒業後、コンビニ商品開発を経て独立。2万件以上の予防医学に関する論文読破・発酵生産者100軒以上訪問・100名様以上の栄養指導経験から”令和の和食TM”で未病のない身体づくりを推進中。著書「中高年のための食と予防医学」など書籍執筆、監修、講演、コラム執筆、メディア出演など。